文楽襲名披露公演
先日、父と国立劇場で文楽公演を観てきました。文楽の襲名披露をみるのは初めてです。
竹本綱大夫改め 九代目竹本源大夫
鶴澤清二郎改め 二代目鶴澤藤蔵
親子同時襲名披露公演。4代にわたって大夫と三味線を交互につとめてきた家が、同時にそれぞれ祖父の名を継いだという特別な襲名のようです。ありがたさとかがわからないのですが、華やかで緊張感のある雰囲気を感じてきました。真剣にみて、ぐったりくたびれる。座っていただけなのに。
早めに劇場入り。襲名なので、見どころがあれこれあるのではと思って。ロビーには、襲名披露のお祝いが飾られていました。歌舞伎では見かけない飾り方でした。米朝さんだ、観世銕之亟さんだ、井上八千代さんだと興味深くみる。ゑり善、一力亭というのもありました。 震災の寄付を募っていました。和生さんが赤姫の人形と一緒に募金活動。寄付しましたら、姫もお辞儀をして下さいました。嬉しかった。一緒に写真も撮って下さいました。 上演前の舞台では三番叟が演じられました。これも襲名だからでしょうか。
昼の部は、「源平布引滝」。矢橋の段、竹生島、糸つむぎの段、瀬尾十郎詮議の段、実盛物語の段。重厚で濃厚。歌舞伎でよく観る演目なので、筋はしっかりわかります。
矢橋の段。文楽で義太夫が御簾内というのは、はじめてだったような気がします。矢橋と竹生島の話は、小まん大活躍。アクティブで面白かった。琵琶湖を泳いで、なんとか忠義を尽くそうと必死。家にはととさまも かかさまも、わが子もいる、死ぬわけにはいかないとがんばる。小まんがこんなに活躍し、実盛がどんな思いで腕を斬り落としたかがわかると、その後の瀬尾十郎詮議や、実盛物語の段の思いいれがよくわかる。
住大夫さんが、瀬尾で大笑いをし、拍手喝さいがおきた。この場の重大さはわからないけれど、ハハハハ と繰り返し笑うだけなのに 何だかすごいものを感じた。笑うって 上手くないと違和感がある。上手いとすんなり場が動く。人間国宝と言われる人のすごさを感じた。
勘十郎さんは、瀬尾十郎。憎らしげさがよかった。人形だから取れる言われればそうですが、首が本当に斬り離される。己で己の首をはねさせる姿がすごかった。清十郎さんの葵御前は、きれいで品がありました。
たっぷりと「源平布引滝」を鑑賞。くたびれたと思ったら、まだもう一幕ありました。傾城恋飛脚。新口村の段です。すごくいいのだけれども、いかんせん集中力が途切れてしまった。もったいないなぁ。別の日にみたいなぁと思いつつみる。梅川と忠兵衛の人形がきれいでした。衣装も。八右衛門が新口村にまで出てきて驚く。歌舞伎では出てこなかったと思う。玉也さんの親 孫右衛門。我が子かわいさと、養子先への申し訳なさの間で必死に耐えているようすがよかった。自分が元気な時に、またみたい。
襲名の口上は、「源平布引滝」の間にありました。ご本人達は何もお話ししないのですね。竹本住大夫が紹介及び挨拶をしたあと、鶴澤寛治、鶴澤清治さんと続く。人間国宝だらけ。緊張感がありました。少しくだけたトーク部分ですら、緊張感。特に清治さんはピリリとしていました。
文楽襲名披露公演は、とても面白かった。そしてくたびれました。翌々日、熱をだしました。どうしてこんなにくたびれるのでしょう。歌舞伎なら昼夜通しでも大丈夫なのに。不思議。
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