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2008年1月 7日 (月)

『タルト・タタンの夢』

今日から仕事はじめ。九連休の後にはツライ。
おさるに貸していただいた、近藤史恵さんの『タルト・タタンの夢』(創元クライム・クラブ)を完読。去年のうちにほとんど読んでしまったのですが、あんまりにもよくって。読み終えるのがもったいなくなって、最後の一章を残してあったの。極上の料理とミステリを楽しめる一冊です。
レストランの名は「ビストロ・パ・マル」。悪くないという意味らしい。オーナーであり料理長の三舟、シェフの志村、ソムリエの金子(女性)、ギャルソンの僕、高築の四人が、切り盛りするビストロは、高級店ではないが、上等な店。その中で起こるミステリというか、料理長のするどい観察力で解き明かされる日常を、なんともあったかく表現。いいなぁ。
近藤史恵さんは梨園ミステリで初めて読んだ。そのトリックは歌舞伎ファンとしては、「あたくしなら、ソコも観てるわ!」って思うのだけど、ひんやりとした空気が好き。描き方がいい。時代劇も、現代小説も、ちょっと冷たいとことが好き。ところがこの本は、一章読むたびににっこりとしちゃう。料理は、とびっきりおいしそうだし、人物の描き方が、本当にいいのだもの。作中の登場人物が、「あぁ気がついてよかった」ってコトを、我がことのように思う。
ほんとうにおいしそうな本である。
京都に大好きなフレンチレストランがある。大人になってからいった大学の先生(教授?)においしいと教えていただいたところです。そこへは、親友と、両親と何度か出かけました。特別に大事に思うお店です。そして、ほんとうにおいしいお料理を出すお店です。あのお店にも、こういうストーリーがあるのかなって思いました。一流の人って、ものごとをよく見る目を持つのでしょうね。来月、京都に出向いたときに訪れる予定です。楽しみ。

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