六月大歌舞伎 昼の部
先週末、観てまいりました。演舞場 六月大歌舞伎 おたのしみの昼の部。松嶋屋の「連獅子」。仁左衛門さんと、千之助くんの「連獅子」。劇場中から応援され、劇場中から愛されていました。もちろんアタクシもおおいに愛してきました。
獅子が仔獅子を千尋の谷に突き落とす様子を見せる場面では、そっと連れていくような振りでした。とても突き落とせまい。厳しい顔つきで連れて行ったあと、心配そうに しかし毅然として見守る。 ドラマティックでした。千之助くんの丁寧さがいい。ちゃんと振りの意味を理解してなぞっているのを感じました。
獅子になって戻ってくるところ、勇壮に舞うところは、新鮮な振付でした。獅子の出の前の演奏。鼓が鳴り。充分間をとり太鼓が応えるという、緊張感のただよう場面が好きなのですが、そこを使って獅子になって戻ってきたのには驚いた。最後に笛が入り締まるところで、親獅子が台に乗り決またところで、おおっと思う。
宗論は、愛にいにと、錦にい。キビキビと明るくてお祝いムード。緩急がついてよかったです。
客席全員が、孫をみにきたかのようなデレデレな応援ぶり。そして一生懸命だけではない踊りにほほうと思う。舞踏をみるというより芝居をみるようでした。
子供の時代のものって見ることができるのは縁だから、うれしかった。祖父と孫という風にいいたくない。親と子の『連獅子』でした。鴈治郎はんと壱太郎くんの『連獅子』もそうだったなと思い出しました。
昼の部は「頼朝の死」から。
つい最近、梅玉さんの頼家をみたような記憶が。よくかかりますね。染五郎さんの気性の激しい頼家もよかった。とにかく人の言うこと聞きたくない。真実を知るということの重みを全部背負えると思いこんでいる、若い武将っぷりが似合ってました。小周防は、孝太郎さん。翻弄される様がよく御似合いでした。侍女 音羽の梅枝くんはうまいなぁ。ベテランにみえる。愛之助さんの重保の暑っ苦しいっ程の悲観ぶりも似合ってました。
時蔵さんの尼御台所政子がすばらしかった。最後の「家は末代、人は一世」と言い放つ台詞が本当に効いていました。家を背負うってことの重さ。あーわたしは平民でよかったと、ちょっと見当違いなことを思ったほど、効いていた台詞でした。 すばらしかった。
真山青果モノは、引き込まれるぐらいうまくないと歌舞伎味が出にくいかもと密かに思う。ハードルが高い。
もうひとつの演目は、「梶原平三誉石切」。大名として種太郎くん、種之助くん、米吉くんと吉之助さんが並んでいて、そこばかりじっとみる。最近 活躍目覚ましい梅枝くんと種太郎くんは、 もう若手を一つリードしていますね。みんながんばってほしい。お行儀がよくていい。
芝雀さんの梢は、可愛らしくて大好き。今回の六郎太夫は、歌六さん。父娘っぷりがすばらしい。大庭景親は、段四郎さん。夜の部の夏祭りでは、あんなにみすぼらしい義平次でしたのに、堂々した武将。ちっちゃいのに大きなお方です。 景時は吉右衛門さん。
歌六さんの夢中になっているうちに、歌昇さんも夢中になってきました。うまい兄弟だなぁ。
最後に『連獅子』をみて、ニコニコ顔になり終了。入場時の大雨もあがっていました。来月は海老蔵さん復帰祭です。どさくさだろうと嬉しい。
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