心にのこったこの1冊<2008>
本を読んだ感想をつけるのって難しい。本を読んで、どう思ったのか自分に問い返してみるのは、いいことだと思う。 ブログをはじめるまでは、「あー面白かった。さぁ、次読もうっと!」って感じで読んできた。どう感じたかを表すのは、難しいし、観念的になったり、理屈っぽくなったりする。それでも、考えてみようと思う。 感想をつけるのはうまくいかない。訓練だと思って 上達する日を楽しみにつける。 とはいえ、感想を つけそびれた本が大分たまってしまった一年でした。
心にのこったこの1冊 ベスト3という矛盾したものを考えてみました。1冊なの?3冊なの? 気にしない気にしない。
『さくら』 西加奈子(小学館文庫)
泣けてしかたなかった一冊。切ないとかじゃなく、あったかくなって泣いた。いとおしい一冊。 この一文が、とても気に入った。
「たった今大切な髪留めを無くしてしまった女の子でも、思わず一緒に笑ってしまうような声だった。」
『太陽の塔』 森見登美彦(新潮文庫)
文体にびっくりする。まいった!と思った一冊。 冒頭にもびっくり。
「何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。
なぜなら、私が間違っているはずがないからだ。」
『対話篇』 金城一紀(新潮文庫)
文章にうっとりした1冊。 辛い題材「死」を扱っているものですが、じんわりとしみこんできた。
<番外編>
『くものすおやぶん ほとけのさばき』 秋山あゆ子(福音館書店 こどものとも612号)
「ばちあたりなことを。ふてぇやろうだぜい。」なんて言葉遣いが素敵。すみずみまで細かく手がこんだ画。みもだえするほどかわいい絵本。
舞台や、美術展と異なって、本は とびぬけて面白かったものが、自分の中ではっきりとしている。読んだ本は どれもこれも、読んでよかったと思うものばかりで、ハズレはほぼなしです。 が、しびれるほど面白かったもの、はじめての感覚に震えたものは、この3冊です。
来年も、本を読むのが楽しみです。
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