« 『百日紅』 | トップページ | 立川談春独演会 »

2010年11月10日 (水)

『砂漠』

伊坂幸太郎の『砂漠』(新潮文庫)を読む。
すごい。
大学に入学したばかりの学生たち。その中から友という仲間ができる。大学生活が始まる。学ぶ者、とにかく女の子と楽しく過ごそうとする者、麻雀にはまる者、いろいろいる。特に何もしないのが一番もったいないな。
学生の青臭い言葉。そんなのきいたなぁと思う。その中で、西嶋の発言にはドキっとするものばかりだ。タイムマシンで過去に戻った時、目の前に病に倒れた人がいる。ポケットにはまだこの時代にない新薬がある。過去を変えてしまうと助けるかどうか思い悩むな、目の前の人をどんどん助けちゃえばいいという。これに参った。そんなの助けちゃえばいいのかと。どちらかしか助けられないと悩むなら、今 自分でこっちと思う方を助ければいいのかと。 目の前のことがどうにもならない人間に、世界は変えられない。いざという時のためにと準備ばかりしていたら、その時になって何もできない。
すごい。
こういう人が10代終わりのころに実際に近くにいたら、そのアツさに白けてしまったかもしれない。うるさく感じてしまうかもしれない。世界平和といわれても本気にできないかもしれない。 この本の中では、西嶋の言動や行動に、またかと思いつつも その中の底力をちゃんと見ることができる仲間がいる。とりあえず、独りになりたくないから群れているのではなく、ちゃんとした仲間がいる。 うまくいかないことばっかりだけど、その方がずっといいと思った。若いときからうまく物事が進んでは、つまらない。かっこ悪くてかっこいい彼らの物語を読んで、頭で決めつけない人間でいたいと思った。圧倒されるような人に翻弄されるのも、いい。かっこ悪くてかっこいい人でいたい。
地に足をつけていきていれば、どうにもならない閉塞感からも、毎日を過ごすための何か光をちゃんと感じることができるのだ。

|

« 『百日紅』 | トップページ | 立川談春独演会 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/81962/37615308

この記事へのトラックバック一覧です: 『砂漠』:

« 『百日紅』 | トップページ | 立川談春独演会 »