« フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち | トップページ | 『精霊の守り人』 »

2008年10月19日 (日)

万作を観る会 喜寿記念公演・再び

またまた国立能楽堂へ行って参りました。そして今日も、万作を観る会。万作師の喜寿のお祝いの公演です。
まずは、「蝸牛」。野村遼太くんの山伏、野村裕基くんの太郎冠者。主は、萬斎師、後見は万作師。なんて魅力的な組み合わせなのでしょう。もうこの組み合わせで立派な蝸牛ができるのですね。すごいなぁ。遼太くんの山伏、声がしっかりして、動きもきっちり。太郎冠者を騙す際も、きっちりとまじめに騙すところがいい。 そして裕基くんの太郎冠者。小さいながら飄々としていてすばらしい。お二人ともかわいいだけでなく、きっちりと基本に忠実でした。立派さに驚く。
仕舞「笠之段」。野村四郎さん。
「仁王」。博奕打は、萬斎師。あれ?万之介狂言の会でも、博奕で食い詰め仕方なく出家した俄坊主をなさっていたような。参詣人もたくさん。にぎやかな演目。
楽しみにしていた「船弁慶」。本当に見ごたえがありました。
前シテは観世清和さん、後シテは観世銕之丞さん。声がいい。特に銕之丞さんの声のよさに注目。詞がいつもよりわかりやすく感じるほど。いい声でした。義経(子方)は清和さんの子息 三郎太くん。大鼓の亀井忠雄さん、ワキの宝生閑さんと人間国宝もいっぱい。ありがたい。
「船弁慶 重キ前後之替・船中之語・船歌・早装束」。とにもかくにも、特別な小書(特殊演出)。
早装束、これは幕へ走り込んだ船頭がすぐに装束を変えでてくるもの。本当に早かった。頭巾をかぶるだけでなく、さっきまで黒い肩衣だったのに・・・あれ狂言袴は何色だったかしらと驚くほど変わりました。どんな仕組みなのでしょう。 船歌は、間狂言の船頭がおめでたい歌を謡いながら、ときどき足拍子を踏んで船底に波があたる様子を示すものらしい。ここがすばらしかった。船というのはただの輪っか。骨組みだけとすらいいがたいもの。そこに杖一本。櫓をこぐと海の上になる。他の乗っていることになっている義経や弁慶はぴくりともしない。万作師が櫓をこぐだけ。しかも細い杖で。大袈裟に揺れたりするような余計な動作を一つもない。でも周りの風景が変わったとか、水の流れがあるとこか、そういうことを感じる。無駄のない動き、自然のようなリズム感。これは万作師がこぐときにしか感じることはできない。これを至芸と呼ぶのであろう。すごいものをみました。両日観ることができてよかった。いいものって、すばらしい。

|

« フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち | トップページ | 『精霊の守り人』 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 万作を観る会 喜寿記念公演・再び:

« フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち | トップページ | 『精霊の守り人』 »