第48回野村狂言座
覚書
会社移転後、とても近くなった宝生能楽堂へ。徒歩で。恒例の野村狂言座にいってきました。今回は老武者をいう演目をみるのを楽しみに向う。
『貰婿』
最初は、三宅右近さん・右矩さん・近成さんという親子共演。夫婦喧嘩は犬も喰わぬというのに、親というものは子の幸せを願うものである。実家に泣きついてきたはずの娘は父を投げ捨て、夫と家に帰る。その後姿を見つつ、もう祭りにはよんでやらないという父の出す、怒りと 仲直りの安堵と なんともいえない空気がよかった。これは、年を経ないと無理だなぁ。年を経っただけでも、もちろん出せないけど。
『柑子』
万之介師の太郎冠者。飄々として、面白い。みかんが転がり落ちたので、食べてやりましたと食べる様が面白い。俊寛僧都の下りも感情たっぷり。つい泣いてしまう主の石田師も、おおらかでいい。ぬけぬけとした万之介師の太郎冠者を堪能。
素囃子『楽』
『老武者』
最後に楽しみにしていた演目。11人もの狂言方、4人の囃子方、3人の地謡に2人の後見と、能のように大勢の人が能舞台に。それだけで特別感がある。
旅の途中の美しい稚児 裕基くんと伴の萬斎師は、藤沢で宿をとる。宿屋(深田師)にお忍びなので内密にと言って泊まるが、噂をききつけ地元の若者がやってくる。盃を受けたいという押しかける。宿屋は断ったが、勝手に入ってきてしまったということにしようと、若者と宿屋が共謀する。仕方がないのでと、酒を酌み交わし、舞い謡い楽しむ。 そこへ現れた祖父(おおじ)。自分も盃を受けたいと頼むが、宿屋にすげなく断る。門前で、深田師が万作師を突き飛ばし?!追い返してしまいます。思い知らせてやるという 老人 おおじの言葉が妙にヒヤーっとしました。仲間を連れて帰ってきた万作師ひきいるチーム老人と、遼太くんひきいるチーム若者+宿屋 の争いに。手に手に武器を持ち、すわ一大事。大袈裟に押しつ押されつする様が面白かった。いつのまにか老人4人が、大切そうに稚児を担ぎあげ、皆でうれしそうに橋かかりを去る。
これが、ドタバタにならず、のどか。裕基くんの稚児は、華奢で本当にかわいらしい。軽くすっとした動きは、大人ではもう手も足も出ない。そのため、ちょっとお稚児さんを取りあう様がリアルに納得できて、少々ドキドキする (いかがわしい)。
万作師の老人ぶりは、最初 宿の主人にすげなく断られるときには、よろけた老人なのだが、仲間の老人を連れて戻ってきた老武者の時には、大きくみえて驚いた。橋がかりにいるときには、どなたかしら?と思ったほど。すごいなぁ。
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