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2010年12月29日 (水)

『幻の声 ~髪結い伊三次捕物余話~』

12月は決算。そこそこ(けっこう)忙しい。 いいものを読みたいなと思い、本棚に寝かせておいた宇江佐真理の『幻の声 ~髪結い伊三次捕物余話~』(文春文庫)を再読。
すっかり忘れていました。人生の機微をうっとりと読む。廻りの髪結い(かみいい)伊三次と、深川芸者のお文。若さで自棄になって飛だし、八丁堀の小物(手下)としても働くことになった伊三次。借金は終わり独り立ちしている芸者のお文。相手を深く思いやっているが環境や、気持や、なかなかうまくいかない2人。人生を追いつめられるような問題は起こらないのだけど、切ないすれ違いが続く。そのじれったさや、もう駄目かと思うけど、ちゃんと気持ちをくむことができスレスレのところでお互いのところに戻っていける様をうっとりと読む。いいなぁ。
ほかの人の人生にかかわり、押しつぶされそうになり、苦い気持ちになったりする。それでも、人と寄り添うことは、あたたかい。
この本を読んだきっかけは、確か 橋之助さんが伊三次を演じたドラマをみたからだったはず。
酒は飲めず、甘いものに目がない伊三次。お文は、注し向いでいっぱいやることができず不満だ。そうよね。飲兵衛は、相方にも飲兵衛を求めるもの。伊三次は、飲めないのになぜか格好よくうつる。冷たいところ、つれないところ。人情に厚いとこもいい。 お文の強がりや、弱いところにも惚れぼれする。
八丁堀の不破の旦那のぶっきらぼうさも、妻いなみの凛としたところも、隅々までいとおしい。
これは名作です。
なんと、渾身のデビュー作らしい。すごいすぎる。 水嶋ヒロもびっくりだ。(←これは余計)

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