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2008年1月22日 (火)

『誰か somebody』

宮部みゆきの『誰か somebody』(文春文庫)を読む。人物の設定が非常にしっかりしているので、どんどん想像力が膨らみ、引き込まれた。
資産家 今多コンチェルン会長の娘と結婚した杉村三郎が主人公。おだやかで、いい人。杉村三郎の目を通した、人間関係の描き方が、とてもよかった。
でてくる人も、いわゆる、「いい人」。なので、そこに悪があるように思えない。事実、悪い人でない。でも誰もが持つ、心の翳りの部分が、どこかずれると、そこに悪意がうまれる。強く憎むとか、恨むというものではなくとも、悪意が生まれる気持ちがある。また、一歩間違うと、加害者になりえる可能性がどこにでもあるという怖さ。うまいなぁ。
偏見をもたれがちな状況にいる、主人公の杉村三郎。彼は、ものごとを静かに、丁寧にみつめ、選択し、毎日を大切に生きている。読んでいてとても暖かい気持ちになった。この夫婦は、気持ちが本当に強い。複雑な環境のなか、卑屈にならず、真実をちゃんとみる強さをもつ。人に言われても、向きにならず、対抗せず、超越した態度でいる。 私は、くやしいと思うと、どういったら相手にダメージをあたえる一言になるか 考えちゃう。口にだすことはないが。電車の中とかで、イヤな思いをすると ガーンとくる一言を言ってやりたいと思い、考えちゃう。ちいちゃい人間だなぁ。 友がひどいことを言われると、頼まれもしないのに、言い返す言葉を考えてしまう。 いやみな相手の言葉や態度を、ぐっと飲み込む。相手にしない、何にも言わないという強さを感じた。その強さは、逆に相手に勝つ。毅然とした姿は、格好いいものである。 また、相手の辛さを、黙って見守るということに、とても暖かいものも感じた。宮部みゆきさんの本は、ハズレがない。

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