『THE MANZAI 1~4』
覚書
あさのあつこ『THE MANZAI 』(ピュアフル文庫)を4冊読みました。子供もの好きの心に、直球でドーンとくる作品。
中学生の少年が主人公。母親の実家のある、大阪に転向してくる。
前の学校で、いろいろあったモヤモヤを抱えている少年、瀬田歩。新しい学校には、それを吹き飛ばすような少年、秋本貴史が待っていた。吹き飛ばすどころか、その勢いのある風に巻き込まれ翻弄する。でも、その翻弄は、案外いいものであった。
体のやたらでかい少年、秋本貴史に呼び出される。転校早々いじめられるのかショックを受けでも、やられっぱなしはイヤだという気概で その場所に向かう瀬田歩。ところがそれは、漫才のコンビを組んでくれ!という申し出だった。
人気者になりたい要素なんか、一つも持たない主人公のアユムは、とまどいながらも、その誘いにのせられ、まきこまれ、かけがえのない友を得、友のために必死になる。子供のころって、友人との関係が日々のくらしで一番大切なこと。そのためにおびえ、振り回される。わかるなぁ。その感じ。臆病さ。
あかるく見える少年も、おとなしそうな少女も、賢そうな女子も、秀才の男子も、何か抱えてる。抱えつつ、がんばってる。相談するのも、頼るのも、下手くそで、とにかくがんばってる。 子供のときって、まぁいいやってあきらめたりしない。どうしようどうしようとと、おろおろしつつも、一人で戦う。どうにもならなく、どんどんずれていっちゃうけどね。 あぁ、こういえばいいのにとヤキモキしつつも、その要領の悪さがまぶしかったりもする。
大人ってきたない。外でいい顔しても、心は違う。くちさがのない言葉が、周りを傷つけ、子供に暗い影を落とす。 子供も、苦労している子の方が、心が大きく優しいのかもしれない。子供に苦労をかけていると、心配している親御さんは、そんなこと気にせず とにかく必死でがんばれと思った。
誰かにとって、必要だと思われることが、どれだけ勇気をあたえてくれるか。一人ぼっちになりたくないから 一緒にいるのではない。一緒にいたい、話たい、聞きたい、そっとしておきたい、そういう存在を大事に思う仲間がいるってことが、どれだけ大きいかとい力になるのかよくわかる。ちょっとまぶしいほど。
あと、子供のときって男女平等だなと思った。。
恋とかも、かわいい。あったかい本です。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント