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2006年4月12日 (水)

第34回野村狂言座

宝生能楽堂にて。今回は、「宗八」、「横座」、「釣針」の三演目。
「横座」男が牛を拾う。牛って拾うことができるの?拾った牛の価値が知りたくて目利きの男を訪ねていこうとすると、その男こそが牛の持ち主であったという、なんともおおらかな設定。万作・萬斎親子というありがたい共演を楽しむ。この牛はどうしたと問われると、あっけらかんと、これは見知らぬ人から買ったという男。この牛はみどものじゃ、子飼いのころから可愛がったので呼べば返事をするという男。100回読んで返事をしたら返せなど、のんきなやりとりがいい。結局3回で返事をさせてみようという駆け引きになる。横座(牛の名)と呼び終わるやいなや、ほらこれで一回と呼びかけ妨害する。その妨害を気にもせず、とくとくと真面目に牛に言ってきかせる。まじめでかつ、本気なの?というやりとり。そして、文徳天王の皇子の継承争いまででてくる、とうとうとした語りが始まる。語りの間じーっと待っている男。どこかぬけていて、小ざかしくなく、恨みがましくなく、泰平な空間になっているのがすごいと思った。熱演なのに淡々としてみえるのはなんでだろう。これが味というものなのだろう。あぁよかった。狂言で犬の泣き声は「びょうびょう」なので、牛の鳴き声ってどんなのかなと楽しみに待っていたが、最後にないたのは案外「もー」だった。普通じゃん。

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