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2006年7月30日 (日)

もう帰すまいと私は思う

7/30日曜日 夜の部観劇。
本日は母と観劇。 親子で大喜び。ときどき「今のとこ!!!」とよかったぶりを確認しあちゃった。ぐっとくるのだもの。
まぁ何はともあれ、とにかくきれいでした。 きれいなだけではないのですが、中身があってやたらときれいというのでしょうか。いいものを見た割には雑なまとめ・・・
山吹。やっとわかりました。そういうことか。 難しい芝居でした。全部を理解してはいないし、消化できていないところもあるけれども、今回はじっくり腰をすえて向き合ってみてこれました。見ごたえがあった。心を決めてからの笑三郎さんが、ぐっと顔つきが変わって見えてきれいでした。
正しいものがはっきりと確信できている清らかな天上人、天守にすむ富姫は、あどけなく美しく残酷で。 かかしに借りた蓑を着て「似合うかい」という茶目っ気。 腰元への目配せは、上品でウィットに富み、優雅でみとれた。 生首をみて「血だらけなは なおおいしかろ」と半身を乗り出す残酷さは美しい。 まりをつくためにだけに はるばる訪れる亀姫との のんきな会話は、なんとも愛らしい。 「見ておいで、それは姫路の富だもの」と鷹を取ってやろうという自信に満ちた姿。もう百人力である。怖いものなどなかろうという完璧さ。
前半の浮世離れぶりと、後半の写実な人の世界の醜さと対比がいい。 前半のゆったりした空気と、後半のはげしいテンポの比も同様。
階段の使い方が見事。 花道すっぽんより、階段をあがってくると そこは亀姫さまの天守閣になる。 天守よりその階段を降りていく図書。図書を目で追いながら、天守を移動する姫。上手の柱の影に隠れたかと思うと、無人になった一瞬でそこは城の3階となり、下手より図書が降りてくる。 装置よりも、人の想像力に頼ったいさぎよいシンプルな舞台である。それを見せる人だからであるが、関心した。 暗いなか♪ここはどこの細道じゃ(細道じゃ) と とおりゃんせで花道から登場とは・・そのシチュエーションの怖さ。そこを恐れずに現れる図書の清らかさ、まっすぐさがとってもよかった。 姫さまに 守られている図書さまが、最後にしっかりと守っている強さがさりげなくてよかった。
姫が、この世に未練がある人を帰してやろうと思う そのいさぎよさ・せつなさ。しかし、そのあまりの清らかさに「帰したくなくなった もう帰すまいと私は思う」の場面がゾッとするほどきれいだった。

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