第54回野村狂言座
先週、宝生能楽堂にいってきました。恒例の野村狂言座。開演10分前に会社を出る。韋駄天走りで宝生へ。橋がかりに入ってきたときに着席。よかった。バタバタしてすみません。
「鼻取相撲」から。今、大名の本名乗りに興味津津なので、くいいるようにみる。本物はこれか。すごい。何度も何度もみているものでも、注目してみるとまだまだ知らなかったっ大変さがいっぱいみえてきて、面白い。
大名は家来をかかようと言う。何人かかえるかと聞かれると8000人という。結局一人だけかかえるということに落ち着くくだりは、なんどみてもにこっとしてしまう。やってきた男の特技は相撲だという。これも、よくあるパターン。鼻取相撲は、鼻がポイント。おおまじめに鼻をかばいのどかでたのしかった。大名は深田師。太郎冠者は萬斎師。
続いて「見物左衛門 花見」珍しく、一人きりの狂言。そうか、見物左衛門は花見をするのでした。今の季節にぴったりなのですね。あちこちとみて歩く見物左衛門は、一人なのに優雅に楽しそうに見物してました。おれは見物のプロだぞって威張り具合も鷹揚でした。
「舎弟」実の弟のことだそうです。兄、萬斎師にいつも「舎弟」と呼ばれる弟、竹山師。さて「舎弟」とは何のことか?物知りのもの(万作師)に意味を聞きに行く。だまされてウソを教えられる。万作師に教えられたら、信じてしまいそう。そして兄よりも万作師を信じる固まじめな竹山師がぴったりでした。萬斎師は、鼻取相撲に続いて舎弟でも最後に投げられていました。苦々しさを演じ分けていました。ますますほっそりされたようにお見受けしました。
休憩をはさみ、素囃子 「男舞」。最後に「蛸」。これが、とびっきり気に入りました。
能がかりになっている狂言。
僧が、所の者にきくと、大きな蛸が取れたので喜んでみんなで食べた。その日から夜な夜な蛸の霊が出るので卒塔婆をたてて供養してやったという。後シテでは、頭に蛸を乗せた万作師により蛸の幽霊が登場。優雅に哀しみを舞ってみせる。ひとつひとつの動作は美しく、謡は荘厳であるが、内容が面白い。乾されてという謡には、ピンと腕を伸ばし乾されてみせる。美しいのに可笑しい。ニコニコしながらうっとりするという特別な楽しみ方のできる演目でした。静かに橋がかりを去っていく蛸をみて、あー蛸ちゃん、成仏できたかなぁと思う。すごく気に入りました。
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