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2011年8月20日 (土)

「空海と密教美術」

先日のプチ夏休みの日、映画「ダンシング・チャップリン」の後に、東京国立博物館へ。平成館での「空海と密教美術展」をみてきました。面白かった。

国宝 重要文化財 98.9%

東寺講堂の立体曼荼羅が一番のお楽しみ。密教法具も沢山展示されるのではと期待。そして美学の先生にが、空海の書の力強さに感動したとおっしゃっていたのでそこもしっかりみようと意気込む。 友人とじっくりと腰を据えてみる。3時間たっていました。売店時間の配分が少なくなってしまったことだけが残念。
空海筆の国宝「聾瞽指帰(ろうこしいき)」をみる。先生が感動されたという文字の持つ力強さというものは、私にはわからなかった。まだまだです。巻物の上部と下部の伸縮率が異なるので長期の年月がすぎることにより、広げるとたわむそうです。平安時代のもの。長く開いて展示。笑った口のようなカーブを描き展示されている物をみて、若き空海が仏教修行の道を選ぶと心に決めた思いをつづったのかと考えてみる。(儒教、道教、仏教の学問を修め、24歳の時に仏教修行の道を選ぶべきことを高らかに宣言した書だそうです。) 
密教法具の展示の中で、一番すてきだったのが、国宝「密教法具」。盤の上に五鈷鈴と五鈷杵という黄金に輝く組合わせ。この五鈷杵が一番綺麗でした。かっこいいというレベルでみているのが少々情けない。三鈷杵より、バランスがよく、五鈷鈴よりも安定感がないところがい。これは、唐から帰国するおり、密教の教えを請うた師である恵果が空海に授けた法具だそうです。ありがたい。(同時に本当に?とも思う。こんなに昔のこと。)何に使用するものかわからない人がみても、美しいフォルムなのではないであろうか。 国宝「錫杖頭(しゃくじょうとう)」も綺麗でした。配された小さな仏像も美しい。てっぺんの火焔宝珠がきれい。香川県の善通寺蔵だそうです。空海は四国で生まれたそうです。
曼荼羅図の展示もありました。期間的に、神護寺蔵の高雄曼荼羅の金剛界の展示でした。大きさ(約4m×4m)と見えないこと 両方に驚く。横に映像で説明がついていましたが、うっすらとした古びた黒いものにしかみえない。現存最古の両界曼荼羅図(平安時代・9世紀)にあたるそうです。
曼陀羅を使用し行う灌頂。実際に、灌頂を体験された先生のお話がとても活き活きしていて今でも印象深い。灌頂歴名の展示が面白かった。国宝「灌頂歴名(かんじょうれきめい)」なんと空海筆のもの。空海が3度にわたって授けた両部灌頂の、受者の名簿。これが最澄とか、ガイドが着いていて親切。なぐり書き風にみえるところが不思議でした。自分と結縁があった仏の名を人に告げてはいけないものだそうです(先生 談)。灌頂歴名には、受者の下に仏の名のようなものが。おお!中に一人だけ大日如来と書かれた人が。乏しい知識ながら非常に心沸き立ちました。
最後に、立体曼荼羅。 あれ?全員いらしたではなかったの。勝手な思いこみですが、東寺講堂の不動を中心とした五大明王部分 全員がおいでになるのかと思っていました。抜粋してお越しになっていたのですね。不動明王がいないとは。 四天王から 二人。五大明王からもお二人。帝釈天と梵天は揃っておいでになっていました。そして五菩薩からもお二人。
Photo_6 五大明王の中で、いつも気になる軍荼利明王がいらしてなく残念。蛇をまきつけたあの明王をグルグルまわってみてみたかった。 帝釈天の人気はすごかった。美男過ぎるわねと場違いの文句を言う人も。 ほっそりしているわけではないのに、すっきりとした涼しげな様子。 やはりいいなぁ。記念にブックカバーを購入。 
個々にスポットを当てて展示してあるので、一体づつグルグルと回って鑑賞できる。こういうことは東寺では不可能。普段目にすることのない横や背部にまわってあれこれ鑑賞。増長天と、持国天の、背中はすっきりとして張りのある筋肉がついていてきれいだった。頼もしい。ついていきたい背中でした。
勢ぞろいでないとはいえ、国宝8体がずらっと並ぶ様は壮観。非常に面白かった。
友人の借りたガイドをいくつか聞かせてもらいました。「国宝 灌頂歴名」をみてすごく知りたいことがあったので。ガイドのスペシャルゲスト・ナビゲーターは、北大路欣也さん。素敵なお声。最後に、「それでは皆様ごきげんよう。北大路欣也でした。」とおっしゃっていました。たぶん。 いい声すぎて、内容が頭にはいらないという難点が・・・  写楽の時のガイドは今ひとつだったけど、今回のはなかなかよかったです。

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