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2008年3月 8日 (土)

『銭売り賽蔵』

保養飲み会(仮)に参加してみました。何だか緊張しました。なんでかなぁ。人見知りなのだなぁって思います。こういう時にいつも。おおかたの人は、そうだと思うけど。
行く前に、知っている人だと判明。なんだかかんだで?!楽しかった。

山本一力の『銭売り賽蔵』(集英社文庫)を読む。ぜにうりさいぞう。江戸時代、庶民が使うお金は、小判でも銀でもなく銭。銀と銭を交換することで成り立つ商売もあったのですね。金座とか、銀座という鋳造所もでてきて、銀座ってこれが発生だったのだろうなと思いつつ読む。深川が舞台。そう遠くないところなので、余計面白い。
しずかなのに力強い文章。とにかくでてくる人物がいい。好きになる。あくどい人のあくどさまでうまいなぁと思う。
ちょっとものごとが、うまく進みすぎるきらいはあるけど。いくら、まっとうに生きている人はきっと報われるとはいえ。 結局、全部うまいこといく。 いきすぎ感があった。
しかし! 人の誠がありました、ここに。今は、なんでも比較して1円でも安い方を選択するのがあたりまえ。賢いとされるような気がします。そうじゃない。そりゃ、安い方がうれしい。でも、それだけじゃないものがある。
儲けにばっかり目がいき、うまく立ち回らないのは愚か者という風潮に、何かひっかかるところがあったわたくしは、これよ!って思った。効率がいいのと、質を下げた手抜きとは違う。価値の基準が、なんだかおかしいことになっているような気がします、今の世の中。大事なものは、何があったって守る。大切なものは、金を積まれても譲れるものじゃない。そんな心いきが、ここにはありました。一肌ぬぐことと、いい人ぶるのとの違いも示してくれています。困った時はお互い様っていうことは、こういうことなのだと教えてくれました。
恐ろしいことですが、この本を読んでも そういう心いきのよさを理解できない人もいるかもしれないなと思った。
上に立つ人間が、ちゃんとそれだけの力量をもっている人が沢山でてくる本でした。権力を持つこと=幸せ じゃなく、まっとうに生きること=幸せ です。どこにも、生きがいはある。なーんてちょっとカタイこと考えてみた。
(国文学者の方の解説、あなたも賽蔵であり おけいである という結びには納得できなかった。)

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