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2008年11月29日 (土)

歌舞伎座百二十年 吉例顔見世大歌舞伎 夜の部

覚書 
3連休の〆は歌舞伎座。もう先週末のことになっちゃったけど・・・夜の部鑑賞してきました。
一日のうちに演舞場→歌舞伎座と移動して観劇。歌舞伎座ってすごい。しみじみ思いました。舞台の広いこと。奥行きも感じます。客席の明るさの色が違う。このすこーし くすんだような明るさがいい。提灯が、いっせいに灯されたときの赤さも違う。なにより音の響きが全然違う。うーん。これがなくなるとは。本当にイヤだなぁ。寂しいなぁ。

今月の歌舞伎座の充実ぶりは、すごいです。演舞場に通わずにすんだのであれば、もっと歌舞伎座に通いたかったなぁ。見ごたえありました。何度もみたくなりました。
まずは、菅原伝授手習鑑 寺子屋から。みはじめたころは、寺子屋がかかると たいてい寝てしまっていた私ですが、今は ばっちり。この行動は、後にどう繋がるかわかるので、一つ一つの行動にジーンとする。梅玉さんの性急な武部源蔵に、魁春さんの抑えた戸浪の組み合わせがよかった。抑えた悲しさがいい。仁左衛門さん藤十郎はんの、なんだかゴージャスな松王丸・千代もよかった。仁左衛門さんの松王には 泣かされました。なんておおきな人なのでしょう。 そんなに激しく源蔵を止めたら、玄蕃が気づくのではと思うのだけれども、また そこがいいの。理屈じゃないの。魂なの。衣装の色も違うのですね。おうちによって。頭も衣装も人間も大きな松王でした。 しかし、奥にいる自分の子の首を討たすために、早く菅秀才の首を出せと迫るとは。主に そこまで尽くす心というものは、わかるのだけどわからない。現代には もう忠義というものは芝居のなかにしか残っていないかもと思った。命がけって言葉は、言葉だけかも。思いの強さに、ドーンと打たれました。 仁左衛門(松王丸)・孝太郎(園生の前)・千之助(菅秀才)、松江(涎くり与太郎)・玉太郎(小太郎)、と親子競演花盛りでした。 重厚な義太夫狂言。義太夫さんは、わたくし的ゴールデンコンビと名付けている 綾太夫さんと宏太郎さんでした。演舞場で若手の義太夫さん三味線さんコンビに浮かれっぱなしでしたが、渋いお2人をみて うーむ やっぱりいいなと思う。
次は、新歌舞伎十八番の内 船弁慶。登場した武蔵坊弁慶 左團次の大きさに釘付け。あれ?こんなに大きかったかしら。迫力。義経は、富十郎さんだし、四天王に、松江さん・種太郎くん・萬太郎くん・天才 右近ちゃんと初々しいところを並べ、舟子は、東蔵さん・歌六さん・團蔵さんと渋いところ。その上 舟長には芝翫ちゃん。あれ?この豪華さは何?何かの追善かしらと思うほど。芝翫ちゃんの舟長が妙にかわいらしかった。パタパタパタって。 歌六さんが、舟子一役なの今月!?もったいなーい。じーっとみつめちゃった。 静御前の菊五郎は、不思議にかわいい。情愛深い静御前。平知盛になってから菊五郎さんは、激しさよりも、強い気持ちでにらむところが印象的だった。最近、菊之助さん・海老蔵さんの迫力あるきりっとした動きの知盛をみていたので、最初 あれっと思ったが、「霊」の強い思いの出し方はいろいろあるのだなと思った。年齢でまた違うものをみせてくれる。いつもは、見終わると知盛の印象ばかりのこるが、今回は静御前の印象が強かった。
113 最後に、三代目中村時蔵五十回忌追善狂言 八重桐廓噺 嫗山姥。これは本当に追善の演目。
以前にも時蔵さんで、また菊之助さんが挑戦されたときにもみた演目ですが、はじめてみたかと思うほど新鮮で面白かった。梅玉さんのぽっぽや(煙草屋)がいいの。源蔵もよかったし。今月、ぐっと「梅玉」株があがりました。孝太郎さんも、キリっとした女子でステキでした。腰元お歌の歌昇さんの、にくめないかわいらしさが、さすが。なにはともあれ、八重桐の時蔵さんのよかったこと。ひきつけられました。煙草屋実ハ坂田蔵人の梅玉さんが、元夫。いることがわかり、あてつけるように蔵人を巡っての痴話喧嘩の様子を語るところがみどころって、すごい設定。そして魅せます。面白かった。そこから逃げ出した蔵人 梅玉さんは、八重桐 時蔵さんを離縁したのは親の仇討ちのためと明かす。すると、どうやら妹白菊(孝太郎さん)がすでに仇討ちをしていたらしい。妹とはいえ、せっかく仇討ちができたのに、急に腹をきる梅玉さん。私の臓腑をたくすから、姫を守れという。しかも、臓腑を お腹から直接食べさせるの。自分で割いた腹に、口をつけさせて。そんなー。 梅玉さんの魂が体内に宿った時蔵さんは、怪力を得 悪を退散させるのでありました。 そんなー。怪力を授けれても・・・これから一生姫を守ることになっても・・・もともとは、ある館から自分の夫であった坂田蔵人の作った歌が聞こえて来たので、ちょっとのぞいただけなのに。ものすごい話だなぁ。あー面白かった。歌舞伎を見た!って気分になりました。
今月は、歌舞伎座も演舞場もかっこよくて、しびれっぱなし。 (国立でもやってましたね・・・)
千穐楽の翌日は、玉三郎さんや、勘三郎さんたちが、歌舞伎座で「海外公演座談会と舞踊のひととき」の舞台が。明日11/29には、仁左衛門特別公演が大阪で。そして南座顔見世は、明後日11/30から!大変だなぁ。あー南座みたいなぁ・・・

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2008年11月28日 (金)

花形歌舞伎 夜の部

覚書。
あまりにも、仁木弾正のドロドロがすごかったので、ついつい買い足しちゃった。だって、一番前の席がでるのだもの。観においで、ドロドロドロ・・・ その呪文に吸い寄せられるように演舞場へ行って参りました。
この場は、お家乗っ取りの陰謀とか、そういう理屈はどうでもいい。いかがわしい程格好いい。しびれます。 あんなに健闘していた政岡に申し訳ないほど。わたくし、こっちのチームにつかせていただきます。登場し、一言も発せず去っていく。それだけ。それだけなのに、どうしてこんなに人の心を掴むのでしょう。本当に妖術かも。劇場中が息をのんで凝視してました。オレをみるのは当然。静かに力強くひっこむ。なんでこんなに、すごいのでしょう。蝋燭の灯りだけなのに、得体の知れない輝きがありました。本当に、この記憶しか残らないほどすごかった。
花水橋の、亀三郎さんの頼兼、声がいい。はじめから安定してずっとうまい。対決の場で大切な伽羅のぽくりを履いて遊郭に通わすと、責められていたなと思いだす。だから、匂いを嗅いでうとりしていたのね。何度もみると、いいことあるなぁ!?
竹の間・御殿の、菊之助さんのみごとなこと。鶴千代への思いと、千松への思いがいい。主も子も大切。毅然としていて格好よかった。立派だなぁ。愛之助さんの八汐、すこし落ちつき なおよいです。すごかった。わかりやすい悪。それがいい。鶴千代・千松コンビは2組あるのですね。どちらもすばらしかった。 菊之助さんの政岡の、子への愛情、主への思いが、大袈裟すぎず、深い愛情でみごとだなぁと思う。あんなにお若いのに。力まずにしっかりとしていて、話にひきこまれました。ちょっとない感じがしました。立派だなぁ。
対決。目力男、仁木弾正。渋すぎる大袈裟な声もかっこいい。いつも、なぜ弾正だけ足袋をはいているのか不思議でしたが、裸足の足まで白くぬっていることがわかりました。なるほど。ちょっと松緑さんの勝元が、大袈裟に明るすぎたかな。 刃傷の大暴れも堪能。大大大満足。
「龍虎」 演舞場中で、一番 竹本に近い席のときには そこばかりを見ちゃった。演奏場所の設定が、客席に近いのだもの。音がすごい。あんな近くで弾かれたら あなた、そりゃじっと見ますわよ。 愛太夫さんの声なんて、隣で語っているかと思うほど。三味線のドーンて音によいしれました。その奥から琴の音も、あっちからは長唄に尺八に。音の洪水のよう。舞踏はちょっと昇華されていたかも。獅童さんは頭をまわすときに、「シュッ」って言ってました。がんばれぇ。最後、顔を伏せた龍と虎。顔をあげると隈のない顔に変わっている。愛之助さんのすがすがしい真っ白な顔が美しかったです。言いたいことが、いろいろある踊りなのでしょうね。他ばかりみちゃったけど。
もう、今月は 仁木弾正のドロドロにもっていかれました。ドロドロドロ。あの煙の匂いからして、ドキドキします。すっぽんから仁木弾正登場。ひえーかっこいい。何度みても!?さらにカッコいい。 一言も発せず、花道を、じりじりと去っていく。それだけ。会場中の心をわしづかみにして。あんなに劇場中に凝視されても、なお人を惹きこむ。本当に、この記憶しか残らないほどすごかった。(ちゃんと、いろいろなコトが心に残っています。)

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花形歌舞伎 昼の部

覚書 
11月後半、またまたみて参りました。演舞場 花形歌舞伎。
「伊勢音頭恋寝刃」後半になりましたら、初日より落ち着いたように思います。緊張感がちょっと落ち着き、ゆっくりみることができました。
みればみるほど、のんきでいいですね 門之助さんの、万次郎さまは。でもあの若旦那(万次郎)は、命がけで取り返してくれたあの大切な刀を、また無くしちゃいそうだなぁ。 海老蔵さんの貢は、最初はキレもので、絶対になんとかしてくれそうでした。 それにしても、どうやって刀を取り戻したのでしょう。黒幕がわかったとはいえ。 
キレものだけど、どこかのんきな二見ヶ浦の場面、好きです。あなた、もそっと早く言って下さればいいのにと言って、結局悪人を追わないところがすてき。 この状のあて名が読みたいものだなぁという 立ち廻りは、きれいでした。読めたって、うれしそうにいうのだもの。
そして、油屋。最初に貢さんが油屋を訪ねたとき、万次郎さまが大林寺の裏にいると言われる。そのまま、そこへ向かったら何も起こらなかったなぁと思いつつみる。 あれはね、お岸が また万さまに逢いたいと 一生懸命ひきとめるからだなぁ。女のそういう恋心が 何かを狂わせるのね。 吉弥さんの万野は、きもちのいいイジワルぶりでした。一文の特にもならない人の相手をするのは・・・なんて台詞すごいなぁ。 しかし この段は、貢さん 見放題ですね。幸せ。 大勢の前で、お紺に説明しようと必死になる貢。けれども、ちっともみみっちい男にならないの。 若くて抑えがきかなくて怒りまくる様がよかったです。 とうとう、万野を斬ってしまう。その後、刀に取りつかれたように人を殺していいるところ、やっぱりいいですね。初日は取り付かれてしまった目の力を感じたのですが、後半にみたときは、心が離れてしまい、ただ刀が勝手に殺しているように感じた。心がないまま刀に操られ人を斬る。きれいな顔をした人が、めったやたらに人を斬るというところが、逆に凄みを増し怖かった。 とにかく「見せ場」という感じ。華のある人です。
愛之助さんの喜助は、颯爽としてます。ちょっとしか出てこなくても、出てくるだけでちゃんとその雰囲気になります。追駈け地蔵前の場では、新十郎さん・新蔵さん大活躍。うまいですね。獅童さんよりもみちゃった。
おかしみのある場も落ち着き、全体の雰囲気もよくなったような気がします。全員、必死で舞台をつくっていて、こういうのもいい雰囲気だなと思います。
「吉野山」これは、最初っから安心。菊之助さんの出のきれいなこと。花道に登場し、七三のところで踊るところがとにかくすばらしい。もうね、光っていましたもの。優雅でした。うっとり。松緑さんもはりきってました。景清の語りのところが好き。義太夫のとこ。逸見藤太の顔でもステキでした亀三郎さん。本当に声がいいわ。明るく終演。

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2008年11月16日 (日)

岡村桂三郎展

107 昨日、神奈川県立美術館 鎌倉にいってきました。なぜならば、岡村桂三郎展 開催と発見したので。2年前の夏、国立近代美術館の「モダン・パラダイス展 大原美術館+東京国立近代美術館―東西名画の饗宴」で、会場の最後にあった 岡村桂三郎の「黄象05-1」に圧倒されたので。 なんて格好いいのだろうと。現代の作家の作品。私この人と結婚しよう!と作品をみただけで決めました!? そのまま月日が流れました・・ 岡村桂三郎展という名に、もしやその方は・・・と、駆けつけました。(1986年にすでに結婚なさってました。) 作家によるギャラリートークもあったようです。もう少し、早くこの展覧会に気がついていたら。ちょうど開催していいた、学芸員によるギャラリートークをきき、その後じっくり見てきました。かっこいい!(作品が。 108_4
19点の作品からなる展覧会。19点といっても、高さは2~3m、厚み10cmの木の屏風。会場を入ると、両側の屏風に圧倒される。おかしくなるほどの迫力。右側をみようと後ろに下がると、左側の作品にあたってしまいそう。なんだかわからないような、せまってくる迫力が、この作品にぴったり。一度焼き黒くした木の衝立のような屏風に、岩絵の具で、象・迦楼羅・鳥などが描かれている。その生物の表面は鱗のような柄で覆われる。その奇妙な質感、多く描かれた眼の力に、不思議な気持ちになってくる。こんな作品はみたことがない。屏風で迷路のようになった作品の間を歩く。面白い。最後に、中庭に面した1階へ。テラスからは鶴ヶ岡八幡宮の平家池がみえる。作品と池が一緒にみえる。なんともかっこいい。しみれました。
この美術館にはじめてきました。クラッシック(古めかし)さがいい。 ここのチケットで、ここから5分ほど離れた神奈川県立美術館 鎌倉別館にも入れるということなので、いってみる。ここは「美浦康重版画コレクション」をやっていました。美浦康重氏のがあつめた細密版画。こまかい。大きな作品をみたあと 移動し小さな作品を鑑賞。極端でおもしろい。
岡村桂三郎氏の作品のかっこうよさにしびれました。氏は、「獅子08-1」という作品で第4回日経日本画大賞を受賞。ニューオータニ美術館で大賞展を開催しています(11/1~)。ところが、大賞受賞作品は、神奈川県立美術館 鎌倉に展示中(~11/24)という不思議な事態になっているそうです。
象、兎、想像上の迦楼羅。そのうねるような、静かに怖い視線が、すごい。うごめくというような、ゾワゾワした感じ。この美術館でみる効果も+し、印象強いものとなった。

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江戸宵闇妖鉤爪

国立大劇場にて上演中の乱歩歌舞伎。一昨日 金曜日は、19時開演の日。安い席があったら・・と当日狙いで行ってみました。見事、「三等席、あと一枚あります。」という切符を獲得。1500円というのがうれしい。3階は飛んでくるしね。(最後、大凧にのって染五郎さんが飛んできます。隣の席にいらしたご婦人は、大凧が飛んできているのに、クークーとお休みになってました。起きて~ 染五郎さんに悪いわと思いました。)
1時間づつ、二幕上演。一幕目は、ちゃんと歌舞伎じゃんと面白くみる。いくら設定を江戸時代にしたといわれても、「明智小五郎です」と言われると、ガクッとくる。おかしいよ。 二幕目からは、なんだか無理やりさがすごくなり面白かった。歌舞伎だから、なんでもありとはいえ、なんでもありでした。明智と人間豹の息詰まる対決とかかれていましたが、息はつまりません。それはどうなの~。 でもね、全体的にとてもエンターティメントでした。楽しかった。なので、これでいいのです。楽しかったもの。ひもがしっかりみえて、飛ぶっていうのが、逆にいいの。これって型の力ですね。不思議さでなく、人をみせるのですもの。謎もとくに大事じゃない。それでも楽しいのってすごいことです。 

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2008年11月14日 (金)

『里見弴作品集 初舞台・彼岸花』

里見弴『里見弴作品集 初舞台・彼岸花』(講談社文芸文庫)を読んでみました。
いいところの家庭ですごされた方のようです。兄は有島武郎。父の許しを得られないので、里見弴の名で「白樺」に初見参(デビュウ)す。と、巻末のりっぱな年譜にのっていました。
さて、作品。思い悩みが満載。言葉つがいが、見慣れないものなので、読むのもゆっくりとなる。
~ 二十七歳と聞いて吃驚(びっくり)しない者はないくらい、十八貫台という、年齢(とし)不相応な肥満ゆえか、十人並みの容貌(かおつき)ながら、十は更けて見えるし、挙措(たちい)、言語(もののい)にもまた、老成じみた落ちつきともの静かさとをもつ人だった。 ~ 「初舞台より」
一文が長く、話言葉なので、あれ?これどっちの台詞となんどもゆっくりと読んだ。時代を感じるなぁ。いわずに伝えるところを含んだ、ゆったりとした話言葉。 今のあえていわない、触れない書き方とも違う。行間から漂う空気が違う。
短編を読み終わっても、ん?と首をひねっちゃった。どういう意味?とまた読み直す。そんな難しさがあった。なるほど、文芸文庫だなぁ。
 
河豚/俄あれ/銀二郎の片腕/椿/鶴亀/みごとな醜聞/初舞台/彼岸花

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2008年11月11日 (火)

『藤十郎の恋・恩讐の彼方に』

菊池寛の『藤十郎の恋・恩讐の彼方に』(新潮文庫)を読む。初期の作品集みたいです。歴史もの。著者は、創作によって封建性の打破に努めたとあります。うまいだけに、なんだかもぐったりきました。封建性にあたったと言ってもいいのでは。主のため、忠誠を尽くすこといよって失われるものや 恩だの仇だの、もう現代の人が大事にしていないもののよさと、重苦しさがありました。
「俊寛」に、もっともぐったりきました。俊寛僧都は、ちっとも情に深くなく、人間そのもの。流された現実を、愚痴ることでしか受け入れられないさまがうまい。うまいので、ぐったり。最後の展開も、もうよくわからない。そういう生き方もあるのねなんて落ち着いて読めない。そうですか と受け入れるしかないような。 この時代の文学は、こういう感覚だったのだろうな。人々の常識も、こうだったのだろう。現代とは大きく違う。わたくしの晩年になったら、その時代の文学がよくわからなくなっちゃうかも。そうしたら、手持ちの本を読んで楽しく暮らせばよいのだけどね。時代の流れを感じた。「極楽」なんて、どうしたらよいのと途方にくれました。「形」は教科書の定番だな。道徳的要素がいっぱい。これはわかる。
「藤十郎の恋」を楽しみに読んだのですが、「ある恋の話」が面白かった。芝居小屋に歌舞伎をみにいくような様子がかかれていると、惹かれます。残酷だけど、小気味よいという面白さ。解説は、吉川英治。すごい。

恩を返す話/忠直卿行状記/恩讐の彼方に/藤十郎の恋/ある恋の話/極楽/形/蘭学事始/入れ札/俊寛

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2008年11月10日 (月)

歌舞伎座百二十年 吉例顔見世大歌舞伎 昼の部

覚書
106 歌舞伎座へ。訪れるだけで、ここがなくなっちゃうなんて・・・と せつなくなる。やだよー。事故がおこるまでそのままでいいじゃんと無責任なことすら思う。スカラ座やオペラ座とかはどうなっているの?どうにかなるのでは?どうにかして下さい。 
歌舞伎座昼の部は、通し狂言。「盟三五大切」演舞場の政岡があまりにも立派で、これは花形歌舞伎でなく もはや大歌舞伎ではと思った。昼の部をみて、ううう。大人の歌舞伎だと思う。これぞ、まさに大歌舞伎。しびれましたぞなもし。
冒頭の佃沖新地鼻の場、船ですれ違う場面から、もうノックアウト。かっこいいーーー。あたくし、3階Bでみていたのですが、ものすごく集中しました。遠さを忘れるほど。これ、1階でみていたら、気絶しそう。そのぐらいかっこいい。 いみじくも、しをん大先生が、この演目(盟三五大切)での時蔵さんの、お色気にクラクラされていたように、わたくしも色っぽさに参りました。それよりも、菊五郎さんの色気ったら、あなた。かっちょいい。この色気は、若造にはだせませんぜ。 芸者小万の時蔵さんは、三五郎(菊五郎)という亭主がいながらも、仁左衛門さんの源五兵衛をだましす。だましながらも、気になるというのも、よくわかる。だって仁左衛門さんだもの。伊之助の錦にぃ、粋でいなせっていうのは、こういう感じというかっこよさ。随分と粋な感じになりましたこと。くそまじめに、主人に意見する、孝行ものの六七八右衛門は、歌昇さん。ひたむきさが、いいの。甥に意見する富森助右衛門の東蔵さんは凛々しいし。家主弥助の左團次さんの調子よさもいい。殺しまくる仁左衛門さんのかっこいいこと。名乗るだけで、しびれちゃう。もうね、うまい人しかいないの。舞台のしまることしまること。見事。日本中の人にすすめたいです。
結局、因果は巡るて感じの話なのですが、筋なんかどうでもよくなるほど、場面場面がかっこいい。登場の仕方がきまりすぎ。船も、丸障子も、樽も。こんなかっこいいの、現代の演出家からしたら、くやしいだろうな。奇をてらうだけでなく、ちゃんとつじつまもあうのだもの。どれも、絵草紙にして発売しそうなかっこいい場面ばっかり。何より、菊五郎・時蔵・仁左衛門のかっこよさといったら。はぁ~。
もうひとつの演目は廓文章 吉田屋。藤屋伊左衛門は、藤十郎はん。あまりにもかっこいい舞台のあとなので、より藤十郎はんが のんきにみえました。いつまでも、若だんはんな方ですねぇ。絶対に、周りが助けてくれそう。なんてのんきなのかしら。もちろんいい意味で。夕霧は、魁春さん。仕方ないなぁと寄り添っている雰囲気がよかったです。
三五大切にしびれっぱなしで、帰路につきました。

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巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡

覚書
先週金曜日、仕事帰りに国立新美術館へ。「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡 」展をみる。サントリーの方が、点数も多すぎず、シックでいかした展示だったので、こっちはもうみなくてもいいかなと思ったのですが。すばらしかったです。見逃さなくてよかった。ピカソは、ダイナミックなイメージがあったのですが、「線が丁寧」、「色がきれい」、「うまい」としみじみ思いました。ダイナミックなラインは、偶然の産物などではないのですね。なんてすばらしいのでしょう。
ピカソが最後まで手元にとどめていたというコレクションのすごいこと。パリの国立ピカソ美術館改装中に、世界巡回するだけのことはあります。ピカソ万歳!
この展示は、「初期の青の時代からキュビスムや新古典主義の時代をへて、第2次世界大戦を乗り越えた晩年までの創作の軌跡を、油彩画を中心とする約170点でたどります。」 とあります。
<初期の青の時代からキュビスムや新古典主義の時代>
最初の一枚は、青の時代。『ラ・セレスティーナ』深い表情だけれども、ひんやりとしない青。この時代のものは、これ1枚。次にバラ色の時代。 『マドレーヌ』印象をそのまま絵にしたらこうなるのだろうな。頭の中に浮かんだ顔を、形にして描くことができる人がいるんだなと思った。とにかく、心にのこったのは、あの横顔。そんな印象をうけた。とてもきれいな絵でした。 キュビスムへ。『二人の人物のいる作品』森の中に、よくみると人がいる。絵の中に隠しているのではなく、森の深さにとけこんでいる。森を描く気持ちと、人を描く気持ちが、混ざらずに、それぞれ存在している。絵としてはとけこんでいる。解体して組み立てる、キュビズムって面白いかもと思わせる一枚でした。 『泉』おおきな作品。藤田嗣治の輝く白を連想した。 針金の作品、『人物』。とにかく楽しくなる。ちょうど正面に回り込むと、ついにっこりしてしまう。部品で構成されることって面白い。
<戦争を乗り越え、晩年へ>
『泣く女』あふれる悲しさ、どうしようもなさが、色がつくことにより、こんなにも変わるのかと思う。 『ドラ・マールの肖像』『マリーテレーズの肖像』。美しさ、優しさの感情を、どちらにも抱いた。けれども、それは違う種類の美しさであり、優しさに見えた。この女性もこの女性も愛したのだなと思う。ジャクリーヌも然り。愛してしまったのだからもう、どうしようもない。 『鳥をくわえた猫』かっこいい。描いた日付を大きく書いている。制作の日にちまでわかるのですね。日付はあるのに、サインはない。そのデザインの意味は何だろう。 『朝鮮の虐殺』現代の作家なのだなと改めて思う。戦争になったら、もうどうすることもできない。絵は、どの国の人がみてもわかる。手も足もでない状態が強く印象に起こる。 『デッサンするクロード、フランソワーズ、パロマ』こんなに魂のうごくまま人を女性を愛してきた人なのに、晩年もこんなに楽しかったなんてと思う一枚。かわいい。『膝をかかえるジャクリーヌ』にも、そう思う。 今回、一番気に入ったのが、『草上の昼食(マネに基づく)』1961年7月12日 なんてきれいなのでしょう。
一点では伝わらない。ピカソが描いたという説明により、すごいのだろうなというイメージで見てしまう。ありがたがってしまうところがあった。ここは、まるごとピカソ。約170点もの作品に囲まれ、全部同じ人がつくったのかと驚き、全部同じ人だろうなとも思う。圧倒される。そこが楽しかった。これでもか、これでもかと作品をみせてもらい、すごすぎて可笑しくなってくる感じ。まいった!

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2008年11月 8日 (土)

『体内時計+』

寺島しのぶさんの『体内時計+』(ポプラ文庫)を読む。
自分の中のイライラの出し方がいい。よく思われたいとか、理窟っぽいというものとかが、あまりないところがいい。 誰でも、自分は コンプレックスのかたまり と思っているように思う。 でも この人は、誰が見ても、「コンプレックスのかたまりだろうなぁ」と思われる人だと思う。あがいてそうに見える人だ。 解決してない気持ち、あがいている様がつづられている。素直な人だと思った。 書くことにより、気がつくこともあるのだろうな。 しのぶさんをもっとすきになったし、寺島家全員を もっと好きになった。 読む前から好きだけどね。 もっと好き。さらに好き。

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『チーム・バチスタの栄光(上)(下)』

チーム・バチスタの栄光をドラマ化。予告をみていたら、本と違う結末を用意したと言ってました。なんで、本とちがう結末を用意するのであろうか。その疑問を解き明かすべく読み直し。海堂尊『チーム・バチスタの栄光(上)(下)』(宝島社文庫)。
バチスタとは、左心室縮小小形成術の手術の名称。今回のドラマの田口医師は、男子。元チビノリダー。竹内結子じゃないのね。他の出演者は誰だったかな・・思い出せないと思ったら、映画をみにいっていませんでした。
ドラマの1回目をみたときには、あれ?どうなるのだっけと思いましたが、2回目をみたらすっかり思い出しました。わりとあからさまに伏線を張っているような。そうだったと思い出す。今年読んだ本を、もう忘れるのもどうかと思うけど。やっぱり面白いね。結局、ずっとドラマもみてます。名取裕子が、おばちゃん看護婦役のオファーを受けたことに感心する。いさぎよい。グッドだ。いい感じのおばちゃんぶりです。自分を受け入れてエライ。2時間ドラマでは、まだまだ若美人女子度が強いので。そんなことまで考えながらTVをみる。 キャスティング、この2人とり替えても(桐生先生と白鳥)、成り立つな とか。
海堂尊さんって、本物の医師なのね。前によんだときに驚いたのに、また驚いた。 病院内ものの本って面白い。
世界的名医を鳴り物入りで召集。その若い天才医師 桐生が召集したバチスタ手術のチーム。手術は、30連勝で成功を収めていた。ところが3回術死を出した。チームリーダー自らの要請で、第三者による検証を依頼される。ミスか、不運か、人為的なものなのか。そこで狩り出されたのが田口先生。ドラマだと、情が強い。本では上巻は田口先生の巻なのに、ドラマでは下巻にならないと登場しない もう一人の主役、厚生省の白鳥(中村トオル)が最初からひっかきまわす。白鳥は、中村トオルより、本の方がダメージがくる。ドラマだと、好意的にもとれる引っ掻き回しっぷりだから。でも、本はすごい。問題解決のために手段を選ばなさすぎに不快感。そこまで強烈に巻き込んでくる。面白い。 
前回読んだときは、こんだけひっかきまわしておいた後のことがすごく気になった。個人的に、人付き合いについて悩んでいたからだな。難問解決しても、ぎこちなさは解決できるのかと思った。 今回は、そこは全く気にならなかた。むしろよかった。 その時々で、感じ方も変わるのね。再読のよさまでも実感。

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2008年11月 4日 (火)

横浜三回忌 ~鑑賞編~

文化の日、学友たちと横浜トリエンナーレ2008へいってきました。(三浦しをん好きにとっては「横浜三回忌」。)前回の横浜トリエンナーレのときにも、皆でくりだしました。あれから3年。(トリエンナーレだから当たり前だけど。) 仲間うちで、3組結婚し、2人ベイビーが誕生しました。3年の年月を感じましたことよ。
横浜美術館で集合。イエノイエノイエをのぞき、リングドームに入り、一番大きな会場「新港ピア」へ。」、「日本郵船海岸通倉庫」、「赤レンガ」を見学し、汽車道を通り桜木町へ。全部徒歩移動。それも、ひっきりなしにしゃべりながら。笑いしわができるほど笑いました。ちゃんとアートの話もしました。ちょっとは。
横浜トリエンナーレ2008のテーマが、「タイムクレヴァス」だということをはじめて知りました。それは私が知らなさすぎ。
が、今回は、全体的にちと わかりにくい。新港ピア・日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)・赤レンガ倉庫1号館・三渓園と、離れた4ヶ所で開催するのって、面白そうなのに。いかんせん わかりにくい。「それで、どうしたらいいの?」と途方にくれます。
見た後、家で調べてみようと思っても、検索しにくい。「結局、わたしがみたのは何?」と思いました。
新港ピアでは、通路がわかりにくく、作品を見逃しちゃいそうでした。こまかくわかれているの。この部屋おもしろいのにみんなちゃんと見るかな?と心配しました。そういうのを察することができる、興味をもった若い人が沢山足を運んでいましたので、成り立つけど。全体的に、そういうもったいなさが漂いました。
なんだかんだいいましたが、不思議だなぁと楽しかった。それだけに、ちょっと惜しいなぁ。
■横浜美術館
大巻伸嗣によるシャボン玉を使ったパフォーマンス「Memorial Rebirth」。この日は、横浜美術館正面の噴水のある広場で開催。このシャボン玉製造機は、並べ方によっても面白そう。子供も大人も、楽しくなる。意図するものがあるのだろうが、そこはつかめず。風に乗って、噴水の水面を走るシャボン玉がきれい。子供が、うれしそうにシャボン玉にまとわりついてかわいらしかった。
■イエノイエノイエ
こんなイエいい。イエの形っていい。
■新港ピア
テクテク歩いて、次に今回一番大きな会場へ。
巨大な作品が多かった。音のするものが多く面白い。いろんな感覚で感じよということかな。
ペーター・フィッシュリ&ダヴィッド・ヴァイス
パンダと長いしっぽの生き物が、豪華なお屋敷の中で、変な方向に追いかけっこする映像。『ラット アンド ベアー フィルムの一部』顔はアリクイみたいに長い。パンダなの、クマなの、ぬずみなの?ラット アンド ベアーでした。楽しそうなのだけど、もっと大きな生き物がでてきて、とって喰われるかと怖くもある。でもかわいい。絶対に深い意味がありそうな、なぞめいた映像。わからなくても、何だかスキ。
別の場所では、この2匹がすぅすぅ寝てる。『ラット アンド ベアー』これほしい。本当に。くぅくぅ、すぅすぅ寝てる。かわいい。
ペーター・フィッシュリ & ダヴィッド・ヴァイス(Peter Fischli & David Weiss)は、スイスの人だそうです。
キュート系でもうひとつよかったのが、ペドロ・レイエス 『ベイビーマルクス』
映像作品だけどかわいい。ひょっこりひょうたん島風の人形による人形劇。マルクス、スターリン、毛沢東とか。かわいいといっていいのであろうか。音楽にノリノリになって踊る様がかわいい。絶対に意図があるはず。でもわからず。Tシャツがほしかったけど、思想を背負ってまで着るほどわかっていないので断念。
見逃しそうな部屋にあったのが、シルパ・グプタの『見ざる、言わざる、聞かざる』 。これ気に入りました。巨大な写真作品。海で山で、大自然の中、大勢で「みざるいわざるきかざる」をするの。
インスタレーション
ケリス・ウィン・エヴァンスの『あ=ら=わ=れ』
まあるい鏡のモビール。その上、裏から音が出ている。ユラユラとするので不思議な音。部屋の隅の人の顔が突然写ったり。不思議な揺れ感。お金持ちでお屋敷の部屋があまっていたら、こんな部屋があるといいかも。
一番奥の展示は、ミケランジェロ・ピストレット。『17マイナス1』。巨大な17枚の鏡が並んだ空間。うち一枚だけが割れていない。帰ってから知りましたが、パフォーマンスを経て今の形になったそうです。巨大なハンマーで次から次へと鏡を割る。その巨大ハンマーが無造作においてあった。
これが、「インスタレーション」というものかしら。わかったようなわからないようなモノだったのですが、割っているのを観ている人も含めパフォーマンスであるというのかしら。割れてないのが現実か、逆なのか、意図を感じさせます。 わからないけど。
ここ結構おもしろかったです。
■日本郵船海岸通倉庫
ふだんから、BankART Studio NYKという名前で、アーティストたちの制作の拠点となっているそうです。マシュー・バーニーや勅使河原三郎は大行列でみることができませんでした。
あとで意味がきになった残酷もののビデオ作品がありました。。
ヘルマン・ニッチュの映像。キリストの磔を思わせるシチュエーション(想像です)で、延々と儀式みたいなことが続く。生贄というか、解剖というか、処刑というか。残虐だけど、わざと造った映像感がある。とにかく残酷。 それと、ホ゜ール・マッカーシーの映像。360度でホラー映画見せ付けられている感じ。うへぇ。ちょっとヘルマン・ニッチュの映像にあるのと同じ意義が根底にあるのかも。全然わからないけど。 しかし、なんでこんな気持ち悪いものを作ったのだろうか。もうみたくないけど、何の意味なのだろう。この嫌な感じは何のためだろう。それがちょっと気になった。
ビデオ作品が沢山。コヨーテとか蛙とか音とか色とか。不思議でした。
友(す)が、楽しみにしていたという ポール・チャンの『6番目の光』。床に投影された窓の映像。風、光、雲、ビン、人?得体の知れないなんだか不安になる雲みたいなものが横ぎる。横ぎるというか落ちる。光が強くても弱くても、「何か」があるようで、じーっとみちゃった。
ここには、いしいしんじさんが面白かったと言っていた、ロドニー・グラハムの『銅鑼にじゃがいもを投げつける』がありました。"Lobbing Potatoes at a Gong, (1969)", 2006。いしいしんじが誉めたから、10倍よくみえた。ビデオ作品。山もりのじゃがいもの横に座って、銅鑼に投げつける。あたらないと不愉快そうな感じがおかしい。何よりもあたったときのゴーーーーンっていう音がまぬけでおかしい。しかも、それを周りでみている観客がいるの。銅鑼にあたっても反応ないの。それもおかしい。きっと、ただそれだけじゃないのだろうけど。意味はわからず。でも面白い。隣の部屋には、ご大層に陳列してあるビン。「じゃがいもウォッカ」。ドアの前に大量のジャガイモがある「じゃがいもだらけでスタジオに入れない」という写真。なんだこの大マジメなおふざけは。隠された意図があるはず。知らないけど。 面白かった。
この建物の外階段が怖かった。らせん階段みたいなの苦手です。
■赤レンガ
最後に、赤レンガへ。ここはあえて古くした感じ。もっともわからなかった。前提知識って必要。インテリじゃないとダメですかとつぶやきたくなった。よーくみたら、少しはわかるかな。ちょっと気になった。この日は、ドイツ・デー開催日。ドイツ映画や、レクチャーがありました。結構人がきてました。インテリさん?
やっと、ちゃんと鑑賞できました。面白かった。クタクタになるほど楽しみ、横浜で祝杯をあげました。飲んでばっかりだなぁ。

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2008年11月 3日 (月)

花形歌舞伎初日翌日 夜の部

初日に興奮しすぎたせいかしら。昨晩、頭痛に襲われる。今日は用事をとりやめにさせてもらって、夜の部まで休養。予定がとりやめになるとがっかりしちゃうのに、人にしてしまいました。すみません。しちゃいけないなぁ こういうこと。 バファリンのんで、演舞場 夜の部にいってきました。そしてまた興奮する。学ばないなぁ。

「伽羅先代萩」
夜の部も通し狂言。難しいこの演目 なのにじっくりみせてもらいました。花形歌舞伎なんてものじゃない。 しっかりした舞台で、驚きました。みごたえありました。
花水橋; 亀三郎さんの頼兼、声がいい。うまい。いつももっと活躍してほしい。男女蔵さんの絹川谷蔵も似合ってました。発端ですが、そんなにわかりやすい場面ではないのが不思議。
竹の間・御殿; みごとでした。菊之助さん、達者ですね。鶴千代と千松をみつめるまなざしの違いも、きちんと伝わる。情の深さ、主を思う気持ち、子を思う気持ちがよくでたうえ、毅然としていて格好よかった。立派だなぁ。愛之助さんの八汐、ややはりきりすぎのようなところも ちょっとありますが、すごかった。わかりやすい策略、ものすごい意地の悪さ、そういうのが気持ちいいほどでていました。政岡と、八汐の間がすごい。バチバチと音がしそうで、ワクワクしてみました。沖の井(門之助さん)と松島(吉弥さん)もいいの。八汐側かと思いきや、毅然として善をつらぬく。気品があって、よかった。 鶴千代と千松もすばらしかった。鶴千代の、政岡を牢獄へやらぬとしっかりと言い放つところにじーんとしました。さすが、上に立つ人は違うと思っちゃった程。千松のけなげさにも泣かされました。えー子や。
床下; 菊之助さんの政岡に、うっとりしていたところ、床下。獅童さんの男之助がでてきたあと、ドロドロドロと煙が立ち込め、すっぽんから仁木弾正登場。海老蔵さん。せりあがってきました。最初、目がでてきたところで、すでにノックアウト。ひえーかっこいい。巻物をくわえ登場。一言も発せず、花道を、じりじりと去っていく。それだけ。でもそれだけじゃないの。ものすごい存在力。妖術くらいつかえそうでした。劇場中が息をのんで、凝視する中、静かに、力強く、ひっこむ。なんでしょう、この吸収力。全員にじっとみられても、そんなの跳ね飛ばしちゃうほど自分から光をはなっちゃう感じ?もう、この記憶しか残らないほどすごかった。ここ見るためだけに、世界中から来てもいいのではないかしら。(←これは大袈裟。) そのくらいすごかった。
対決・刃傷; こんどは、しゃべりました仁木弾正。でもすごいのは目力。目を左から右に動かすだけで、ふるえあがるほど怖い。その証拠の品もとりあげろと目でいうところなんて、ひえーっと声を出しそうになったほどの迫力。外記の男女蔵さん、ヨボヨボと必死に正義をつらぬこうとがんばってました。息子の民部、亀三郎さんもきりっとしてよかった。でも、あの目力男、仁木弾正にはかないません。あーかっこいい。その上、衣装も似合う。あの黒にあられのような裃、すごく似合う。悪くて、強くて、かっこいい。 そこへさわやかに細川勝元 松緑さん登場。気持ちのよい正義の味方でした。 対決の場で、いつも不思議なのは、弾正だけ足袋をはいていること。あとの裁きの場に出されている人は、みな裸足なのに。今日も、不思議に思う。 
最後に刃傷。もう この弾正の迫力といったら、尋常じゃあ ありません。今月、それを止める侍達の内、何人か本当に 弾正に刺されてしまうかも。そんなこと心配するほどの迫力。花道から客席をじーっと見回してはいってくる弾正のこわいこと。外記に似た人がいたら、観客でも斬られるかも。大迫力。何をしても、歌舞伎っぽい大袈裟さが、なんともたまりません。ちょっと眉毛の動きが止まるといいのだけど。こんな大迫力みたことない。大満足。悪は滅びる、正義は貫かれる。そういう話だけど、悪のすごさが印象に残りました。
大満足。
最後は、「龍虎」。暗闇の中、竹本の演奏がはじまる。そっちに夢中になりました。いろんなことが盛り込んである踊りのようです。いろいろいいたいことがあるのは、伝わりましたが、何をいいたいかまではちょっとわからなかった。三津五郎さん振り付けだそうです。最後の場にびっくり。きれいでした。

余は満足じゃ♪

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2008年11月 1日 (土)

花形歌舞伎初日 昼の部

初日!海老バカ (海老蔵さんをバカみたいに贔屓し、バカみたいに愛する人々) 全員集合と思われる 演舞場に参上!こちとら、立派な海老バカなもので。おさると一緒に着物をきて、はりきって向かう。向かうところ敵なしじゃ。なんのこっちゃ。
「伊勢音頭恋寝刃」
油屋、奥庭しかみたことがなかったので、通し狂言はわかりやすい。特に、なぜ名刀青江下坂を捜すはめになったのか、よくわかりました。でも、序幕の部分は、ちょっと間違うと冗長になりやすいので、普段はかからないだろうなぁとも思いました。若手で、奮闘してました。おかしみのある役がらって、難しいのだなぁと実感。今までみてきたものは、年期の入った役者さんたちがさらっと演じていて、毎回 面白く、それが当たり前と思っていました。さらっと当たり前に面白いということのすごさについても考える。 今日の舞台は、緊張感にあふれていましたが、みなが丁寧に、真剣に演じている感じでした。そういうのも、いいものだなぁと思いました。
門之助さんの、万次郎さまが、のんきでよかった。(9月の小万をみていらい、すっかり気に入りました。)あんな若旦那に、大事な刀を渡しちゃダメです。ぜったいに無くしちゃう。おっとりしてよかった。海老蔵さんの貢は、大丈夫かしらと余計な御世話で心配しましたが、似あってました。もっと力がはいっちゃうかと思った。まじめで、主のために尽くす。でも、若くて抑えがきかなくて。そんな感じがよかった。最後、刀に取りつかれたように、人を殺していいるときの顔つきのすごいこと。目の力も、とりつかれたようにうるんでいたところに、魅せられました。すごい。横顔が特に美しかった。 愛之助さんの喜助、うまいですねぇ。うまいといえば、万野。 万野がいじわるをいい、貢が困り果てているところに、颯爽と入ってくる喜助、この3人がでてくるところで、急に舞台がぐっとしまりました。(油屋の店先で刀をあずかるかどうかもめるくだりのところ。) あと、宗之助さんのお岸がきれいでした。情が深くてよかったです。
花道真横でしたので、近くにくるとぼーっとしました。演舞場は花道真横の席は、通路がないのでさらに近いの。
「吉野山」菊之助さんの出のきれいなこと。かわいらしかった。そして達者でした。松緑さんもはりきってました。逸見藤太は、亀三郎さん、動きも声もいい。 はなやかな一幕。

「伊勢音頭恋寝刃」みたいな演目は、若い人だけだと、なかなか雰囲気を出すのが難しそう。いるだけで雰囲気を出るベテランさんってすごい。一人一人、結構実力のあるかたがたなのに。もう一息何かが欲しい気もする。こういう若者の挑戦の今も、しっかりとみておこうと思う。最近、大迫力の演目でつっぱしっていたイメージのある海老蔵さん。貢さんをどう演じるのか楽しみでした。また後半見に行ったとき、どうなっているのかな。
明日は、夜の部♪

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