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2012年3月24日 (土)

一谷嫩軍記 ~流しの枝・熊谷陣屋~

国立劇場ではいろんな工夫をしています。その工夫が昭和っぽくてなんだかいい。切符を購入し観劇日・座席番号を添えて前もって応募しておくと、サイン入り舞台写真があたりますとか。あれ、どうなったのでしょう。当選だったら、そっと席においてあるとか・・・ 熊谷市特産物祭も開催していました。熊谷うどんとか。直実トートバックは、あとちょっとで買うところでした。絶対にほかでは売っていなさそう。トートバックに熊谷直実?!
團さまは、白血病を克服し『歌舞伎十八番之内 象引』で舞台復帰されました。その復帰した舞台に“白血病とたたかうみなさん”をお招きしていました。今回もあるそうです。舞台で熊谷直実を演じている姿をみせるというのは、元気になるだけでなく強くなれそうでいい。

さて、本題。『一谷嫩軍記』の通し上演です。国立劇場開場45周年記念の一環。これをみたら熊谷陣屋がより味わえるようになるであろうと楽しみにでかける。めずらしくイヤホンガイドも借りてみました。やるき満々で観劇に向かいました。
平家のことは、チンプンカンプンなので(源氏」に詳しいわけでもないけど)、大河ドラマで勉強中。興味を持って鑑賞。
團さまも、三津五郎さんも2役つづ。見ごたえがありました。團さまの薩摩守忠度は、案外若い青年にみえ驚く。イヤホンガイド鈴木多美さんから「年配の方々が、キセル乗車を忠度(ただのり)とかけ、薩摩守(さつまのもり)と言ったりします」と教わりました。薩摩守なんて言っているの聞いたことがないけど、ちょと使ってみたい日本語。説明してもキョトンとされるだろうけど。
2幕・兎原里林住家の場までは、イヤホンガイドにふーんとうなずきながら聞く。でもなんどもみて筋がしっかり頭にはいっている熊谷陣屋をみるには向かないかなと思った。気持ちが集中しにくい。めったにかからない流しの枝の場というのもなかなか面白い。忠度が武将として、歌人として、きりっと魅せる。受ける岡部六弥太忠澄は人物が大きく情が厚く品がある。   序幕の堀川御所の場で、熊谷陣屋の制札がでてきた。なるほど、これが後々にきいてくるか。ひとつの演目というのは、しっかりとした筋立ての上になりたつのだなあと感心した。こうやって、しっかりと通し狂言をする劇場があるという国立劇場の意義がよくわかった。
最後に、3幕・生田森熊谷陣屋の場。魁春さんの相模と東蔵さんの藤の方は、位があってやりとりがすばらしかった。軍次に巳之助君。重鎮の中なのに若さをいかし、しっかりと場になじんでいた。台詞もなじんでいた。うまくなったなぁ。首実験の場は、小山観翁さんが義太夫にかさねて義太夫の解説をするのは効果的なのかどうかとか考えて、ちょっと気が抜けてしまった。私自身の問題だけど。最後、出家姿の直実が花道七三で呼び止められる。ちょうど花外にいる私のところ。直実が振り返り見る景色は私の視線と同じ。義経が小次郎の首を差し出し見送る。妻・相模の見送る顔、藤の方の手を合わせるような顔、その顔に見送られ、直実同様、胸が苦しくなる。最後の「十六年は一昔、夢だ、夢だ」と嘆く言葉。何度みてもここはピンとこなかった。でも今日はじめて胸にせまるものがあった。世の無常を嘆くという本質まではわかっていないかもしれないが、なんとなくわかる気がした。
前列に、ずっと隣の妻に説明し続けるご主人がいました。年配の組み合わせなので少々声が大きい。が、まぁほほえましい気持ちでいました。だが、團さまが大切な台詞「十六年は一昔」を言うちょっと前に「十六年、十六年っていうところ」と言ったのには辟易とした。4時間半みてきた芝居の最高潮のところ、目の前の團さまの台詞でききたい。素人のじゃなく。そして、夢だも、もちろん言ってました・・・ そんな障害があっても、涙がじんわりと出てきた。團さま、すばらしい。大薩摩は巳太郎さん。三味線の音も決まっていました。みなに背を向け、この場を立ち去る男の後をずっと見送りました。見ごたえがあり面白かった。時には、派手なものじゃなく重厚な路線のものを、どっしりと観るのもいい。

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コメント

 いますよね、やっぱりお年寄りに多いです。舞台に重ねて覚えていることを、我れ知らずに口にする人に、親切だと人に聞かせる人。これは本当に迷惑!耳だけは塞ぐ訳にはいかなくて、あんたの歌や知識を聞く為に料金を払った訳じゃない、って言いたいです。

投稿: 水に月 | 2012年3月25日 (日) 20時06分

水に月さま
おまけに、身体を半身妻の方に向けて話かけるんです。どれだけ妻を愛しているんですか、あなたは。
そんなヤボなことまで言いたくなりました。そんな愚痴をちょっと言えたら、すぐにすっきりするのですが、一人観劇でしたのでちょっとモヤモヤしました。同意していただきすっとしました。ありがとうございました。

投稿: マイチィ☆ | 2012年3月25日 (日) 23時02分

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