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2010年12月19日 (日)

『万寿子さんの庭』

年賀状作成の一日でした。今年も しぶとく、プリントごっこを使用。

黒野伸一の『万寿子さんの庭』(小学館文庫)を読む。帯の「読み終えるのが惜しい、そして、読んでよかった、と心から思える一冊」に惹かれて購入。帯の感じとはちょっと異なるがよかった。
二十歳の京子が就職を機に引っ越してくる。なんでココに決めたか今ひとつわからない新居や、採用してくれたことに驚いた会社とか、どことなく受け身で暮らす主人公。この自信の持てなさがよくわかる。気にする程のこともない目のコンプレックスとか。
近所によく手入れされた庭のある家がある。出勤時にその庭でよくみかける老婦人。78歳の万寿子さんに、おはようございますと声をかけると、今どき小学生しか言わないような悪口をいわれる。気にしている目のことも、ズケズケという。イヤミでなく、ズバっと言う。 敵対心というより混乱しながらも、面とむかって戦ううちに、体裁を気にしない友情が生まれる。それは人にわかりにくく、裏表のないまっすぐなもの。相変わらず口が悪い万寿子さんに、すっかり慣れ 動じなくなった京子。奇妙なようで 本物の友情のひとつは、こういう形だろうと思う。
年の積み重ねは、誰の上にも降りかかる。いくら、一人でキチンと生きていても 人は年をとる。生活していく中で、繰り返すことによってどんどんスムースにできるようになっていく家事全般。積み重ねが、ガラガラとくずれていく日がくる。年をとることの切なさがつらかった。多くの人ががんばって乗り越えようとしている重要な課題だけど、ちょっとホロ苦すぎた。背筋をすっと伸ばしたくなる まっとうな暮らしっぷりを描いて、好きなタイプの本なのですが。いい本です。

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