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2009年3月24日 (火)

元禄忠臣蔵(ながながと)

一昨日歌舞伎座にて、元禄忠臣蔵通し狂言を、昼夜通しで観劇してきました。思ったよりくたびれず、元気に観劇。こちらは、観ているだけですけれどもね。元禄忠臣蔵について、ながながと。だって、観ていた時間も長かったのだもん。

<昼の部>
『江戸城の刃傷』
はじめてみました。これ一番好きかも。我慢の限界を超えてしまった浅野内匠頭を、梅玉さんが。ぴったりでした。 もう後は負わぬ。武士の情けじゃ 頼むと、自らのいでたちを直すことを願う それなのに許されない。 小坊主め、その刀を抑えた腕を離しておやり と思いながら、力をこめてみる。そこへ目付の多門伝八郎登場。彌十郎さん。このお役は、ヒーローですね。かっこいい男です。 評議を勤める、男女蔵さんがすっきりとしてしゃきっとして、なかなかでした。萬次郎さんのおじさんぶりにびっくり。
田村右京太夫の屋敷に移され、切腹となる浅野内匠頭。その検死役として、多門(おかど)が見守る。喧嘩両成敗なのに片方のみ切腹とは何事、庭先とは何事と 正義を訴える。聞き届けられることなく、切腹となる。駆けつけた片岡源五右衛門を、桜の木の下に立ち合わせてやるように計らう多門。最後の時に、浅野内匠頭に月が綺麗だと庭先をみるようにいう。「明日は満月…見事な月ではござらぬか」。視線の先には、平伏し、見上げる片岡源五右衛門。松江さんのひたむきで、切ない姿もよかった。ううう。泣けました。多門かっこよすぎです。
辞世の句をよむ浅野内匠頭。風流を解さないので、私が腹を切ることになっても句を読めないとか 句の思いをこめられても理解できないと 毎回心配になる。すまぬ、内匠頭。今回もわからなかった。 
『最後の大評定』
いつの間にか、歌六さんのとりこに。昔は歌昇さんとどっちがどっちかわからなかったのに。かつて赤穂藩に仕えていた井関徳兵衛、歌六さん。紙の着物をきて大威張りしていました。3階から双眼鏡でみると、あの紙の着物は江戸の地図のようにもみえました。歌六さん、足の形がいいですね。  
大石内蔵助は、ここから後 ずーーと真意を、仲間に疑われ、世間から仇打ちを たきつけられたり、腰ぬけと 嘲笑されたりし続けるのね。はぁ。 
歌六さんが、屋敷のものを相手に、門前で酒をのむ。 内蔵助のことを あえて「喜内」昔の名で呼び 大きなこという。酒のお相手する蝶十郎さんもいい。 あまりの暴言ぶりにハラハラする倅。「父上」と止めては、逆に怒られる倅には種太郎くん。 歌六さんは、武士の心を忘れたかと愚弄しながらも、その実 懐かしさでいっぱいの思いがちゃんと受け取れる。すばらしい。 でもあんなに激しやすい男には、心の内はあかせられないなとも思う。 藩士に加わることを許されず命を断つ親子(歌六・種太郎)。その場に立ち会う幸四郎内蔵助の苦悩ぶりもよかったです。
息せき切って詰め寄る家橘さん(岡島八十右衛門)とか、この先は何があろうともお取次ぎ致しませんと毅然と立ち向かう妻おりくの魁春さんもよかった。次男・娘の子役ちゃんたちのお行儀よく、けなげなこと。長男松之丞には、巳之助くん。少年らしい真っ直ぐさがよかったです。
『御浜御殿綱豊卿』 
よくかかりますね。それなのに、見るたびに今までどこをみていたのだろうと発見があります。今回は、綱豊卿って 後に六代将軍になる人だとやっと理解しました。
仁左衛門さんの綱豊卿と、染五郎さんの富森助右衛門。この組み合わせは以前にもみたことがありました。今回、バージョンアップしてました。しっかりと男の誠をみせていただきましたぞ。お互いの心をしっかり確かめた後、笑いながら去っていく仁左衛門さんの後ろ姿を見ながら泣きましたぞ。 傍らで心配そうに見守る芝雀さん、よかったです。

<夜の部>
『南部坂雪の別れ』
次にこれが好き。久々の歌舞伎座でみる團さま。1月の国立劇場のときより、ずっとお元気そう。といいますか、そういう心配はすっかりいらないようにお見受けしました。よかった。
成田屋のお弟子衆が老け役で登場。新蔵さんより新十郎さんの方がヨボヨボっとしてみえるなんて… 本当の年寄りのようでした。團さまがいて、みんながでていて。いいなぁ。成田屋贔屓的には、この点も うれしくなる。
赤穂の仲間は仇討ちに走ろうとするもの・逆に脱落する者が多く、世間の風あたりも強い。どこもかしこも、内蔵助の動向を噂する。辛抱の2文字しかないような内蔵助。團さまの内蔵助は、大きい男にみえました。でっけえ。
内蔵助と並んで座っているだけなのに、落合与右衛門の東蔵さんは 全身から不満そうな感じにみえる。大袈裟じゃないのにうまいなぁ。名残に殿の大切にされていた、仏像を拝したいというの團十郎内蔵助の願いを、瑤泉院 芝翫ちゃんは、はねつける。 殿もお喜びにはなるまいと言い残し去っていく時のあの迫力。 みているこっちも、内蔵助気分でダメージを受けました。
瑤泉院の住む屋敷を後にする内蔵助。 後で 瑤泉院へお渡し下さいと、託した冊子から内蔵助の本位を知る東蔵さん。門から転びながらすっ飛んできて、両手をついてわびる。じーんとしました。 窓があき「内蔵助」と声をかける芝翫さん。 二人から、無言のあついあつい思いを感じ、一歩づつ屋敷から離れていく團さま。かっこいいー。 ああよかった。いい話だなぁ。
高麗蔵腰元のはしゃぎっぷりがかわいい。やっぱり、本心をあかしたら、あっちからもこっちからも漏れるなとしみじみ思いました。我當さんもアツイ男でした。俺が俺がと手を貸そうとし、断ると 仇討ちをしない内蔵助を批難しまくってらっしゃいました。 必要以上に吉良さま憎しの風潮というのも、世間って恐ろしいなと思う。
『仙石屋敷』
びっくり。休憩が終わったら、仇討ちも終わってました。わたくしが売店なんかウロウロしている間に一大事が。あぁ。 なんだか、お軽といちゃいちゃしている間にに一大事が起こってしまった勘平の気分(←間違っていますけど・・・) あの辛抱に耐え やっとかなった思いをこめた エイエイオーの声がききたかったなぁと やっぱり思いました。そういう表わし方をしないのが、ねらいなのだろうとは思うけれども。
本懐を遂げた内蔵助の一行。彌十郎さんと染五郎さんが 口上書を持ち、仙石伯耆守の屋敷へ。あつく 浪士たちから話を聞く仙石伯耆守は、梅玉さん。 (梅玉さん、さっき殿だったじゃんとちょっと思う。) それでどうしたどうしたと聞いていく様がよかった。 こうやって、事実を聞き出していたのでしょうか。聞き役の技量によって、その先のことは雲泥の差が出るななどと思う。「詰め開き」というらしいです。内蔵助の言葉がいい。元禄忠臣蔵は、台詞の芝居なのですね。
やがて浪士たちは諸家へお預けとなる。内蔵助どのっと周りを取り囲む浪士たちを見回す仁左衛門内蔵助の顔つきのいいこと。こちらの内蔵助も、大きい男でした。 大石主税にとって、内蔵助はまた父でもある。巳之助くんは、なすべきことを懸命につとめようとがんばっていました。言わない言葉も、しみる芝居でした。 
『大石最後の一日』
それぞれの家にお預けになってからの日々も長かったのですね。細川家にお預けとなった幸四郎 内蔵助一行。手厚い対応をうける。華を活ける磯貝十郎左衛門(染五郎さん)。 華道って精神統一にもなるのね。(また遠のいている自分を反省。) 細川家のご子息、内記殿が御通行になると知らされる。内記は、米吉くん。 ガチャピンだかムックだか緑の方にちょっと似てらっしゃるような。堂々としてました。若殿っぽかったです。 (仙石屋敷の梅丸くんは、賢そうでした。)
吉良の同行をさぐるために、乙女田杢之進の娘 おみのと一緒になる約束をする磯貝十郎左衛門(染五郎)。それは、いつわりの関係だったのか、真実の心があったのか。男装に身をかえ、確かめにくるおみの。おみのは、福助さん。正体をあかした後、ものすごく女でした。一日中辛抱している人ばかりみていたので、少々過剰なような気もしました。何も知らぬと、ただ突き放す 染五郎の苦悩っぷりがよかった。 実は おみのの琴の爪を大切に懐にもっている染五郎であった。 本心から思う心があるのならば、喜んで本懐を遂げるための犠牲になりましょうと、笑顔で自決するおみの。あなたまで。死ぬことが美徳なのかなぁと思うわたくしは、現代人なのでしょうか。 乙女田杢之進(おとめだもくのしん)って、ちょと口に出してみたくなる名前ですな。

堪能しました。

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