コクーン歌舞伎「夏祭浪花鑑」~東欧公演・凱旋版~
先週金曜日、コクーン歌舞伎を観て来ました。入口で「くいだおれ人形」がおでむかえ??そういえばあの人形が上京と何かで読んだなぁ。なんでかしら?ナニワだから?
四月のこんぴら歌舞伎のことを思い出しつつみる。徳兵衛の松也くん男っぽかったなぁ、三婦の男女蔵さんがんばってたなぁ、亀寿さん粋だったなぁ、さっぱりしてきて出てきた海老蔵さんは、めっぽう格好よかったなとか。
前半なので、お辰が勘太郎ちゃんヴァージョンでした。(後半は七くん)。
前回の三人吉三で、はじめて串田演出力を強く感じました。歌舞伎の壊しかたがよかった。ここは黙阿弥の台詞のテンポを楽しむところ、というような決まりきったみどころポイントをずらされる様な壊し方。(ポイントをずらし、あれ?と思ったとたん、色彩の洪水で、歯車がずれ始め、運命が狂ってくることを感じさせる面白さがあった。)今回も、私的にココ!っていうポイントより、そこじゃないところが面白かった。
通常 一番の見せ場であろう 舅殺しの場。かなり前の席ということもあって泥よけのコートを着てフードもかぶりボタンも止めて、かつ泥よけシートで防御せよ!と仰々しい指示がでる。ちょっと過保護すぎ。ここまで、泥とか水とか名物になっているのだから、前の方がとれた幸運な客は、汚れる気で来るぐらいでどうでしょう。(よごれたくないけど。)準備とかしてると興が冷める気がしてもったいないと思う。
でも、始まってみれば拍手するのも忘れて、ただただ見てました。団七が、斬る気もないのに斬ってしまった後、まったく音のない世界だった気がする。いつも附けが入るところも音がなかった気がする。何かがいつもと違う、なんだろうと思った。音がなかったのかも。なんだかおかしなことになってきている、あらぬ方向に進み出してしまったという変な空気がよかった。
大騒ぎの後の場の方が、逆に印象深かった。義平次の殺しの場で、団七の草履を見つけた徳兵衛の見せ所。あちこちに飛びちらかった心情が、しっくりおさまりました。
そして、大詰めの立廻り。この流れがいい。素直に逃げ回る団七を応援できる。 九郎兵衛内屋根上の場。これをはじめてみたときには本当に驚いた。初めてみたであろうまわりの方々が、キャーキャー喜んでいる様がうらやましいほど。 今回は、和太鼓のが入って、一層もりあがります。上田秀一郎さんという方らしい。いつものシンプルなつけ打ちの作りだす、一音でどーんと空間を引き出す音と違って、迫力満点。どっちが好きか言ってみろ!と詰問されたら(されるわけないけど) いつもの附け打ちを選びます。が、この新しい感じは 確かに面白かった。どこをみたらいいのって程、あちこちで人が音が大暴れ。ベルリンらしさをイメージしたモチーフもあり、盛り上がりました。
とにかく近い。捕り手の十手があたるかと思うほど。捕り手の真剣さにもぐっとくる。格好よかった。
勘太郎・七之助兄弟は、本当にうまいなぁ。ひたすらまじめでいい。新しい試みは大人の人だけで。 うまかったなぁ、お辰。若いのだけど、言い方や間がうまい。でも若い。若いと感情の起伏がわかりやすいのだが、伝わりすぎちゃう。若さがおさまったら最強かも。 勘三郎さんの「うちの人が惚れたのは~」は天下一品。でも勘太郎ちゃんのお辰は、今回 勘三郎さんでみれないなぁなんて寂しく思わせないお辰でした。
歌舞伎座ではない、コクーンならではの熱い暑い歌舞伎を楽しんできました。
オンシアター自由劇場を大層愛しているおさると私。コクーン、串田さん、笹野さん (あと内田さんもいました)にも、胸をあつくしました。
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