『押入れのちよ』
荻原浩 『押入れのちよ』(新潮文庫)を読む。帯にとりつかれたいお化けナンバー1!みたいなことが書いてあったので、ちょっとユーモラスで最後にホロリとくる長編 と思い込み読んでみたら、クールな短編集でした。クール?ひんやりというか、ぞーっとするというか。ひぇーーーーとおびえたり、ドキっとさせられたりしました。うまいね。こわいけど、うまい。
文庫名にもなった、「押入れのちよ」と「しんちゃんの自転車」は心に何かがポッと灯る、切ないお話しでした。ハッピーじゃないけど、そうでないとはいえない。
「おかあさまのロシアのスープ」のように、淡々として美しく物悲しいのもある。 どんどん状況が明らかになっていくうまさ。主人公の子供目線なので、そういう状態で生まれてきた哀しさがないところがすごい。この子達は、自分の特別性を知らないから。淡々としているので哀れではない。「コール」も、そう。徐々明らかになっていくうまさ。
「老猫」「介護の鬼」の、怖いこと。もう とにかくゾーっとした。最後に突き放して終わるの。この人の長編でもあったけど、最後にヒェーーーと言って本をバタンと閉じたくなるような恐ろしさ。怖いものは、本だと大丈夫。映像はごかんべんを。そういった類のものは見ないまま、聞かないまま、一生を終えようと思ってます。 本なら なぜ大丈夫なのかな。怖いけれども、そこにいたるべき納得できる何かがあるのであろうか。もしくは、自分のペースで場面を想像できるからかな。映像は、音とか脅かす要素がやなの。 とにかく、怖いのはごめんな怖がりモノです。
「押入れのちよ」は、確かにいい。好き。
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