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2008年9月 5日 (金)

『流れ星が消えないうちに』

橋本紡の『流れ星が消えないうちに』(新潮文庫)を読む。恋愛小説の新星なんてかかれているし、わざと泣かそうしている感じがして、勝手に敬遠してました。エコバックをいただくために買ってみた。あーごめんなさい。疑ってごめんなさい。いい本でした。
巻頭から、恋人を亡くしたということがわかる設定。喪失感というものからどうしても逃れられない奈緒子。亡くなってしまった加地くん。加地くんという友の大きさに圧倒されている巧。
永遠に別れなくてはならなくなった。どんな言葉を並べてもウソくさいような気がする。言葉が力をもつこともある。奈緒子は、加地くんの言葉に、縛られたり救われたりする。読みながら、一緒になって加地くんと小さく言いながら読んだ。
歯車がズレてきてしまった家族。家族だからこそ触れない点や、触れなきゃいけないこと、逃げちゃいけないこと、近くにいること・話すことでもたらす力、誰もが納得の正解なんてないこと。いろんな距離感について、うまいこと描いている本でした。そして、家族がとても魅力的に描かれている本でした。

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