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2011年3月30日 (水)

なぜ、これが傑作なの?

週末、国立劇場へ払い戻しにいってきた。その帰り道に ブリヂストン美術館へ寄り、「なぜ、これが傑作なの?」をみてきた。
ブリヂストン美術館は、お宝を沢山もっている。48点の彫刻作品とともに、115点の絵画を出品。その中から「傑作」12点が選出されている。「なぜ、傑作か」がわかるような2000字の作品解説がついている。これが面白かった。
この企画をした学芸員の貝塚健氏自ら12点を選出したそうです。2000字の作品解説がつく。この分量が絶妙。通常の作品解説は400~500字が普通とのこと。その4~5倍の分量。確かに パッとみたときに、その長さに驚いた。読まない人はどんなに短くても読まない、読む人は長くても読むという経験則から、内容で勝負だそうです。勝負あり。面白かった。 「分かりやすい」という感想ではない。作品だけでなく、画家の1生を区分し、この作品がどこにあたるとか、美術史的な区分のどこにあたるとか、内容よりも、位置を伝えるという視点が面白かった。傑作だからありがたく思えというような、貴重さで押さない解説。全部の作品に説明があると流れが悪くなるし飽きもくるだろう。 この作品でなくて、こっちを取り上げるのかと、自分の12選を選びたくなったりした。いい企画だ。面白かった。  ジャクソン・ポロックは2000字でも足りない。ジェームス・ディーンもポロックも、年こそ違え、ポルシェで自動車事故を起こし亡くなったと並べてあるのがいい。カリスマ並び。 ルノワールの《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》の解説が一番好き。
ブリヂストンは、壁の色にも眼がいく館。改修前も改修後も、邪魔にならないけど主張のある壁だ。今回の企画では、「傑作」中10点の背景には特殊な色が配列されていた。目立ちすぎるほど、コントラストをつけている。でも邪魔じゃない。印象的。
「なぜ、傑作か」12選
     ルノワール 「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」
     モネ  「黄昏、ヴェネツィア」
     マネ  「自画像」
     セザンヌ 「帽子をかぶった自画像」
     セザンヌ 「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」
     マティス 「縞ジャケット」
     ピカソ 「腕を組んですわるサルタンバンク」
     クレー 「島」
     ポロック 「Number2,1951」
     小出楢重 「帽子をかぶった自画像」
     岡鹿之助 「雪の発電所」
     藤島武二 「黒扇」
絵画の一点目にレンブラント・ファン・レイン「聖書あるいは物語に取材した夜の情景」があった。光が甲冑にあたり照らされる様子、蝋燭の明かり、火にあったている明かり、それぞれの明るさが違う。どうなっているのだろうと、小さな絵画にすいよせられた。 マネ「自画像」について、朝日新聞に載っていた記事を思い出しじっとみる。きびしい顔つきが興味深い。ドニもあった。モーリス・ドニ「バッカス祭」。そうだ、ドニ好きだったのだと思いだす。どこか好きなんだろう。なんだか惹かれる。ルオーの「ピエロ」。ここの「ピエロ」は美しい。哀とかでなく美しいと感じる。この絵も好き。ピカソの「腕を組んですわるサルタンバンク」がすごい。話題になったことがうなづける。サザビーズだかのオークションで競落とし、個人所有でなく美術館所有となったと名誉風に解説にあったが、ヨーロッパから持ち去られるということに関して、物議をかもしたであろう。説明のいらないすごさがある。みごと。ブリヂストンでは世界中からこの絵をみに来る人がいるというたい、常時展示しているそうだ。ブリヂストンのすごさも実感。どれだけお宝を持っているのでしょう。そのお金のかけ方もすごいし、選ぶ眼もすごい。  藤田嗣治の「猫のいる静物」。私なら、12選にこれをいれるであろう。この白は驚くほど美しい。アングルはやはりきれいだなと思ったり、白髪一雄のかっこうよさに驚いたり。12選とじっくり向き合い、他の作品もおまけにならない。とてもいい展示でした。気に入りました。

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