『天使はモップを持って』『モップの精は深夜に現れる』
近藤史恵の『モップの精は深夜に現れる』(文春文庫)の文庫発売を発見。まずは『天使はモップを持って』(文春文庫)から読み直し。キリコちゃんのシリーズを続けて読む。
これって北川景子ちゃんドラマ化の、結構違う話になっちゃっているモップガールだったかなと思ったら、作者も作品も違っていました。
読んでいる時間があれば掃除をすればいいのにと言われたらそれまでだ。と思いつつも、掃除をしてキレイになったときの清々しい気持ちを実に上手に伝えている本だと思う。キレイになったときの気持ちよさがわかるのにどうもできない。そういうことは置いておいて読む。
あるオフィスのビル全部の掃除をまかされているキリコちゃんが、そのビルの会社に新人として入社した大介と謎をといていく。近藤史恵さんの本っていつも思うのだけれど、謎ときそのものより、その謎にかかわっている人達の、なぜそんな事件をおこしてしまったかという機微の描き方がすき。
自分の好きなことを仕事にすることができた人など、ほんのひとかけらほどしかいなのかもしれない。 毎日長い時間すごす職場での仕事が全部好きでなくても、全部イヤではない。今月も期限どおりに仕上げたら安心するし、できたらちょっと嬉しい。やるべきことがあることは自分の居場所があることでもある。それをちゃんとこなしていくことの小さな達成感を大切にしようかなと思ったりした。
次作の『モップの精は深夜に現れる』では、職場でなく家庭において よく耳にする課題も登場。 どれもイヤ・なにもかもイヤというのでなくどれもこれもがんばろうとする。 うまくいかなくても、イヤという気持ちでなく 考えてみるとこれもありだなという折り合い点がでてくる。正解なんかなくて、自分で納得するしかない。
女性特有の刺のようないやーな感じを描くのがうまい。
他は軽いタッチでかかれていて、そんなに問題提起されたつもりはなかったのですが、自分がどう思ったのか考えてみると 結構 道徳的な感想になってしまった。ふうーん。
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