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2010年10月 6日 (水)

島根旅行 <手のなかの空 奈良原一高 1954-2004 >

覚書

宍道湖畔にある、島根県立美術館にて 「手のなかの空 奈良原一高 1954-2004」をみる。作品数約500点。奈良原一高はすごい。
SECTIONは8つに別れていました。一つめの「人間の土地 1956」は軍艦島の写真。ここで驚き圧倒される。 二つめの「王国 1958」。これは、男子修道院と女子刑務所という閉ざされた孤独な世界を題材としたもの。 ここですっかり夢中になった。 これは何だと驚いた。奈良原一高自身のコメントもいい。写真を見、コメントを読み、また写真をみる。こういう、本物の写真家の手による写真というものは、みため 眺めを写すだけではない。まいりました。 
「人間の土地 1956」
1956年の個展「人間の土地」で、全く無名だった青年が、ひとりの写真家として日本写真史上に確固たる地位を築いたそうだ。それもそのはずだと思う。
長崎沖の軍艦島。生活に必要な基本的なもの全てが揃っているが、それしかない。余分のものが場所が何もない。炭鉱・集団住宅・学校・病院・商店 よくもまぁ、この小さな島にこれだけのものが収まっていると感心する。 生活に必要な基本的なもの全てが揃っているが、それしかない。余分のものが場所が何もない。 写真をみているうちに必要なものしかない ということを考えるようになる。 息苦しさであるとか、逆に 寄り添い合う強さとか。炭鉱から真っ黒な顔をして出てくる働き手たち。一服する様や、みなでお風呂にはいる様。ビールを手にうれしそうに笑う顔。 そんな働き手を待っている妻や幼い子。 高層にならざるをえない生活体系のため、沢山の階段を元気に飛びまわる子供たち。父の帰りを首を長くして一心に探す子。 この元気な子供達は生まれてから土の原っぱという存在を知らないという。 荒い波が打ち寄せる軍艦島。 刑務所ではないのだが ここしかない居場所。 自分の中で考えがグルグル駆け回る。 常に集団で作業する。生活も。独りになりたくても、余地のない島なのだ。
「外界から隔絶された極限状況の中で人間が生きることの実存的な意味を問いかけた」大きな反響を呼んだという。
軍艦島の作品と共に、熔岩に埋もれた桜島・黒神村の作品も並ぶ。 
「王国 1958」
1958年の個展「王国」で、心理的な極限状況といえる修道僧と女囚の世界へと分け入り、日本写真批評家協会新人賞を受賞したそうだ。
女子刑務所の様子。トラピスト修道院の様子。服役というここにしかいてはいけない女性だけの世界。ここで修業するという道を自ら選んだ男性だけの世界。孤独という単語でも、その意味合いが異なる。共通点と対比にすっかり惹きこまれた。
刑務所の中で生まれたばかりの赤ん坊の世話をする女性。貴重な運動の時間。実際には知らないの世界への興味という気持ちを超えるものがあった。 
修道士の中でもその修業の段階によって階級がある。自分たちの集団の生活のための世話の時間に多くをさく者。神への祈りにほとんどの時間をさく者。 コメントを読みながら写真をみる。写真ってすごい。
2つのセクションをみて1時間くらい経ってしまった。時間の関係で残りがややあわただしくなった。集中しすぎたので、時間があってもすこしぼんやりしてしまったかもしれない。
その後も、「ヨーロッパ・静止した時間 1967」「スペイン・偉大なる午後 1969」「ジャパネスク 1970」「消滅した時間 1975」「ヴェネツィア 1980’S」「空/天/円 」と続く。マタドールのものも強烈でした。 ゆっくりとみたくて図録を購入。友も購入してました。 すごかったねと、強烈さを共有しつつ 島根美術館を後にしました。 これ、もう一回みたい。巡回してくれないかなぁ。 次回は常設展も、じっくりとみてみたい。奈良原一高は松江出身だそうです。

帰ってから写真展が好きな父親に図録を薦める。 父が子供の頃 祖父の仕事の都合で、転校が多かったと言っていました。それは鉄鋼関連の仕事だったからだと聞き驚く。なんと、軍艦島の近くの島に住んでいた時期もあるとか。この島よりゆとりのある住居だったようだ。こんなところでつながるとは。驚いた。

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