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2012年1月 5日 (木)

『三人目の幽霊』

落語ものを読みかえそうかなと、本棚にあった 大倉崇裕『三人目の幽霊』(創元推理文庫)を読む。ああ、いい本だ!
落語家を父に持つ少年が、「落語って面白いんだけど、最後がよく判らないんだ。」と言うのが面白かった。そうなのである。落ちというのが案外難しい。そこまでは面白かったのに、最後は んん?と思うことがある。 そんな感じに慣れてきた。
熊さん八つぁんが暮らしと、現代は暮らしぶりが全然違うから常識もおのずと違ってくる。 それでも落ちは変えられない。変える必要もないと思う。
私には、古典芸能と言われるものをみるときには、「さて 今日はどの部分を感じることができるかな」と思って臨む癖がついている。これは能をみて身に付いた。基本的に、わからないから。眠たくなってしまうし、全て起きていたのに、何の話だか分らなかったことも、十分下調べしたのによくわからなかったこともある。ちょっとわかったところがあったら、「やるな私」「成長したわ私」と思う。この 隅から隅まで、全部はわかるはずがないという 現代の感覚とは一風変わった見方が気に行っている。
完結に向けて話は進む。完結に重きを置き、そこまでの展開をみて楽しむ。これが現代の常識のように思う。 そうじゃない世界も、楽しみたい。風情とかね。それもまた一興である。 今は、歌舞伎ならだいたい内容はわかる。と思う。でも、舞踏はなんだかわからない。うまいなあとか感覚はわかるけれど設定はよくわからない。いずれ おいおいわかってくるでしょう。のんびり楽しむ予定。

さて、本題。主人公は間宮緑。あこがれの出版業界に職を得る。配属されたのは「季刊落語」。衝撃の辞令に泣く泣く仕事をしていくうちに、落語に魅力を感じる。落語に熱愛という語り口調でなく、仕事だからと渋々係わっていたら、渋々でもなくなってきた具合がいい。 上司の牧編集長は、すばらしい洞察力を持つ。人をよく観察している。落語家をめぐる事件を解決ていく。
落語家を巡る事件から唯一離れた、緑の祖母の話も とても好きだ。苦さとか人の幸せとか想い出とか。大切なものというのは、そりゃあった方がいいが、それにしがみつくとまた色あいがかわってくる。これがなきゃ死んでしまうというヒステリックな愛情になりがちの自分に気がついた。そんなことを考えたりしながら大切に読む。
解説は佳多山大地。祖母の下りで なにをあんなに意気込んで解説しているのか不可思議であった。鬼の首でもとったつもりかと独り言ちる。
落語もききたいなあ。時間は限られているから欲張りには楽しめないけど。
師弟関係のとか、特殊な世界ならではの話は面白い。

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