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2009年8月21日 (金)

納涼歌舞伎2部

覚書
納涼歌舞伎3部制の総仕上げ。2部をみてきました。5月演舞場で、「福さんの七役(お染の七役)」をみて以来忘れられなくなってしまった福助さんのものすごさに、おびえつつも注目。そんな我々に、この演目はぴったりでした。おさると2部鑑賞。
まずは、「真景累ヶ淵 豊志賀の死」数年前、歌舞伎座でみました。あのときも福助さんの豊志賀。勘太郎さんの「夜になるとねぇ 怖いんだよぉ」っていう一言が印象的でした。こんどはどうかな。菊之助さんの映画「怪談」を思い出しつつ鑑賞。黒木瞳さんと異なり、福助さんは最初から面体がくずれてしまってる場面から始まる。年増女の怖さみたいなのが前面に立ち過ぎてしまい、もうこの世にいない豊志賀の念が姿になってという怖さが薄まってしまったかも。怖さが笑いにつながっちゃったせいかしら。 でも筋立てより何より、怖さに説得力がありました。
とにもかくにも勘太郎の新吉のうまいこと。師匠 豊志賀に、世間にどうにも行き場のなさ。お久じゃなくても誰か他の人でもいい、ここから出るきっかけの人が欲しいくらいの微妙な愛情。うまいねぇ。そんな新吉に、心から惚れてるお久 梅枝くんもうまい。より あわれに。 そこへ、大変だと新吉を呼びに来る噺家さん蝶に勘三郎。 舞台に、勘太郎と勘三郎の2人きり。やりとりを、聞いていたらどっちがどっち?ってほど似てます。どっちがどっちなのか、よくわかるけれども・・・似てるねぇ。 そして父勘三郎は、段違いにうまいねぇ。ちょっとした仕草で力量を見せつけます。いい勝負でした。面白かった。
勘太郎さんは、うまいねぇ。おじさんって、震えるような声で置いていかないでと頼み込む。うまい。ささやくような声なのに、ちゃんと3階最後列まで届きます。
豊志賀が ふっと消えた怖さより、来ちゃった怖さ。 複雑な因果応報さは感じにくいですが、うまいこと歌舞伎になっている作品なのかもしれません。
次に「新歌舞伎十八番の内 船弁慶」
四天王に、松也・巳之助・新悟・隼人が並んだのがよかった。どんどん頼もしくなっていきます。こういう過程をみるもの観劇の楽しみのひとつなのだなぁとしみじみ思う。
静御前の勘三郎さんの舞は美しかった。知盛になったときに若々しくみえて驚いた。静かな義経の福助さんは、気品があって安心。 舟長の三津五郎さんいいねぇ。舟長はこうでなくっちゃ!船弁慶好きには、幸せな一幕でした。最後のひっこみが見えなくても満足。(3階Bだからね。)            
今年で納涼歌舞伎は20年目だそうです。そして今の歌舞伎座では、最後の納涼歌舞伎。どの部も演目の組み合わせがよく、しっかりと楽しみました。古典っていい。

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