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2008年12月 7日 (日)

源平布引滝 ~色っぽいぜ義賢~

覚書
いってきました、文楽。源平布引滝。義賢館の段. 矢橋の段. 竹生島遊覧の段. 九郎助内の段.上演。これは、9月演舞場で何度もみた演目ではないですか!すっかり夢中になった桐竹勘十郎さんご出演ですし。意気込んで切符をとりました。1番前にて鑑賞。 うふ♪  演舞場の配役を思いだし、これは松也くんね、これは海老蔵さんねと思いつつ鑑賞。
かっこいい!義賢。色っぽかったです。というより、色っぺー。 田村正和がなんとかで候みたいな、目をつむったお芝居をしたとき、彼はきっとこういうイメージものをやりたかったのだろうなと関係ないことまで思いましたことよ。ぞくぞくしました。そのあとの段は、ちょっと気が抜けてしまったほど。あー格好よかった。
『義賢館』は、38年ぶりの上演だとか。筋書きで知りました。こんなかっこいい見せ所満載なのに、あまりかからないのですね。なぜでしょう。文楽はまだ片手で数えるほどしかみたことがありません(たしか5回目)ので、よくわかりませんけれども。
もうひとつ驚いたこと。国立劇場の今年最後の文楽・東京公演。年末は、明日の文楽を担う中堅・若手中心の舞台だそうです。勘十郎さんや和生さんは、中堅・若手なの?!(ベテランにみえます。若々しいベテラン。) おまけに、みた日が初日だったことにもびっくり。
もう、人形とか、人形遣いとか、そういうのを超えた、なんすごいものになってました。特に、義賢。あの気迫。魂の叫びを、しっかり受け止めました。なんかもう、語りがフランス語になっていても気持ちはわかりそうなほど伝わると思う程のものがありました。変なたとえですが。 小まんは、吉田和生さん。これが、またけなげ。かいがいしく、熱い魂。なんでしょう、この2人(木曽義賢と小まん)は、人を前のめりにさせるような、ええっと見入ってしまうような何かがあります。
文楽って、全部義太夫さんが話すのですね、あたりまえだけど。しみじみそう思った。一言も、離さないのに、表情もそう変わらないのに、なんで、あんなに細やかで、風情があるのでしょう。 あと、人形って大きい。サイズがね。毎回驚いちゃう。
人形だからこそ、できるいろいろなことが面白かった。襟首つかんで持ちあげちゃうとか、投げ飛ばしちゃうとか、首を もいじゃうとか。とにかく、義賢館が面白かった。九郎助が槍を持って戦うとこなんて、手をたたいて喜びたくなっちゃった。だって、本当にやっつけちゃうのだもの。九郎助は、玉也さん。わしの辞書に加減という文字はない!という戦いっぷり。みているこっちがよけてしまいそう。ぶんぶん槍を振り回してました。矢橋で、小まんが戦うのも、なかなか。歌舞伎の花の枝で優雅に戦うのより、ずっとアクティブでびっくり。いやぁ面白かった。
竹生島遊覧の段の小まんを助けるところも、すごい。湖上にうきつ沈みつの小まんとか、なるほどの工夫。斬り落とした腕がうかぶところなんて、ほぉと思いました。 九郎助内の段は、歌舞伎でいう実盛のところ。本当に、同じ。(といいますか、歌舞伎がいいとこ取りしているのですが。) 運ばれてきた死がいである小まんが、一念で一時生き返るところが、歌舞伎のようにとっぴょうしもなく感じなかった。ぐっときました。瀬尾十郎が、孫に手柄をとらすために、首を落とさせるところは、大迫力。は最後、馬上の実盛素敵でした。
とにもかくにも、義賢館です。追ってとして背後から迫る進野次郎宗政。自分の腹に刀を差し、進野次郎共々串刺しにする。人形なので、本当に腹に刀を差すのです!ぐえーーーと思いつつ見る。途中で、髪がほどけ、バラリとなる。そこが色っぽい。刀を杖に、よろめきながらも立ち上がり、空を見つめ、ばったりと倒れ、階段にくずれおちる。(←ここが、歌舞伎の仏倒しにとりいれられたのでしょうか)。 ここ!ここがとにかく忘れられません。かっこいいー色っぺー。 桐竹勘十郎さんに、トキメキです。

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受信: 2008年12月13日 (土) 12時50分

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