錦秋十月大歌舞伎 昼の部
この間の日曜日、昼夜 演舞場にこもってきました。昼はおさると。夜はひとりで。 もうおでんが食べたい季節ねといい、お昼は大好きな(かっぱやのだと思われる)おでんをいただく。 演舞場内は結構な人出で、3階席は 終日熱気であつかったです。
「頼朝の死」から。冒頭、ひげむじゃの男っぽい右之助さんに驚く。源頼朝の三回忌法要。父の死の真相に疑いを抱く源頼家。梅玉さんは、熱い性急な若殿にぴったり。もうちょっと大人になればわかるのになぁと大人目線で梅玉さんの熱さをまぶしくみる。最初の独り思い悩む場面はきれいでした。 悩む若武者 畠山重保には錦之助さん。わかりすぎるぐらいストレートに悩みまくる。錦之助さんを想う、孝太郎さんの小周防の若さゆえの浅はかさとか、若さ祭りの演目。 それを、何も語らず じっとおさえる魁春さんの尼御台と、左團次さんの大江広元。真実をつげればそれだけ辛くなる。誰も何もすることのできない辛い真実。 どんよりと重くなるところで、魁春さんが「家は末代、人は一世」と言い放つ。ひえー。もう手も足も出ない。耐えよっていうことですね。この言葉の重みをずしずしと感じ、押しつぶされました。激怒する梅玉さんが、素敵でした。男っぽい右之助さんの中野五郎さんの存在が大きかった。
次に、お楽しみの「連獅子」。ロビーに飾られたの三人の三津五郎さんの写真をみてきました。今の十代目さんは、九世によく似ていらっしゃいますね。(九世は今の三津五郎さんと秀調さんを混ぜたようなお顔でした。)七世の五十回忌・八世の三十七回忌・九世の十三回忌 追善狂言だそうです。三津五郎さんと巳之助くんの連獅子は、楽しみにしていた気持ちを軽ーく上回る いい連獅子でした。巳之助くんの真剣さがまぶしく、三津五郎さんの達者さにほれぼれ。うまい人の動きって、みていてウキウキする。要所要所、みごとに決まる。必死についていく巳之助くんも美しかった。止まると決まるのだけど、そこにもっていくまでが何かひとつ多い余分なような。それが若さなのかな。獅子ものは、長唄と囃子方をみるのも好きなので、あちこち忙しく堪能。かっこいいなぁ。僧蓮念・遍念には、秀調さんと門之助さん。家によって宗論が少し違うのですね。連獅子も。
昼の最後は、「加賀鳶」。盲長屋梅加賀鳶。これは、本郷木戸前勢揃いがとにかく格好いい。3階席からは花道に並ぶ鳶が3人しかみえない。あとは、声をきいてこれは誰か想像。薪車さんがあてられなかった。仁左衛門さんは、声だけでもかっこいい。久しぶりにみる進之介さんが我當っぽいお顔になってきていて驚く。花道から舞台へと移動すると、勢揃いした鳶は2列に。おさると後の列をキャアキャアいいながら(心の中で)、じーっと見る。鳶の拵えは本当にかっこいい。こんなにかっこいいのに、ここは15分だけ。アンコール。
一転して汚い按摩さんに。團さまの道玄は、(たぶん)はじめてみました。目をぎょろぎょろさせた悪党ぶりはかわいらしかった。かわいいというか・・・面白すぎるとことろも。これ、なんか知っている感じと考えたら、それは 笑ウせぇるすマン でした。おんなじ声としゃべり方!指差されるかと思った。 山深い田舎道で、持病に苦しむ百姓を介抱する振りをして、道玄は、金子を奪い殺害する。そのど田舎は、御茶ノ水。職場だ!と思う。 はすっぱすぎる福助さんのお兼と團さまの道玄 悪党2人組は、つかまっちゃいそうな2人組だなぁと思いながらみました。道玄は、ぬけめない悪党というより 鷹揚で大物の悪党でした。相棒のお兼がもう少し抑えた感じがいいなぁ。ちょっと面白くなっちゃったので。 悪事を働かされそうになるお店の旦那さんは家橘さん。厳しくつっぱねており威厳があるなぁと思った。松蔵親分のおかげで悪事が露見。さすが仁左衛門さん。いいとこは全部持っていっちゃう。そして似合っちゃう。
最後に 赤門捕。ドリフみたい。ドリフがまねしたのだけど。御用だっとか、俺だ俺だ と言うと、捕り手たちが手を離しちゃう。単純なんだけど、すごくおかしい。團さまの声は特徴ありすぎて、あきらかに違うのに。捕物のお頭は新十郎さん。捕物のところもすき。
冒頭の、加賀藩お抱えの大名火消加賀鳶と 旗本配下の定火消との間の大喧嘩っていうくだりをたっぷりみたいなぁ。
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