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2012年3月19日 (月)

『海の底』

少し前になりましたが、有川浩『海の底』(角川文庫)を読みました。自衛隊三部作 3作目。
「空」も「塩」も大変だったけど、「海」もまた、どエライことになっていました。海から巨大な伊勢海老みたいなのがわしわしと陸にあがってくる。人は襲われ喰われてしまう。弱肉強食の世界とか言うけど、弱者になったときに本当に喰われてしまうとは。弱って生きにくいとかでなく喰われて生きていけないことであった。
人類の危機的状況にもかかわらず、うちのメンツが丸つぶれになるだのなんだのというようなくだらない権力争いがある。警察と自衛隊。こんな危機的状況でも 規則を守る。
この本の中では警察と自衛隊が、お互いのメンツを守るという建前を理解し、落とし所をみつけ 平和のためには人に理解されない犠牲を負うことができる立派な人間がちゃんといる。ああ、よかった。
海から、巨大な海老がわさわさと這い上がってくる。海老を悪いとは言いたくないが、巨大な海老は人を餌にする。桜祭りであつまっていた横須賀の基地は逃げまどう人々でパニックを起こす。得体のしれない、自分もみたことのない恐ろしいものと闘おうとする人がいる。たまたま救助した見ず知らずの子供達を守る。正義感を、どうしてこんなにも保てるのであろう。安全な所に居る人間は、弱く何もできないくせに、警察や自衛隊に そのためにおまえらはいるのだろう、何とかしろという人がいる。おぞましい。 要求ばかりする。自分の権利を主張し、相手にばかり求める。 それでも、正義を貫く人たちはめげない。負けない。 生きるか死ぬかという時には税金で喰っているも何もないだろうに。 今の政府にどうにかしろという図式にも少し似ていると思う。 文句なんか誰でも言える。やってもやっても終わらないほどやるべき事がある時、歯を食いしばってがんばる人に、何をやっているんだ 自分を助けろとえばる。 それでも助ける。
ひねくれた図式は、大人だけでない。子供の狭い狭い世界の、ひねくれた図式。ひんまがった自分に気がついた子供が、今できるなりの責任を取ろうとした。強いなぁ。
とにかく人のせいにしない。「だって」って頭につけない。いさぎよさが大切だ。
骨太の本。自衛隊三部作 3作目は読み応えがあったが少々くたびれた。次は、少しお気楽なほっこりするものを読もう。

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