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2010年11月30日 (火)

万作を観る会

先週末、国立能楽堂へ行ってきました。「万作を観る会」を鑑賞。国立能楽堂って広い。行くよと言っていた友人がなかなか みつからなかった。広い。
まずは、『磁石』。遼太くんの若者ぶりが、誠に気持ちよかった。親切な男が人買いの仲介人と気づき、自分は磁石の精だと言い切る元気さがいい。悪人のくせに それをうっかり信じる萬斎師の、狂言ならではのカラッとした味がいいなぁ。宿屋の亭主は深田師。宿屋が人買い。
次に、素囃子「序ノ舞」。続いて『楽阿弥』 万作師の楽阿弥。優雅さにふっと気が遠くなったところがあり、もったいなかったと反省。
休憩をはさみ、小舞2番。これらが、次の棒縛に出てくるという趣向が洒落ているなぁと思う。
「七つ子」は、裕基くん。りりしく、迷いなく舞っている姿がすばらしい。刻々と変わるなぁ。 「暁」は、中村修一さん。力の入っていました。小舞の緊張感が大好きです。
最後に、『棒縛』。万之介師の主に、万作師・萬斎師の太郎冠者・次郎冠者。観る方も力の入る一曲。観ているだけなのに、力が入りすぎたせいか、ぐったりしてしまった。プロが舞台に向かうのに真剣なのは あたりまえだが、万作師の真剣に向かう様に驚いた。舞台での呼応とか所作とか そういうものよりも、今回は真剣さに圧倒されました。こういう感じは、あまり味わったことがない。 動きや、動作を楽しむというよりも、舞台から発せられる気に圧倒された。  それを受ける萬斎師の集中力も、静かで力強かった。
無駄なく、なめらかで、確かな動きの万作師が、いつになく大きく表現をしていたように感じた。なんとしても酒を飲もうと奮闘する様も、くすっと笑うというより、ほーっと思う。 なんだか不思議な感じだった。
鑑賞後、仲間とあった。急いでいるからと勝手にパーっと用件を述べて立ち去ったのは ちょっと興ざめなことをしたなと 自らを反省。余韻を楽しみたい力強さだったのに。いつも、余韻についてうるさく言うのに。 圧倒されたせいか、帰りの電車にちょっと酔った。

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2010年11月29日 (月)

♪ 負けるなぁ

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2010年11月24日 (水)

金剛蔵王権現 百日特別御開帳

先々週、両親の金婚式のお祝いに吉野へ。金峯山寺へ行って参りました。
ただいま、金剛蔵王権現 百日特別御開帳中(12/9まで)。以前、世界遺産に登録記念時に特別御開帳があり、その時に拝し日本最大秘仏・金剛蔵王権現にびっくり仰天しました。是非、両親にもと思い 出かけてきました。
吉野といえば、桜の名所。紅葉もみごとなようです。紅葉には、まだ少しはやい色づきかけたばかりの山々も素敵でした。金峯山寺は金峯山修験本宗の総本山。大峯山寺までは、登ることができませんでした。この蔵王堂までは、交通機関が発達しているので難なく訪れることができます。
Zsou2_2  7メートルを超える巨大な怒り姿の青い尊像3体。これは大迫力です。圧倒されます。
修験中の役小角(えんのおづぬ)の元に姿を現した尊像。それは、忿怒の形相を現していたそうです。そのお姿を三尊の金剛蔵王権現像として表現したものとのこと。 過去・現在・未来を現す三尊の金剛蔵王権現像は、釈迦如来・千手観音菩薩・弥勒菩薩を本来の姿とする変化身だそうです。中心の釈迦如来は、過去。現在、人々を救って下さるのが右側の千手観音菩薩。左には弥勒菩薩。釈迦入滅, 56億7千万年後に登場して全ての衆生を救済するというので未来となるのですね。なるほど。といっても、3体は、憤怒の顔付きが似ており、振りかざす手や、あげている足の形しか違いはないように思う。本堂の壁に「掛け菩薩」といって、釈迦如来・千手観音菩薩・弥勒菩薩を現した丸い盤がかかげられていました。 怒りの形相は、悪魔を振り払うため。また青黒色は、慈悲の心を表す色だそうです。 普段、開帳することがないということもあり、巨大な3体共 見事な彩色が残っています。日中でも薄暗いお堂の中、お香の香りがただよい、静かに蔵王権現と向き合う。自然と背筋が伸びてくる。特別な開帳も、お祭騒ぎにならないところがいい。驚いて尊像をみている人々に、御坊さんたちが丁寧に教えて下さいました。「仏様と静に向き合ってください。」よいう姿勢がよかったです。すごいという言葉しか出てこない。まことにすごい像です。

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金剛蔵王権現 夜間特別御開帳

今回は、吉野の宿に一泊しました。近隣の宿に泊まる人限定で、夜間の特別拝観があるためです。夜8時に御堂前に集合。御坊さんのお話を伺い、法螺貝が吹くならされる。その後に静に御堂へ。御堂の扉を閉め、御経文をあげるのをききます。御堂に響く声、おなかに響く太鼓の音。その中、3体の尊像にぱっとライトがあたりました。その迫力たるや。 シーンとして冷え切った御堂の中でのこの体験は、特別なものでした。なんだか、もうものすごくちゃんとしよう!と思いました。やみくもに。 日々のあたりまえのことにきちんと感謝ができると思った。健康に生きていることに感謝しました。 そういう人を圧倒させる力をもった1時間となりました。ありがとうございました。
翌朝、もう一度、蔵王権現にお参りしてきました。何度みてもすごい。ライトで照らされた像よりも、日中でも薄暗い御堂の中の蝋燭の光でみた方が、迫力があるように思いました。とても怖い御顔付きですが、とても頼もしい。
今回泊まったお宿は「さこや」さん。隅々まで気配りの行き届くとても気持ちのよいお宿でした。新しくはありませんが、清潔で、ほどよく ほっておいてくださり、きちんと かまってくれる。お料理も丁寧できちんとしていました。到着したとき、冷えた身体におもてなしの葛湯が甘くてあたたかくてうれしかった。朝、山をながめながらいれていただいたコーヒーをいただくのも贅沢した。 何よりのおもてなしは景色とお風呂。窓からみえる山々の霞がかったところが美しかった。お風呂も外に露天があり、森の中にいるよう。樽酒と升がおいてあるの。もう大変! 男風呂の方から樽酒がもうないという声が聞こえてきました。 夜の拝観があったのでちょっとお味をみる程度にしておきました。 道楽遠征の折に、外国資本の高級ホテルに泊まってはしゃいでいる身に、こういうきちんとしたおもてなしというよさがしみました。
お部屋には露天風呂がついていました。ギャー。夕方入る人・朝入る人 それぞれ楽しみました。宿のお風呂も 部屋のお風呂もあって、極楽でした。
いいなぁ金婚式。わたしゃ早く結婚しないと金婚式までにヨボヨボになってしまいますことよ。いい記念になったかな。

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2010年11月22日 (月)

『アルプスと猫 いしいしんじのごはん日記3』

『アルプスと猫 いしいしんじのごはん日記3』(新潮文庫)を読む。
いしいしんじの手にかかると日記が、物語のよう。 嬉しいことに、ほっこりと幸せになる。悲しいことを、静かに受けいれる。 感情的になって大騒ぎをしたり、文句ばかりいって誰かをせまたりばかりしていると、大切な芯をなくしちゃうかもしれない。 生きているってことを、感じる一冊だった。
ちょうど、うちの一族にも悲しいことがあって、別れるということを 考えたりした。普段はなかなかあえなくても、親戚という絆のあったかさや 太さを改めて実感したりした。 すごくいいときに読んだなと思う。 残された者の悲しみを受け入れ静かに がんばっている大事な親族を いまも強く応援している。
日記シリーズ3冊目。いしいしんじさんと園子さんが結婚したころからの日々。今までは、「ちぇっ。園子さん いいなぁ。」と いしいしんじファン視線で読んでいたが、ここにきて、「ちぇっ。いしいしんじさん いいなぁ。」と思ったりしてきた。園子さん、すごい。かっこいい。そういう風に大切なものだけを潔く大切にしたい。 マイチィ☆の心の中の女子高生も出てきて何か言いたくなっちゃう。(そして怒られちゃいそう。) 
清(きよし)・斑(ぶち)・徳爺(とくじい) この登場人物が出てくる物語はなんでしょう。それはフランダースの犬。明治大正期にはじめて翻訳されたときはこういう名前だったそうです。黒岩涙香。気になる。こういうことも、教わりました。
心にサァーっと風が吹くような 気持ちになる一文にうっとりしたり、くすっとしてしまう一文に喜んだり。これからも何度も読むだろうなぁ。
松本の寒さに一緒になってふるえたり、三崎の人たちが出てくると おっ元気なのねと思ったり、大阪の家も、尾久の家も、いろんな人が自分の親戚のように思えてきちゃう。
毎日のごはんのおいしそうなこと。そしてその品数の豊かなこと。こちらにもうっとり。まぼろしのカッパも、皿に手を伸ばすざんすよ。 まぁ カッパは もともとまぼろしだけれどもね。

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2010年11月15日 (月)

立川談春独演会

先週、父とにぎわい座にいってきました。立川談春をききに (落語はたしかきくというはず)。 是非一度!と思っていた談春さんは面白かった!
最初は、立川こはる。「鮑のし」。子供みたい。かわいらしい。うちのやつの話をしているのだけれども、うちの母ちゃんの話をしているみたいに聞こえちゃう。テンポよく、楽しくきけました。なんども笑っちゃった。えぇって。 後で、師匠の談春さんが、彼女も彼女なりに・・って言っていました。女の子だったのですね。男女とかあんまり関係ない感じでした。かわいらしいって、女子っぽいのではなく、こどもっぽいということなので。また、きいてみたいな。うまいっていうのとは違うけど、ききたくなる人でした。
そして談春さん登場。案外おじさんでした。(素敵な外見 という勝手なイメージがあったので。)
普通の話をしつづけているのだけど、世間話とは一線をひくプロの話。うーむ。おもしろい。これを枕というのでしょうか。吉原をひやかすということから、外国のおねえさんたちが並んでいる街を歩いて通りすぎたという自分の若き日の体験談が面白かった。 落語にはいるかと思うと、また普通の話。 突然 すっとはじまった。 あの超えるときの瞬間にドキっとした。 さぁーっと冷たい空気が流れたようだった。おおっと思った。
「二階ぞめき」吉原が大好きな若旦那。遊びに狂っているのではなく、ひやかしに狂っている。大金をつかうわけじゃないけど、とにかく毎日冷やかす。それのどこが?と思うけど、若旦那はいたく楽しそう。「おとといきやがれ」って言われても、「おとといもきてるよ」っていうのがいたくおかしかった。 番頭さんが若旦那更生のために、だした案が、家の2階に吉原を創るってこと。ええっ。そして創っちゃった。えええっ。 もうとにかくおかしかった。まぬけで。とことん我が道を行くの。いとおしかった。あっぱれ、若旦那。おおいに楽しみました。
休憩(仲入り)後は、「包丁」。出来すぎの妻に愛想を尽かそうと作を練る亭主。清元の師匠である妻に、何から何までしてもらって、働きもしないくせにと、男のことがイヤになり、なかなかのれなかった。それだけ、うまいんだろうけど。底ぬけにのんきな男の落語の方が、いいみたい。初心者には。 最後には、どんどん面白くなったけど。
「包丁」は、座布団に座り、顔をあげたとたん落語が始まった。(そういうもの?)これにもなんだかハッとしました。
二階ぞめき、もう一回みたいなぁ。独りでひやかして、独りで怒って、それに独りでくたびれて、でもやり続けるのが最高でした。キング オブ 妄想。落語、すごい。
うまいなぁ。赤めだかも読んでみたくなった。

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2010年11月10日 (水)

『砂漠』

伊坂幸太郎の『砂漠』(新潮文庫)を読む。
すごい。
大学に入学したばかりの学生たち。その中から友という仲間ができる。大学生活が始まる。学ぶ者、とにかく女の子と楽しく過ごそうとする者、麻雀にはまる者、いろいろいる。特に何もしないのが一番もったいないな。
学生の青臭い言葉。そんなのきいたなぁと思う。その中で、西嶋の発言にはドキっとするものばかりだ。タイムマシンで過去に戻った時、目の前に病に倒れた人がいる。ポケットにはまだこの時代にない新薬がある。過去を変えてしまうと助けるかどうか思い悩むな、目の前の人をどんどん助けちゃえばいいという。これに参った。そんなの助けちゃえばいいのかと。どちらかしか助けられないと悩むなら、今 自分でこっちと思う方を助ければいいのかと。 目の前のことがどうにもならない人間に、世界は変えられない。いざという時のためにと準備ばかりしていたら、その時になって何もできない。
すごい。
こういう人が10代終わりのころに実際に近くにいたら、そのアツさに白けてしまったかもしれない。うるさく感じてしまうかもしれない。世界平和といわれても本気にできないかもしれない。 この本の中では、西嶋の言動や行動に、またかと思いつつも その中の底力をちゃんと見ることができる仲間がいる。とりあえず、独りになりたくないから群れているのではなく、ちゃんとした仲間がいる。 うまくいかないことばっかりだけど、その方がずっといいと思った。若いときからうまく物事が進んでは、つまらない。かっこ悪くてかっこいい彼らの物語を読んで、頭で決めつけない人間でいたいと思った。圧倒されるような人に翻弄されるのも、いい。かっこ悪くてかっこいい人でいたい。
地に足をつけていきていれば、どうにもならない閉塞感からも、毎日を過ごすための何か光をちゃんと感じることができるのだ。

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2010年11月 9日 (火)

『百日紅』

テレビでちょっと北斎の肉筆浮世絵が流れた。この女の人はなんてきれいなのだろうと もう一回みたいと願っていたら夜鷹図で驚いたという思いでの作品だった。そういえば持っていたなと思い北斎の漫画を再読。杉浦 日向子さんの『百日紅』(上)(下)を読む。読むたび傑作だなと思う。
杉浦 日向子さん。もう、この世にいないのね。もっともっと読みたかった。北斎や手塚治虫は、もっともっと生きていてもっともっと描きたいという執念を感じる。描きたいものがまだまだあるんだという、濃厚な人生がまぶしい。
葛飾北斎と娘 お栄、居候の善次郎(のちの英泉)が暮らす汚い長屋。生首をみたかったと悔しがる絵師心とか、気にしているのに私のしったこっちゃないと強がるさまとか、細かい感情模様がいい。北斎の絵のとらえ方のすごさとか、絵の腕のいい人へのかなわないなぁという哀しさとかあこがれとか、いろんな思いが面白い。
だらしなく、淡々としつつ、貪欲な北斎。娘お栄のささえ方。北斎の絵だけでなく、北斎ってどんな人なのだろうとますます興味がわく。部屋に無数に転がる反古にした紙くずを広げて見てみたいと思う。この時代の空気みたいものを感じるすごい2冊。歌舞伎役者のように、簡単に江戸時代につれていってくれる好きな本です。

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2010年11月 8日 (月)

顔見世・夜の部

週末に演舞場にいってきました。昼夜一気見。
夜の部からおさるもやってきました。3人で夜の部奮発鑑賞。最前列より、熱視線を送り、熱い舞台に きゃあきゃあと喜びました。
ひらかな盛衰記「逆櫓」から。前回みたときは、歌六さんの船頭権四郎に泣かされたなぁ。段四郎だとかわいいおじいちゃんになります。段四郎さんと女房およしの高麗蔵さんの喜びっぷりをみて、切なくなりました。結果を知ってみているから。前回は残酷な現実に、船頭のおじいさんと一緒になってうちのめされました。
とてもよくわかったのですが、幸四郎さんの松右衛門の説明をきいていたら???義経への敵対心がわからなかった。ちょっとこもっちゃってました。声と動きと感情が。昼の河内山の大きかったのに。 計略敗れ、樋口松右衛門がとらわれてからの船頭 段四郎が諭すように言ってきかせるところがよかった。 逆櫓って松右衛門より、船頭の芝居なのではないだろうか。前回の家六さんといい、今回の段四郎さんといい船頭権四郎がよかった。
立ち回り、格好よかった。海の男たち!
次に踊り。「梅の栄」。密かに「天才右近ちゃん」と呼んでいます。天才っぷりにほれぼれ。うまいなぁ。一つ一つの動きの意味を全て把握して動いています。うまい!久々の米吉くん。子供に喜ばれそうなキャラクター性がありますなぁ。4人で踊ったあと、芝翫さんと宜生くん。宜生くん、舞台度胸あるなぁ。芝翫さんが目を細めてウンウンとうれしそう。いろいろ、見どころがあり面白かった。
最後に 傾城花子 忍ぶの惣太。都鳥廓白浪。一番のお楽しみでした。幕があき、低い鳥居をみて あってこれみたと思い出す。團さまの忍ぶの惣太でした。   
梅枝くんの梅若丸は、たよりなさがうまかった。目のみえない忍ぶの惣太がお主のためにお金をとろうとする冒頭から、あーあーそれが大切なお主ですよ。と思う。
あたまから最後まで、見事に「実は」の世界。昼夜黙阿弥「実は」祭りでした。
菊之助の傾城花子のてぬぐいのくわえ方にうっとり。実は天狗小僧霧太郎のおかしらっぷりがかっこいい。実は花子。実は霧太郎と忙しく入れ替わるのを楽しむ。若いとちょっと生々しいかも。妙にきれいだから。お父さんがたの世代がだせる芝居味のよさも感じる。 でも、とにかくきれいっていうのも、やっぱりいい。実は吉田松若丸 っていうのがきりっとしていて格好よかった。「おまんまの立廻り」が、面白いというよりきれいと感じた。あそこは、特に魅せたなぁ。菊五郎さんの木の葉の峰蔵の、微妙に輪郭がずれた顔にふきだしました。菊之助さんもこらえられなかったようです。にくいなぁ。立廻りは、捕り手の動きも洒落ていて、よくできているなぁと思う。着物を脱ぎ捨て、襦袢の襟をさっと広げるところが、とても印象的。アンコールと思った。
宵寝の丑市の歌六さんに釘つけになりました。かっちょいいー。        
誰がみてもうれしくなっちゃう都鳥廓白浪でした。楽しかったなぁ。

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顔見世・昼の部

週末に演舞場にいってきました。昼夜一気見。
歌舞キチのかわいこちゃんと、昼の部鑑賞。夜の部を奮発したので昼は3階B。通し狂言 天衣紛上野初花「河内山と直侍」を観る。
河内山と、直侍は、よくかかる演目。それぞれのよく見る場面に、ちょっと追加すると あら不思議。2人はかかわりあいのある人間だったのですね。よーくわかって面白かった。序幕の湯島天神境内の場は、普段は特に必要ないねと言っていると、通し狂言ではちゃんと伏線になっていました。普段みているものは、伏線になっている部分をポーンとはずしていたのだな。個別に上演するなら、それは当然ですが。組み合わせの面白さがありました。
黙阿弥お得意の「えっお前は兄さん」っていう 「実は」 の展開がもっと もっと おりこまれていたとは。 江戸の頃も、これは例のがくるなって、楽しんでいたのでしょうか。
直さんが、遊女三千歳を待って床の番をしているところが粋でした。色っぽくてかっこいい。でもあれでは・・・。  女に頼めば目先の金はできる。その金は博打でポーンと負ける。お金といえば50両・100両っていう単位で 欲しがったり 使ったり。 これじゃあ、行き先の短い人生になっちゃうのはあたりまえだなあ。 格好良く生きるって、後でツケが待っているんだなぁ。
因果応報だけど、ちっとも暗くなく むしろ格好いい。調子よく人をダマすけど、弱いものいじめをしない。そういう江戸のかっこよさが堪能できる芝居でした。
幸四郎さんは河内山のようなのが似合うかも。台詞もはっきりしていたし。決め台詞も ためずに「ばかめっ」と言い放ち 威勢がよかった。雪の蕎麦屋の直さんは、粋で格好よかった。股火鉢までかっこいい。こういう江戸の香りがする感じは、若者にはだせないかも。時蔵さんの三千歳は、本当に直さんがいないとダメダメでかわいらしかった。娘の身を案じる質店 上州屋のおかみさんは秀太郎さん。おろおろしているところへ現れた和泉屋清兵衛に友右衛門さん。今までみた友右衛門さんの中で一番りりしかった。最後に河内山の企み事を聞かされた時に、娘の恩を忘れたかのように現金に店へのかかわりの心配をする秀太郎さんのかわりっぷりが面白かった。うまいなぁ。段四郎さんの金子しぇんせいは、愛らしかった。 久しぶりに田之助さんの姿をみてうれしかった。按摩の丈賀さん。細かい雰囲気いがすばらしい。いいなぁ。
「天保六花撰」の本を読んだのに。へーへーといいながらみました。通しってやっぱり面白いなぁ。

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2010年11月 7日 (日)

吉例顔見世大歌舞伎

観てきました。
演舞場にて、昼夜通しで吉例顔見世大歌舞伎を鑑賞。面白かった!
昼はちょっと力をぬいて、3階B席から鑑賞。河内山と直侍の通し狂言。こういう関係だったのねと、結構面白くてびっくり。
夜は1階最前列からじっくり鑑賞。いやぁ面白かった!!逆櫓 も 梅の栄 も よかった。 とにかく面白いのが、忍ぶの惣。 ものすごい話。「えー」の連続。 登場人物が次々に 「仔細は奥にて聞いた」 と言ってでてくるの。つつ抜けハウスです。  そして、みんな ちょっとづつ遅いから間に合わない。 いろんなところが、おもしろすぎです。 突拍子もない筋の歌舞伎をみると、これこれ こういうのがすきって思うのですが、今日はすごすぎ。みたことがある演目なのですが、驚きはひとしお。
満喫。
Photo_2めで鯛焼きが、演舞場3階で復活していました。懐かしいのぉ。 

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2010年11月 5日 (金)

20周年記念展 美の潮流

岡村桂三郎さんの作品が出ていると知り、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催の 五島記念文化財団「20周年記念展 美の潮流」にいってきました。
東京急行電鉄株式会社 元取締役会長 故・五島昇さんの遺志を継承して設立された財団だそうです。歴代の《五島記念文化賞・美術新人賞》受賞者たちの現況を、無料でご紹介するものだそうです。太っぱら。
これ、無料でいいの?という濃厚な作品40点近く。
手塚愛子さんの作品。庭園美術館でみたステッチ・バイ・ステッチ〜針と糸 のときの人だ。既存の布から赤と青の糸を抜いて、その糸で刺繍してある。発想のすごさ。
長沢明の「オオトラⅡ」も格好よかった。菅原健彦の「雷龍図(部分)2009」や、柳沢正人の「地の鼓動 キラウェア」などキャンパスが板のような質感のものが、好き。こういう作品はいろいろ創られているのだなぁと思いつつ、角をまがると岡村桂三郎さんの作品が!
もう全然違う。個人の好みの問題だけど、もう桁違いに格好いい。奇をてらうわけでなく、作品の素材にこめられた意味も必要としない。どっしりとした作品。高さは3メートルくらいあるように感じた。大きい。近くでみるとあの鱗のような不思議な肌感。はなれてみると、また違ってみえる。目のするどさも異なる。人じゃないあのまなざしがいい。
岡村桂三郎さんの作品は「五部浄09-2」と「百鬼09-2」。怖いような、のぞかれているような、みてはいけないもののような、見ずにはいられないような不思議な世界。みにきてよかった。
ヤノベケンジの「プロジェクト・ドキュメント2003-2010」も、ふーんと関心しつつ面白くみる。小部屋からでると 大きな岡村桂三郎さんの作品がドーンと目にとびこんでくる。うーん格好いい。近くによってみている人もふくめて作品が面白い。大きな樹に動物が擦り寄っているような、大きな存在感がある。
ほかの作品もとても面白かった。さすが。

樺山祐和、島 剛、柳沢正人、滝口和男、松井紫朗、坂本幸重、松本秋則、ヤノベケンジ、岡村桂三郎、土屋公雄、神内康年、袴田京太朗、菅原健彦、扇田克也、河合里佳、柳幸典、河嶋淳司、古伏脇司、東島毅、長沢明、長橋秀樹、小林良一、奥窪聖美、武田州左、石田瑞夫、木村太陽、吉田有紀、中村桂子、清野圭一、福本双紅、中田秀人、平田五郎、土田俊介、高橋匡太、周防絵美子、三瀬夏之介、石田尚志、吉賀伸、鬼頭健吾、梶井照陰、手塚愛子

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2010年11月 4日 (木)

悪人

文化の日に「悪人」をみてきました。すっかり映画づいてます。朝9時10分からの上演でしたが、近所なのでふらっと。
骨太の映画でした。
田舎で暮らす変わらない毎日。キツキツの毎日。閉塞感とか、絶望とか、普通の人の普通の暮らしにある息苦しい感じが、うまい。そのなかにも希望とか、その一言がたまらなく大切に思える一時の描きかたもうまい。妻夫木くんや深津絵里ちゃんの、だまっている顔がよかった。押し込められた感情がすごかった。特別な人でなく、特別な力もなく、ふと 自分の中にうまれかねない殺意。人間のちっぽけさ。そういう重苦しさを悲感だけでなく描かれていた。
柄本明が、岡田将生に言い放つところが、いちばんぐっときた。いいところばっかりすくって生きている薄っぺらな人生なんてくそくらえだ。そんなにまっとうに生きているわけじゃないけど。ようやく正しいこと姿をみた。宮崎美子の絶対に帰ってきてねという言葉の大きさにも、ぐっときた。 
悪人とは何か。骨太の映画を堪能。

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2010年11月 2日 (火)

天狗推参!

先週末、おさると神奈川県立歴史博物館にいってきました。先日、紅葉坂でみてけた「天狗推参!」展のチラシがとても格好よかったので、一緒にどう?とおさるに話したところノリノリでした。 事前に父を偵察部隊として館へ送り込む。年配者は格安(100円!)なのでね。 父には ぐっとこなかったみたい。曼荼羅も薄ぼんやりしていたぞと言っていました。
カッパとおさるには、ぐっときました。大杉神社というところはすごい。沢山の天狗のお宝をお持ちでした。冒頭には、とても大きな2対の天狗面。一般的に天狗と思っている鼻の高い赤い顔のものは、鼻高天狗。 一見河童のようにみえる尖った口のものは烏天狗というらしい。どーんと突き出す天狗面にびっくり。3Dのようでした。特別な眼鏡のような小細工なしで、大迫力。格好よかった。 展示の天狗は烏天狗の方が多かった。後期になると鼻高天狗が増えてきたようです。時代なのかなと思う。
「天狗」と記載のある古い書物。木造の天狗像。天狗の描かれた掛け軸、屏風。と面白い。うっすらとした絵画をみると、父はコレのことを言ったのかしらんとおかしくなる。 いろいろな展示物を、天狗探しをしつつみる。あそこよ!と小声でささやきつつ鑑賞。 浮世絵の時代になると、歌舞伎で得た知識が役に立つ。2月堂とかね。 北条高時がいました。道成寺の舞尽くしで、「北条高時天狗の舞」っていうじゃんと豆知識を披露。御正月にテアトルで「高時」がかかるわよなど、一言メモを披露したり。坂田金時の童絵では、鶏と同じ大きさでかかれた天狗が。天狗さんは、まるまるした童にいじめられているようでした。そのうち三升の文様も。荒事だの初代團十郎だのといいつつ鑑賞。 大きな、荒海の浮世絵も面白かった。平家の乗る船が大海原で転覆。右端上には荒海とさせた原因の天狗軍団。左端下にはそれを救いにきた鰐鮫。救いにきたと注釈があるのですが、こっちも怖い。おさるがどっちにも助けられたくないと名言をはいてました。これどういうストーリーなのだろうととても気になった。
役行者の像もしぶかった。天狗面を箱におさめ、かついで山々をめぐり邪気をはらったそうです。その天狗面入りの箱もすばらしかった。最後に初めて寺外に出したという天狗の爪もありました。もちろん本物として展示。
売店では、天狗の下駄を販売。もちろん歯は1本。けっこう賑わっていて驚く。
馬車道から横浜に出て、いつもの崎陽軒に立ち寄る。もちろんビール。楽しかったし、おいしいしかったし、ごきげん。 おもしろがってみることのできる相方と、一杯いただくのは(2杯だけど)、誠にシアワセなことである。

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雷桜

映画の日。地元でおさると邦非映非連活動。「雷桜」をみる。顔がベタベタになる。泣かされたー。蒼井優ちゃんに泣かされたー。
宇江佐真理さんは、函館出身。小学校の終わりごろ3年ほどくらしたことがあるので地元愛も加算され好きです。女性の強さをよく描いています。この雷(遊)の強さはものすごかった。蒼井優はすごい女優です。里の者とすら話すことのない山の暮らしだからこそ、殿のすごさが今ひとつわかっていない。俺が山を案内してやる。そのまっすぐさに参った。
岡田将生くんの殿は、退屈しているのとは違うイライラが結構よかった。そして思ったよりたくましかった。 命がけの殿につくすものすごい忠義の心を柄本明にみせつけられ、上に立つものの苦労をも感じました。息子さんもちょろっと出ていました。ならば公方さまの三津五郎さんと一緒に巳之助くんも出たらいいのにと、おさるといいながら帰る。
盛り上がった場面での音楽の使い方が、唯一気になった。急に雰囲気の異なるメロディラインを大きな音で流し盛り上げようとしていた。あれは不要。俳優の力で、画面だけでぐっときたのに。逆にこれはtoo muchと余計なことを思った。泣きながらだけど。
幼馴染の2人の夫婦をみて、ふといいなと思ったり、自分をもてあまして山の家に帰ったり、どの場面をみても 雷(遊)は必死に生きている。怒る顔も、ふとみせる優しい顔も、寂しそうな顔も、みとれた。蒼井優ちゃんはすごい。観てよかった。

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2010年11月 1日 (月)

錦秋十月大歌舞伎 夜の部

十月昼の部にひきつづき夜の部を鑑賞。終日3階だけど 終日一番前なので、贅沢感あり。
「盛綱陣屋」から。しびれました。 長い演目ですが、ぐっと集中して観ることができました。源頼家と北條時政との間で争いが起こる。佐々木盛綱・高綱兄弟が敵味方に分かれて戦うこととなる。源頼家は、昼の部の梅玉さんだなぁと思う。 
高綱一子 小四郎には泣かされました。小さいのに贋首をみて、「父上」と叫び駆け寄り切腹する。あんなに小さいのに。そしてあんなに小さくてもあの子は本当に全てを飲みこんで行動しているようでした。
兄・盛綱(仁左衛門さん)、母・微妙(秀太郎さん)、妻・早瀬(孝太郎さん)。対する弟・高綱の妻・篝火(魁春さん)、一子・小四郎(名子役くん)の顔あわせがすばらしかった。なぜ兄弟、親子と敵味方に分かれてまで主に忠義を尽くさねばならないのだろう。哀しくなりながらも静にあつくみる。
義太夫にも注目。頼込みは、金色屏風を背に綾太夫さんと宏太郎さん登場。個人的にゴールデンコンビ。小四郎恩愛で、くるっとひっくりかえると、銀色屏風を背に喜太夫さんと長一郎さん登場。首実験でまたまた、くるっとひっくりかえると、金色屏風を背に再び綾太夫さんと宏太郎さん登場。しぼりだすようもりあげる。仁左衛門さんが、花道に走り出てじっと奥を見る。三味線がビーンと響く。それをきっかけに芝居が動き出す。ああ、義太夫ってすごかったのねと今ごろわかる。まだまだわかっていないけど、わかり初めてきました。
この長い場面の最後に、團さま登場。敵味方というものを超え、人として男っぽい贈り物をする。間者をそっと殺していくのである。 隠れじっと様子を聞いているものがいたのだ。ながいこと鎧櫃の中に閉じこもっていて、團さまにやりを刺され 櫃がバっと割れると出てきてパッととんぼをきり決めて死ぬ。きつい体制だったであろうに無駄なく、華やかでですてきでした。梅秋さんさすがです。
「どんつく」。どんつくというと、数年前の團菊祭を思い出す。たくさんのちびっこがでていて、天才「右近」ちゃん(そのころは岡村研祐くん)に驚いた。あのちびっこだけ、しっかりわかって踊ってる!と目を丸くした。そんな思い出はおいて。 三津五郎の踊りのうまさが引き立つ演目。團さまは親方らしかった。失敗しちゃっても愛嬌があります。子守の小吉くんが背が高くなっているのにびっくり。
最後に「酒屋」艶容女舞衣。半兵衛 に竹三郎さん・女房に吉弥さん・我當さんの宗岸と揃い、上方のよさって これねとしみじみ思う。説明されるより、何より観るのが一番伝わる。さすが。半兵衛には、息子半七がいる。お園(福助さん)という妻がありながら他に女がいて子までもうけたため、勘当されている。怒りながらも実は、息子の罪を代わって背負ってやろうとしている。そういう情けをおさえておさえて表現するのがうまい。吉弥さんも竹三郎 さんも我當さんもみんな辛抱。福助さんも。辛抱の美学でした。
福助さんはけなげなお園ちゃん。福さんは、動きがきれいだと思う。今回も耐えているさまの動きがよかった。泣くとちょっと絶叫ぎみでもったいない。場面がかわると半七(福助さん)と三勝(孝太郎さん)。ここの早変わりの2役ってどうしてかなぁ。早変わりの妙でみせなくても。せっかくしっとりしているのになぁ。
半七っちゃん、今頃どうして~ っていうセリフがきかせどころみたい。義太夫の気合いがすごかった。義太夫の仕事のすごさに気がついた月でもありました。

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