ベッジ・バートン
梅雨明けした先週末。暑い中、浴衣を着て世田谷パブリックシアターへいってきました。萬斎師の出演されるお芝居 ベッジ・バートンを鑑賞。3時間程の長いお芝居ですが、長さを感じなかった。こんなに面白いとは!期待していって、それ以上でした。笑って笑っているうちにじんわり泣けて。でも笑って。 三谷幸喜、やるなぁ。
留学先の英国で、なかなか言葉が出てこなくって、この時代に留学できたような立場の人のもつプライドなどにも押しつぶされそうになっている夏目金之助。
自分の想いを「言葉」にし、誰かに伝える。
これは、永遠の課題だと思うけれど、こういうテーマを うまくちりばめられている。 浅野くんの一人で十一人分大活躍することは、それはそれで面白いけれど 底に排他的なものが潜んでいる。 大泉洋は、下宿の同居人である社交的な日本人ソーターロー。表面でしかみえない人間の、実はこうおもっている部分の残酷さの出し方が、やっぱり三谷幸喜だと思う。実は好きじゃない、それどころか憎んでいるというキツイ心情を吐露させても、まだあれだけ憎めなさを残しておく人物設定になっているのは見事。
夏目金之助は、姿勢正しく そして何だか人間が正しい。その融通のきかない感じが、悪くないかたくなさになっているのは師の魅力。 内向的でも、人と深いつながりを持つことのできる何かをにおわせる人でした。
ベッジ(実ハ アニー)は、深津絵里ちゃん。映像の人かと勝手に思いごめんなさい。テンションを維持する集中力がある。自分をわきまえていて、案外人をみている。あきらめと押しつけがもうすごいスピードで入り乱れる。その魅力に引き寄せられるのがよくわかる。みごとだった。うるさくてかわいい人だった。元気づけようとしてうまくいかない様子は抱きしめたくなるくらいかわいらしかった。 人の話を聞かないベッジの弟とのやりとりは、すごかったなぁ。ポカンとするおもしろさ。
誰でもが背負っていっるコンプレックスは、環境と人によりいろんな形で人を苦しめるけれど、ヘコむことを跳ね返す力があれば、それはだれかと繋がることになる。
言葉ってすごいなぁ。
その言葉で、本を書くということを思わせた瞬間がよかった。 また夏目漱石がよみたくなった。特に、教科書にのっていたようなものを。
そして、萬斎師はやっぱりかっこいい男であった。
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