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2012年2月 8日 (水)

『ゴールデンスランバー』

伊坂幸太郎の『ゴールデンスランバー』(新潮文庫)を読む。今年最初に読んだ本。圧倒されて、そのままにしていました。
俺はどうなってしまった? 一体何が起こっている? ある日突然、首相暗殺の濡れ衣を着せられた男、青柳雅春。常日ごろ、社会的な思想を振りかざしていたわけではない。まさか自分がそんなことになるとはと信じることができない。実際に発砲までしてくる警察。明らかにおかしい。
ある日突然、自分の身に降りかからないとはいえない怖さ。証拠を捏造したり、隠蔽したりする警察の報道などを目にする。ありえないことではないなと思う。
持ち上げるとなると、よってたかって大袈裟に称賛する。すぐに忘れる。
責める時には、鬼の首でも取ったように非難する。責任責任とわめきたて、すぐに飽きる。
「報道の自由」はおぞましい。被害者・加害者の家にすぐにおしかける。そんなのみたくもない。現実のことを考えながら、引き込まれて読む。
誰も信じられないとき、助けをもとめるのは・手をさしのべようとするのは、昔の大学のサークル仲間や彼女。あきらかに変な警察の怖さに怯えながらも、ずっと疎遠だった昔の仲間との絆を大切にする。 ただただ共に時間をつぶしていた仲間は、そのだらだらとした時間の中でその人の本質をみている。 生きている中で一番大切なことは、信用する人との繋がりなのだ。「だと思った」というメモや、言葉の端々に涙が出た。信頼されていることってこんなにも嬉しいことなのかと。
自分の思うところではないのに、一躍時の人となり 今度は なぜか 首相を暗殺したことになってしまう。人の助けはもちろん必要だけど、とにかく自分で物を考えなくてはならない。伊坂幸太郎の『魔王』に出てくる「考えろ考えろ、マクガイバー」という台詞を思い出す。これは自分がピンチの時にもよく心の中で言う。 胡散臭い入院患者のおじさんと、報道 と どちろを信じるか。緊急事態になって やって普段つかっていない本能が研ぎ澄まされる。 才能やセンスのある人は、ちゃんと自分で考えたもので動く人なのかもしれない。たった2日の出来事だが、世界がひっくりかえるようなものすごい話だった。
本の中の現実では、監視カメラ「セキュリティポッド」を導入することになる。管理されることは楽なようで、操作される恐ろしさをはらむ。ちゃんと現実を見るべし。新聞も読むべし。自分でものを考えるべし。 ああ。大作を読んだ。

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