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2009年2月 6日 (金)

『閉鎖病棟』

『閉鎖病棟』
帚木蓬生(ははきぎ ほうせい)の『閉鎖病棟』(新潮文庫)を読む。山本周五郎賞受賞の感涙の名作らしい。トホホ泣きたいよ気分なので、包みこむような優しさというポップの出ていた この本を手にとってみた。一方、「涙涙の一冊です!」という うたい文句の時には逆に冷めちゃうこともあるので、どうかなと危惧しつつ読む。
感染列島という映画効果か、そういう閉鎖かと思った。ところが、この本は静かに静かに語られる。閉鎖病棟とは、精神病院のことであった。病名というくくりでは、精神分裂症か、精神薄弱に分けられてしまうようだ。人は一人づつ違う。精神を病んだ登場人物たちは、うまく適合できない。けれども、人をじっとみている。余計なことを言わないが、じっとみている彼らの視点は、正常だと思って暮らしている我々と そんなに違うだろうかと思った。 人を静かにみている点が、とても心に残った。それぞれ苦しみを背負っている。そんな他人を 何もせず、けれども ただ見ている。 忙しい忙しいと言っている、普通と思っている我々は、こんなに人を見ているであろうか。勝手にこんな人と決め付けて暮らしているなと思った。
心が折れてしまうかどうかなんて、ささいなことだ。精神病院の病棟にいる患者たちは、とても偏屈だ。気持ちに従うかとをやめない。この病院生活という状況から現実に出て行くことを恐れるものがいる。よくわかる。読んでいくにつれ、患者に好意をもっていく。たとえ犯罪者であれ。 周りの「普通」の人間の方が、よっぽど変だ。精神病院入院患者を家族にもつ人間の疲れや哀しさもよくわかる。ひどいと、簡単にいうことはできない。 変とか、きめつける必要はないのだ。 患者仲間は、それぞれが病気になる前のことを知っている。それは興味本位ではない。知っていれば相手のことがわかるから。気味悪く思わないから。
ずっと、淡々と進む口調がいい。
最近の犯罪に走ってしまう人と、この本の人たちの違いは何かなと思った。

帚木(はははぎ)。歌舞伎でみた名前と思う。浮かれ心中で、最後一緒に心中(のまねごと)をする花魁の名前でした。去年4月の勘三郎さんの浮かれ心中の、七之助さんが演じていました。 帚木は、源氏物語五十四帖の巻のうち第二帖らしい。こういうのが さっと頭に浮かぶようになりたいわ。

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