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2008年3月 6日 (木)

ござる乃座 39th

先週、国立能楽堂へ『ござる乃座』をみてきました。
前の席に自由気侭なおばちゃまがいらっしゃいました。上演中でも まるで、おうちの居間ですごしているよう。演者の動きにあわせて「ほら、気がついた」「越前に着いた着いた」など思ったことを口にしていました。お嫁さんの悪口とかじゃなく舞台を楽しんでいるのは、わかりますが、普通の声なんだもん。シーンとした空間の中、どうしようかとドキドキしたわ。(なんであたくしが?)
演目は、狂言『内沙汰』 狂言『因幡堂』 素囃子『男舞』 狂言『塗師平六』

『内沙汰』
百姓の右近(おこ)がシテ。萬斎師。ひょこひょこ登場。右近は妻に、仲間内で伊勢参りに行くことになったので連れていってやるという。喜ぶ妻だが、左近も同行するなら行かないという。何かと立派な左近(さこ)との差を意識しているようだ。左近は馬でいくに決まってる。徒歩でいく自分達は従者にみえるからイヤだという。見栄っ張りだなぁ、お参りなのに。詣でること自体が楽しみ みたいいなもの だからだなぁ。
どんな騒動がおこるかと思うと、騒動のものとは、そこではない。
ならば、うちは牛でいこうという右近。うちに牛などいないという妻。左近の牛は、うちの田の稲を食べちゃったから、あれはもう うちの牛みたいなものだと むちゃくちゃなことを言う右近。地頭に訴えて自分の牛にするのだと息巻く。ならば訴訟に備えようと、夫婦でお稽古を始める。そこが、騒動。
妻が地頭役。まず、右近が、左近の役をする。堂々として地頭に賄賂などする。いざ自分の役をするとなると、とたんにおどおどする。地頭(つまり妻)の前におびえきって登場。みていてその卑屈さに、一緒に哀しくなってきたほど。芝居っぷりが哀しいのなんの。生々しい。最後に気絶(倒れる)ほど弱る右近。また言うけど、哀しい。
妻に揺りおこされる。そして、妻にまで蔑まれる。右近は、堂々と退場していく妻へ指をさし「それでもお前は右近の妻じゃぞ」というようなことを必死になって言う。そういう終わり方と解釈したのですが、あっているのであろうか。しばらく間をおいて、もう一回みたいな。あってたかどうか。
『因幡堂』
酒のみの夫がシテ。万之介師。おんなども(妻)が実家に帰っているうちに 去り状を送りつける。因幡堂で神のお告げを受け、新しい妻をもらおうと、いそいそと でかける。ひどい。
察知した妻がお告げの場所に先廻り。衣をかづいて立っている。憎たらしい夫なのだが、万之介師ならではのとぼけた味わいが加わっていい。勝手さ、調子のよさが なぜか憎めない味になってました。
三浦裕子さん(武蔵野大学講師)の演目解説によると、「神仏を騙っても平気な妻 相当な悪妻」とされていました。そんなにひどいかなぁ。
妻と知らずに、夫が 末永く一緒にいようよ なんて言っちゃって いい気味と思っちゃったので。妻が一枚も二枚も上手って感じが あんまりしなかったから(いい意味で。あざとくなかったから。) 夫は自業自得だと可笑しかった。
末永くっていうときに「五百八十年万万年(ごひゃくはちじゅうねんまんまんねん)」って言う言い方をするのですが、コレ好き。
『塗師平六』
都の塗師 万作師が、弟子を尋ねてくる。弟子が御子息の萬斎師。この組み合わせがいい。
都を離れることがあったら、いつでも来て欲しいと弟子が言っていたので、尋ねてくる。妻は、己の生活のことを考える。あまり上手くない夫が、なんとか ここで暮らしていかれるのは、ここら辺に他に塗師がいないから。腕のいい師匠がきたら うちの商売は、あがったりだ。よし夫は死んだと言おう。というすごい発想。夫は亡くなりましたと泣く。
泣いているところに弟子登場。師匠を見て大喜び。そんな夫を、ひっぱりだす妻。あなたは、もう死んでいるのよというすごい説明のあと、弟子は幽霊になって師匠の前に登場する。そんな状況なのに、舞うと またこれが格好いいのだなぁ。
おかしみより、じっくりと やりとりを 噛み締めてみた。味がある。
今回の公演のテーマは、WIFE。なるほど。 テーマに上がっていなかったら、この共通点に着目しなかったかも。
今回は、なんだか現代にも ありそうな生々しい、演目続きでした。
それとも、いつもあんまり考えずにみていたからかしら。 今後の鑑賞の見方が変わるかも。なんだか、問題提起されたような気が。そんなきっかけとなった会でありました。りました。(大袈裟。)
どれもこれも、しばらくしたら もう一回みてみたい演目。 だから、何度もみにいっちゃうのだなぁ。

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