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2007年11月14日 (水)

『梅咲きぬ』

気分下向きのときは、とっておいた一冊を と思い、山本一力の『梅咲きぬ』(文春文庫)を読む。
江戸屋は、代々女主人。秀弥と名乗り継いで行く。4代目秀弥が六歳の夏祭りを思い出し、子供時代からお話が始まる。 六歳で踊りのお師匠のもとへ通い、踊りはもちろん 、女将としての器を学ぶ。その厳しさにはしっかり筋が通っており、厳しくされても崇拝の心がそれをしのぐ。あたしもおっしゃん(師匠)のようになるときっぱりしている。 
どんどん立派な心を持っていく少女 玉枝に、すみませんぐうたらでと頭を下げたくなる思いで、ぐんぐん読む。
秀弥の、気風のいいこと。かしらも、板場も、仲居も、下足番も、一流っていうのはどんなに格好いいことか、自分のなすべきことを誇りをもって一身に行うのことの格好よさを、教えてくれる一冊。切ないしね。川っぷちで、蛇の目傘をつかむ描写のなんて、正に芝居の一場面の様。(助六のようと喩えているけど、もう見事な描写。) いろんな情景が目に浮かぶ、力冊でありました。没頭させてくれてありがとう。


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