« おのおのがた! | トップページ | 『ユージニア』 »

2008年10月 7日 (火)

錦秋漫画祭

いつものように、おさるに貸していただく名作漫画を読む。三浦しをんちゃん絶賛の2作。
まず、杉本亜未の『ファンタジウム(3)』(講談社モーニングKC)。泣かないと強くみえるのって言葉にドーーーーン。口に出さず、考え抜いて生きている人の言葉はしみる。ちびっこであれ、大人であれ。環境がそうさせるという要因もあるが、マジシャン長見良くんの言葉は、胸に響く。
次に清水玲子『秘密 トップシークレット(1)~(5)』(白泉社)。ぞわー。震撼。これは大作。超大作でありますぞ。
普段、我々は目でなく脳でみているらしい。目は媒体の一つ。肝心要なのは、脳でどう感じるか。 
人が死ぬ。これは事件か自殺か。 惨殺された人。手がかりがなく行き詰る捜査。 殺された人が最後に何をみていたか脳に聞くというのだ。タイムリミット前の死体から脳を摘出し、難しい医療行為を経て、本人が生前みた映像を映し出すという方法で。選び抜かれた精鋭達 科学警察研究所法医第九研究所「第九」では、捜査のため、その映像をみる。そこから推理する。 末来の話という夢物語的なものでなく、近末来実現可能な恐ろしさを秘めたその技術に驚愕する。そのアイデアに驚愕というのか。 その技術がもたらす怖さ。人の想像力の果てしなさとか。途方もないものに圧倒される。
壮大で、緻密で、驚愕。登場人物の個性設定のいいこと。ぐっとくる。なにより絵が美しい。
怯えきった殺された人が最後にみた(最後になってしまった)映像。 理解不能な凶悪な犯人の残虐な殺戮の場の映像。見るだけで、気が狂ってもおかしくないような映像をみなければならない。 憎しみだけでなく、愛情やら何やら、いろいろな感情で、がんじがらめになった人々の想いに押しつぶされそうになる。のしかかってくるものが大きすぎる。それに耐えられない人間の弱さのようなものが、逆にいとおしくもなった。 冷静沈着・頭脳明晰なエリートであっても、完全な人間ではない。それでも立ち向かう姿勢がすてき。これは怖いだけじゃない。ページをめくる手がゆっくりになる。進めない。それでも、目を話さず読みました。超大作なり。

|

« おのおのがた! | トップページ | 『ユージニア』 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 錦秋漫画祭:

« おのおのがた! | トップページ | 『ユージニア』 »