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2010年5月21日 (金)

『孤宿の人(上)(下)』

宮部 みゆきの『孤宿の人(上)(下)』 (新潮文庫)を読む。
スケールの大きな時代小説。これ、大河ドラマにすればいいのにと思った。 一年くらいかけて演じることのできる大きな物語。 物語冒頭の海の描き方の影響か、色を感じる壮大な物語だった。
宮部みゆきという人は、すごい。
物語は、讃岐国・丸海藩。江戸から遠く離れ、金比羅参りの人が必ず通る そこそこ栄えた藩。 
江戸から、勘定奉行加賀様がこの藩にお預けになることになる。 この事実で、2人も藩も、何もかも 方向が傾いていく。 民衆の怖さもうまく描いている。野田秀樹の描く大衆の怖さの訴え方と少し共通するところがあるかもしれない。 加賀様の扱いを読んで、ゾーっとした。 加賀様自身の心の強くならざるを得ないことに背筋がのびる思いがした。 事実を知ることは必要なのではないだろうか。 真実を知らず 文句ばかりいう民衆。自分が守られていることも知らなければ、守った人の心根もしらない。 それでいいのだろうか。 知ることは、責任を伴い 覚悟を背負わされる。 その重さを 民衆も引き受けるべきではないだろうか。
丸海藩に置き去りにされた九歳の「ほう」。 引き手見習いの少女「宇佐」。 藩医を勤める井上家のつながりで2人は出会う。 ひとつもいいことがないように見える厳しい生活だが、2人には暮らしを気に病む様子はない。 毎日毎日、することを一生懸命する。今、目の前にあるものを一心になんとかしようとする。 少し、明るい光がさしたかと思うと、必ず人の手によって影がさされることとなる。 それでも、2人は それぞれ 毎日を懸命に生きる。 私のような暮らしで文句なんか言ったらいったら、バチがあたると思った。 これが、苦労ということすらしらない2人。2人自身は、ちっともみじめなんかじゃない。 一生懸命戦っている。 たたかうのは、なにも武士だけでないのだなと思った。 
これ、読むべし。

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