2012年1月29日 (日)

『絲的メイソウ』

引き続き 絲山秋子の『絲的メイソウ』(講談社文庫)を読む。名営業ぶりを読んで、働くのもいいじゃんと思う。確かに女性営業に言われて まんざらでもない顔をしている男性社員をというのをよくみる。 女力を使ってとは思わない。キャピキャピした娘ッ子ではないので。 世渡りできる腕を持つ人の技は面白い。 いい気分にさせる=商売につなげる という明確な図式をどうどうと言うところがいいなぁ。 薄毛好きとか、徹底的に否定しまくるところとか、変テコですてき。 みな、「自分好み」という癖をもっているのに、こんなに面白く自分を紹介することはできない。プロのエッセイ。恋して何も手につかなくなることを無駄と言いきるところがいい。翻弄されたくせに。かっこよく、たまにかわいい。あれ?最強じゃん。

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2012年1月28日 (土)

『絲的炊事記 -豚キムチにジンクスはあるのか-』

今日は俳優祭でした。どうだったのかなぁ。 

絲山秋子の『絲的炊事記 -豚キムチにジンクスはあるのか-』(講談社文庫)を読む。
『逃亡くそたわけ』の人だから、そうとう過激なのではと思えば過剰でかつまっとうだった。きちんと料理できるうえでの斬新さ。突飛なことをしようとせず、自分の思い付きを、きちんと試行錯誤し、徹底的に料理する。かっこいい。 努力することが根底にあるのは当然という生活の上で、破壊的なアイデアがある。 筋が通ったところにほれぼれする。
お口は、悪いんだけど きちんとしてる。料理の材料を買うときにも、メモを持参する。いつもメモ持ってるんですかという問いに、「いつもだよ。買い忘れたらどうしてくれるんだよ。」と答える。めんどくさりつつ、真摯に向き合う。ものすごく面白い。絲山秋子さんは文筆業の前に、まず社会人を経験。営業だったらしい。営業で身に着けたものもそこかしこに感じる。毎日通う会社からも、何か自分の礎的なものを築いているものなのかもしれない。
ド迫力の料理。「カパスタ」からはじまる料理。のっけからすごい。食べ物なのに黒い。産業廃棄物的なみた目とは。 寒い日に夏のものを食べるとか。 自分で行うのにあえて修行のようなキビシイことを思いつくのも男らしい。男じゃないけど。 私の中で、愛すべき作家となりました。 
最後の料理は、父親に教わっていた。キッシュ・ロレーヌ 。父上は、ブルギニヨン、ポトフ、ストロガノフなどもお得意とされるそう。ピザは台からとか。おいしそう。 この料理のくだりのハートウォーミングぶりは、短編のようですらあった。ああ。おみごと。

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2012年1月27日 (金)

新春浅草歌舞伎・第2部

20121これで、1月の歌舞伎覚書終了。いっぱい観ました。
新春浅草歌舞伎。第1部・第2部と通しでみるのでちょっと疲れてきました。 第2部のお年玉の年始ご挨拶は、薪車さん。ああ、大人。丁寧。 そういえば、竹三郎さんと薪車さん、揃ってお江戸で初芝居になったのですね。
2部は、「通し狂言 敵討天下茶屋聚」。最初にみたのは吉右衛門さんの国立劇場での公演。最近 演舞場で幸四郎さんの通しを見た記憶があります。 今回は、猿之助四十八撰の内。市川猿之助演出というのを楽しみました。 1部をしのぐ亀治郎さんの楽しそうに演じる様も楽しむ。いやぁ、楽しそうだったなぁ。
序幕 四天王寺の場。とにかく、登場人物が多くこんがらがる。演舞場の時は、段四郎さんが強くて面白かったなぁと思い出す。
歌舞伎をみると、どうして主従の関係がこんなにも重いものなのだろうと 現代と比べて思ってしまう。 我々現代人に、亀治郎さん演じる安達元右衛門はわかりやすい。 父を騙し討ちされ、お家の重宝を奪われた早瀬伊織・源次郎兄弟。お供を連れ、仇討の旅に出る。 早瀬伊織・源次郎 兄弟には、亀鶴さん・巳之助くん。想いはは強いが、今ひとつ本懐を無得ることができなさそう。 それだからこそ、忠義にあつい安達弥助・元右衛門 兄弟がしっかりとお供につく。弟 亀治郎さんは、ちょっと違ったけど。 兄の男女蔵さんは 実直で頼りになる いい弥助でした。なんだか、いいじゃん男女蔵さん。 亀鶴さん・巳之助くん 兄弟の不憫そうな感じが同情をひいていい。亀鶴さんはやさぐれ上手だ。
早瀬伊織の妻 染の井の春猿さんと弟 源次郎許嫁葉末の壱太郎くんの姉妹も、その仇討の旅に出ている。同じ目的のため、苦難に耐え 仇を探す。 ちょっとしか登場しない割に、今ひとつよわっちい男連中よりキリっとしてみえる。
忠義にあつい安達弥助・元右衛門 兄弟。 誠実な家来っぷりを見せるが、弟 元右衛門の亀ちゃんだけ、だまされ酒乱となり破門される。 反省するかとおもいきや仇側に寝返える。 主人どころか兄へも残忍な振る舞い。小心でかつ残忍。それを滑稽にみせる。滑稽にしてくれないと、とてもじゃないけどみていられない話。 調子よく渡りあるこうとする小心もの元右衛門の亀ちゃんがみどころってすごい設定。でも、確かにみどころになっていた。
これでもか、これでもか と観る人を楽しませる努力と技を持つ男。 それを観て、この人が猿之助になることを納得した。 猿之助になるには、猿之助のようにできるだけではない。 猿之助のように 充分な自信を持って 皆が「自分を」観るために来ていると思える人でなければならない。かつ そのためには、過剰とも思える程のサービスを提供しようとすることができなくてはならない。 時代を読み、伝統を守り伝統を壊す。 歌舞伎となるべく技があっての話だが。 いや~ 亀治郎ショーはすごかった。

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2012年1月26日 (木)

新春浅草歌舞伎・第1部

20122新春浅草歌舞伎。今年は、一気に第1部・第2部と通しで みてきました。先週末のこと。
浅草公会堂に向かう途中、出勤中の種之助くんとすれ違う。育ちのよさそうな少年でした。
第1部のお年玉の年始ご挨拶は、種之助くん。父 又五郎さんとよく似ているいと言われる。演舞場に確認においでくださいと。10代の子が親の舞台を宣伝ってとおかしい。浅草の夜の部もお願い致します。勘太郎にいさん・亀治郎にいさんの襲名もお願い致します。父と兄の襲名も、まだ残っておりますのでお願い致します。とにかくいろんな舞台をお願いしまっくっていて微笑ましかった。 確かに又五郎さんにそっくりだなぁ。こんなに似ていたかしら。
1部は、「南総里見八犬伝」から。八犬伝って、この場の組み合わせの上演ってよくあるものなのでしょうか。いい塩梅に流れがあり 奇想天外さがあり 人を飽きさせない。富山山中の場。伏姫に春猿さん。若手にこの人がいると場が締まるというポジションになっていました。懐妊中に傷を受け、命果てる前にと自ら腹を裂く。ひえーーー。それを綺麗にみせる。ぎょえーー。 お腹から 八つの玉が出てくる。光ってきれい。
大塚村庄屋蟇六内の場。亀治郎さんが楽しそうで。それをみているだけでよかったねと思う。 亀ちゃんの庄屋蟇六じいさんと一緒に出てくるのが 竹三郎さんの女房 亀篠。大御所の2人って貫禄。 強欲っぷりがものすごい。うまいねぇ。 いたぶられるのは 犬塚信乃の歌昇君。けなげに耐えるが、若君はちょっと抜けて大切な足利家の宝剣、村雨丸を床の間においてっちゃう。 あー。蟇六娘浜路には壱太郎くん。 けっこうグイグイ 歌昇君にせまる。みまもる薪車さん。亀鶴さんの裏ぶれたひっかきまわし役っぷりもいい。 若手公演とは思えない 舞台がスカスカにならずしっかりしていました。男女蔵さんも中堅どころの手堅い働きっぷり。歌舞伎界の未来は明るいと思った。
円塚山の場。ここで突然八犬士が勢ぞろい。この人誰という人が突然いっぱいでてくる。愛之助さんなんて、迫力ありすぎて最初は悪い人かと思った。有無を言わさない勢ぞろいっぷり。犬山道節・亀ちゃん、犬塚信乃・歌昇くん、犬田小文吾・種之助くん、犬坂毛野・米吉くん、犬江親兵衛・隼人くん、犬飼現八・愛之助さん。力士姿の種之助くんはりりしくて、お父さんを一周り小さくしてツルンと若くした感じ。おお、いいじゃん。犬江親兵衛・隼人くんにもびっくり。結構 キッとした力強さがありました。 一番のびっくりは、米吉くんの犬坂毛野。これ、米吉くん?かわいい。あのムックだかガチャピンだかっぽい キャラクターを思わせるあのお目々が少々トロンとした色気のようなものさえあるような。 すごい。こりゃ、これからも楽しみです。 若手は芝居をしっかりみせてくれ、超若手もきっちりがんばる。楽しかった。こういうよさが浅草歌舞伎なのだなぁ。
最後に「吉田屋」。愛之助さんの藤屋伊左衛門。首をかしげる角度といい、甘ったれぶり すねっぷりと 仁左衛門さんをよく研究している。 にくめないボンボンの風情がでていました。最後になぜだか親に勘当を許される。こんなボンボンを許したら、店の身台が傾くなぁ。まぁ、いいか と思わせる雰囲気がありました。夕霧に壱太郎くん。えー壱太郎くんがとおどろいたが、けっこうしっとりと奮闘していました。 昼も夜も フューチャリング壱太郎くんです。 奮闘といえば太鼓持ち、吉太郎くん。 御立派。 おませで生意気で調子のいいけど、憎めない太鼓持ち。太鼓持ち魂を感じました。丁寧ですし、よく伊左衛門をみて動いていて あっぱれでした。
吉田屋喜左衛門夫婦には、竹三郎さんと春猿さん。こういう方がいると舞台がしまる。しまるし、春猿さん自身 充分華やか。伊左衛門ののどかさが活きる受けこたえでした。
この演目の組み合わせは、歌舞伎見始めの若い人にむいていそう。場面場面に楽しませる工夫が多く 筋がわかりづらくても気にならない。何より若い人がいっぱい活躍しているし。3階席にいたお若い方々がキャッキャッいいながら筋書きをみていました。楽しそうでこちらもにっこり。

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2012年1月25日 (水)

『魏志痴人伝』

昨晩、おさるのお友達の新年会におよばれしてきました。なにやら緊張する。いつも話を聞いていて、他人とは思っていないのにもかかわらず。 人と会う前には、何も提供する話題のない人間だと、自らを卑下してしまう。なぜだか。 そして、話をしだすと みるみる緩和。楽ちい。 お酒の力も加速させる。 結果、すこぶる楽しかった。うふ。

古田新太の『魏志痴人伝』(MF文庫)を読む。 帯に「なぜ古田新太の周りにはあほうばかりが集うのだ!?」と書かれていた。 そんな生易しい奴らではなかった。うへー 濃いよ。
新太ちんの『柳に風』は、読み直したりするけど、これは無理かも。 キスでヤクザを倒す男、知っていますか?学ラン着たまま水浴びする人、知っていますか? 新太ちんの話なら濃いなりにも、驚きつつ やっぱり常人とは違うぜと そのすごさを気分よく読める。が、その知り合いとなると濃すぎる。なんせ、新太ちんが驚く人だから。
とはいえ、古田新太による読み物が出たらまた読んじゃうのであろうな。文庫に限るけど。
一重で鋭い目の男の知り合いは濃い。

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2012年1月23日 (月)

坂東玉三郎初春特別公演

Photo昨年1月に引き続き、今年の1月も ル テアトル銀座では『坂東玉三郎初春特別公演』を開催。去年の1月のことをちょっと思い出す。すみませんとなぜか謝る。
松竹から、三島由紀夫が 昭和45年 二十歳の玉三郎が初めて勤めた『妹背山婦女庭訓』のお三輪を「奇蹟」と絶賛したというニュースが送られてきて、気になるなぁと思っていたところ、三等席を譲ってもらうことができたので、ホクホクと出かける。 玉三郎さんが楽しみなのはいわずもがな。天才 尾上右近ちゃんの橘姫を楽しみに出かけてきました。
まずは、お年賀  口上。玉三郎さんおひとりでの口上。
続いて、「妹背山婦女庭訓 」まずは、道行恋苧環から。玉三郎さんが苧環を持つと、本当に 出ている糸に惹かれて苧環が動いているようにしかみえない。苧環を廻していない。一つ一つに特殊な技能が必要なものを 大変さをみじんも見せず美しく演じる。 烏帽子折求女の笑三郎さんも、苧環の扱いに研究の後を感じられ 美しかった。尾上右近さんの橘姫は、堂々と 私は姫ですとと存在していた。伸びしろがあるのはわかっているが、完全に場を理解して動いている。どんな型へもすっとうごく。玉三郎さんと踊っていて、必死にくらいつくという感じでなく 一緒に踊っていた。すごい。 風情という点での違いはおおいに感じるが  お三輪の横でも入鹿妹という格をもった橘姫でした。すごいなぁ。そういえばチャリティ公演で踊る 右近ちゃんと梅枝君をみて、テアトルで2人が舞踏公演をしたら1等奮発してみにいっちゃうかもと妄想したことを思い出す。お三輪・橘姫・求女 3人の踊りは、安定感があって雰囲気がよくて これから大きな展開の前にあでやかで楽しかった。 お三輪ちゃんの凛気もかわいらしかった。
最後に、三笠山御殿。ここのお三輪ちゃんがいじめられるところは苦手。玉さまをいじめている人の方を心配したくなっちゃうし 女子のいじめは陰険だから。なかなかそういう場面として見にくい。 蘇我入鹿は、もうどなたがなさってもすごい顔になっちゃって声を聞くまで誰だかわからない。豆腐買おむらも、猿弥さん。まんまるで白くてかわいらしかった。 鱶七とに、松緑さん。思ったよりもずっと大きな鱶七っぷりに驚く。 大きさがないと 対峙という雰囲気も出ないから。 のどかさもあって これからお三輪ちゃんの悲しい恋が始まるまえに救われる。 また対比の妙もでていました。
大人で良質な歌舞伎でした。
しかし、お手軽な席が最後列 1列のみというのはきびしい設定ではないですかな 松竹さん。こんなに いいものなのに。 中村座と違い お手軽な値段の席があることに感謝すべきなのか・・・  こんなにあちこちで歌舞伎公演をかけている月は、いろんな等級の設定がないと困ります、本当に。 義太夫軍団で、勝手に心の中で思っているエース組み合わせの 長一郎さん・愛大夫さん組を久々にみることができて幸せ。蔵大夫さんも出てました。ああ、よかった。

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2012年1月20日 (金)

壽 初春大歌舞伎・夜の部

ひき続き、新橋演舞場にて壽 初春大歌舞伎・夜の部の覚書。平和だった頃の覚書。

夜の部は、「歌舞伎十八番の内 矢の根」から。 曽我五郎に三津五郎さん。はっきり きびきびとしていて気分がいい。後見の活躍もみどころでした。後見という役があってもいいくらいの働きっぷり。 三津五郎さんの矢の根は、精巧にできたお人形のからくりをみるような 掛け軸の中の世界をのぞいたような気持ちになった。人じゃない世界。あんな大きな矢を あんな風に研いだり、あんな格好で寝ようとしたり、絵本にありそうな世界。 年始の挨拶に宝船の絵をいただく五郎、よい夢をみようとさっそく宝船の絵を枕の下に引きうたた寝を始める。単純明快な設定なのでけど、現実離れしていて とにかく めでたく 明るい気分になれる。 最後は馬子から馬を取り上げ 意気揚々と花道へ。馬子よ我慢せい。 これ、毎年1月に観たいなぁと思う。1月なのに、唯一の曾我もの。楽しかった。気に入りました。
続いて、「連獅子」 五世中村富十郎一周忌追善狂言。1年経ちました。子獅子の鷹之資君からは、親獅子の吉右衛門さんに対してみせる感情と 富十郎さんに見てもらおうという気持ち 両方を感じました。 歌舞伎座で観た 一日だけの特別公演、富十郎さんとの『連獅子』を思い出す。あの時よりも ずっと落ち着いていました。緊張を感じさせない程 踊りこんでいるようにみえた。 丁寧に丁寧に、そして動きの意味を踏まえて動いていた。まだ ちびっこなのに、背負っているものの大きさにも負けず 精一杯演じている様子に ジーンとした。 吉右衛門さんよりも背筋が伸びてみえた。 獅子になってもどってきてからも 立派だった。 精一杯頑張るってこういうことかと教えられました。新年にふさわしい演目だった。ありがとうございまPhotoす。
最後は、 め組の喧嘩。
これは、わたくしの携帯電話。 渋さ、おじいちゃんのごとく。 →
さて、「神明恵和合取組 め組の喧嘩」。そんなことぐらいで街中で喧嘩しなくても思う。覚悟を決める程の揉め事か なんて冷静になってはいけません。 そういうのを吹き飛ばす 粋な「め組」の鳶連中を楽しむ。 男寅ちゃんは、おそらく子供と大人の間の微妙な時期だからだと思うが なんだかえらく目立ってしまう。がんばれ。 萬次郎さんのおたくの光君がすーっと細く高くなっていておどろく。私は月初にみたので口に含んだ水で威勢よく足をぬらすところが 若い2人はダバーっとなっていてかわいい。かっこいいお兄さん・おじさま方にあこがれて 徐々にうまくなっていくのだろうなあ。 亀三郎・亀寿の兄弟の出す鳶仲間の雰囲気や、松也くんが頭の坊っちゃんをかわいがる様なども よかった。 粋でいいのだけれども、今火事がおこったらどうするんだいといいたくなるほど、必死に喧嘩してました。 舞台からあふれそうな程と 鳶連中と相撲連中が喧嘩をする。 さっきまで、江戸座で働いてたじゃんという人が鳶になって喧嘩してました。すみからすみまでみどころいっぱい。 喧嘩の原因は、どうなのと思うのだけれども、最初に相撲連中の宴に飛び込んでいって喧嘩した菊之助さんがかっこよかった。そんなに怒るほどの事じゃないじゃんとおもいつつも、その怒りっぷりが素敵と思う。 江戸時代はこんなに喧嘩していたのかしらん。 め組の辰五郎の家、気をもむ女房のお仲に時蔵さん。菊五郎さんとの夫婦っぷりは最高。倅又八には藤間大河くん。いちいち大人の真似をして裾をぱっとはねてから座ろうとするのが、可愛くって仕方ない。お父さんと別の劇場でも、立派に一人でがんばっていました。 纏を手に登場する菊之助さん。これがやりたいって年少の子はあこがれるんだろうなぁ。
目の前に目標がいて、どうにも乗り越えられない壁を感じて奮闘する。 自分が受けた何かを若い人へ伝えるべく、いろんな世代と演じる。 上から得たものを下に伝える。 こうやって歌舞伎は歌舞伎として確立し続けていく。 そんな流れも感じた。 自分の努力はさておき、できる人をひがんだり、運のいい人をねたんだりという今よくあるドロドロした現実と違う。 あこがれの人は歯が立たない程すごく、うんざりするのは できない自分の方。必死にがんばる。そういう世界はいいなぁ。

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2012年1月19日 (木)

壽 初春大歌舞伎・昼の部

201201もう半月程経ってしまいました。まだ正月休みとボケッとしていたころの覚書。ああ、あのころは平和だったなぁ。新橋演舞場にて壽 初春大歌舞伎・昼の部をみてまいりました。その覚書。

魁春さん、芝雀さん 2人の姫による「相生獅子」。最初はなよなよした姫だったのに、花道を勇壮に戻ってきて毛振り。石橋物の中で最古の作品らしい。昼は姫獅子が、夜親子獅子が、毛振り。 
毛振り。金閣寺。鳶祭。  そして、矢の根。毛振り。鳶祭。そんな一日。
続いて、「祇園祭礼信仰記 金閣寺」。菊ちゃんが雪姫に挑戦、これがお楽しみ。松永大膳の三津五郎さんが大きくみえて驚く。よかれ悪かれおおきい事しか考えなさそうでした。菊之助さんの雪姫は、初々しさいところと、落ち着いて堂々としたところとそれぞれあった。 落ち着いた美しい妻女だった。足先で集めた桜の花びらでネズミを描くと 本当のネズミになり縛られた縄を切ってくれる。その奇跡の部分より 心中の葛藤 が前面に出ていた。雀右衛門さんも葛藤がきれいだったなと思い出す。もっと緊張感に満ちたものになるかと思ったら もう落ち着いてみることができました。雪姫の夫 狩野之介直信には歌六さん。白塗りの優男の歌六さんに ハッとする。三津五郎さんの松永Photo_2大膳と、梅玉さんの実は 真柴久吉の対決は、品がありました。
最後に、「盲長屋梅加賀鳶  加賀鳶」。加賀鳶って、最初の本郷木戸前勢揃いが威勢よくすこぶるかっこいい。花道にずらっと並んで、3階席からは2~3鳶くらいしかみえません。なのに、あっという間に終了。残りは汚い装いの按摩さんの話になっちゃう。通しでみたことがないので(多分)、なんでこれ続けて演じられるのといつも思ってしまう。吉右衛門さん演じる日蔭町松蔵が両方にでてくるぐらいの共通点しかわからない。いつかわかるかな。今回も 別々の話のように楽しむ。勢揃いでアンコールと心の中で声をかける。繰り返しでいいからもう一回と。 盲長屋は、菊五郎さんの道玄と時蔵さんのお兼の組み合わせがいい。汚くて、卑怯で、ひどいのにいい。 難癖、最高とも思う。 赤門捕物は「こりゃドリフだね」と独り言。ドリフの方が影響を受けているのだけどね。ドリフで育ったから、つい。 最後、御機嫌にしてくれた菊五郎さん。汚いだけの按摩でなくなるのは、菊五郎さんの愛嬌のおかげ。何度観ても愉快。

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2012年1月18日 (水)

第57回野村狂言座

先週、宝生能楽堂へ行ってきました。第57回野村狂言座。能楽堂には〆縄が貼られ、樽酒の上に鏡餅が飾られていました。新春。
素囃子「神舞」。中川家 弟のことを考える。気合の入る音で気持ちがよかった。
「夷大黒」。長者(月崎師)が神仏をお迎えするからと(たぶん)、注連縄を掛ける。目付柱に巻いたとたん注連縄がプツリと切れました。脇正面全員がハラハラと見守る。後見がシテ柱でなく欄干に結ぶことで解決。ああよかった。後見って大変。
橋がかりを竹山師の夷が登場。続いて深田師の大黒も。大黒だけが小さいのはなぜだろう。ヒョコヒョコと歩む様は大変そうでした。(後で教えていただきました。大黒は俵に乗ってちょうど人間くらいの大きさということになっているそうです。) 一年の無病息災を祈ってもらえたのではないかと思う。寿ぎ祝うということを伝える雰囲気 その重厚さがよかった。一旦空気が断たれてしまったが惜しい。(注連縄騒動で)。 夷様は鯛のついた釣り針とを、大黒様は宝の袋と小槌を、長者にふるまっていました。果報者すぎる。夷大黒の拵えがありがたくてよかった。
続いて「空腕」。新年らしい「夷大黒」に続き「空腕」。高野師の太郎冠者は、木の枝にも風にもおびえる。そこにおかしみが出るのは、石田師の主が普段太郎冠者が口にする強がりぶりを揶揄する言い方が効いていたからだと思う。ものすごくなるほどと思ったのに何と言ったか忘れた・・(戦で馬のくつわを曳きたいと言っていたではないか というような事だったかな・・・)
夜、淀に使いにだされた太郎冠者が森の中を通る。杭に怯え、やぶに謝る。景気よく怯え、いさぎよく謝る。高野師パワー炸裂でした。全てお見通しの石田師の主を前に、夜道から逃げ帰った太郎冠者は自分の武勇伝を語る。あんなにも堂々と自分の猛者ぶりをひけらかすとは。怖がりは妄想力がたくましいのだよと自分のことのようによくわかる。40分近くあったかと思うがあっという間でした。
休憩をはさみ最後に「若菜」。橋がかりで大原女が勢ぞろいし雪山の謡を。新年だなと思う。(そして異様に丁寧で緊張感がありすぎるとも思う。)大原女は、もう若手だけで成立するのだなと思う。万作師の海阿弥は、軽やかに動く。あちらにおいでなさいませとすすめ、大原女をみつけたら 呼んで酒宴にしてはと勧める。 さっさっと軽やかに動く。無駄なく、美しく、すすっと動く。美しい。果報者の萬斎師は、床几に腰かけ、おおらかにのんびりと楽しむ。そこにいるということを美しくできるのがすごいなぁ。  若菜は、少し長く感じました。
次回の狂言座も楽しみです。

近くの神社では「15日、どんど焼き」と書かれていました。 能楽堂では いつまでを新年として祝うのでしょう。

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2012年1月17日 (火)

壽初春大歌舞伎・夜の部~新春大阪プチ旅行~

076この旅行の大目玉。大阪松竹座にて昼の部に引き続き、夜の部も観てきました。壽初春大歌舞伎、万歳。夜の部は1階最前列にて。近かった!
夜の部は、「通し狂言 雷神不動北山櫻(なるかみふどうきたやまざくら)」市川海老蔵五役相勤め申し候。最初に口上があり、御自身で物語を解説。自身で、裁き裁かれ 殺し殺され 五役を奮闘し相勤めますので、普段よりより一層の声援をお願いしますと言っていました。次から次へと出てくる出てくる。出ずっぱり。よく働くなぁ。 あーそういえばそうだったなぁと、以前演舞場で観た公演を思い出しながらみる。あれから何年経ったのかしら。2008年でした。4年経って、海老蔵さんは大人になっていました。私はどうでしょう・・・
安倍清行となって、舞台から降り、通路を芝居しながらトコトコと歩いていきました。衣装がぶつかるくらい 目の前を歩いていくのでドキリとしました。あーそうだっだ。おなごの匂いとか言っていたなぁ。これじゃおバカさんにみえるよと思ったことも思い出す。 そこも憎めないのですがね。早雲王子は、より悪人に。人々(農民ら)の心をうまいこと掴んで、にやりと笑う様が迫力。 粂寺弾正は、少々イヤらしい。これある程度大人(おじさまぐらいの)がしないと生々しさがあります。キセルは踊る。小柄は踊らん。とか大袈裟に不思議がるのところはいい。 鳴神上人は短縮版でなく、ちゃんとみたいと思った。細かい心の襞を略してしまうと いま一つもったいない気がする。 けれども、なぜあんなにも鳴神上人が怒りくるのかはよくわかった。雲の絶間姫が必死になるのもわかった。特に、鳴神上人の怒りが沸点に達する訳がよくわかり、よくできているなと思う。 あんなに手のつけられない程怒り狂った上人様が 劇中であっさりと「鳴神上人は始末した」という台詞の中で殺されていてびっくり。人の手では無理そうだったのに。
038人と人のつながりがよくわかり 通し狂言のよさがあった。 でも有名な演目を少し略して演じるもったいなさも感じた。通し狂言にしては、全体にテンポがあって飽きさせなかった。こういう点を随分検討したのだろうなと感じた。
大詰の、早雲王子の大立ち回りが、絶品。朱雀門王子最期の場。朱雀門がよく似合う。派手なものよりも、より派手な早雲王子。天の声(不動明王の声)が聞こえても 改心の心が芽生えず 高らかに笑って あの世に引き落とされていく様が すごくよかった。道徳感とかそういうのを超えて面白かった。
海老蔵さんは大の贔屓です。贔屓だからこそ、座長公演のような一人活躍するものはしばらく保留して じっくりと相手役者と取り組む演目が観たいです。 出ずっぱりだとうれしいし、大阪まで観にいっちゃうのだけれどもね。 それでも本当にそう思う。いい役者になって欲しい。

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