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2012年4月 9日 (月)

花形歌舞伎 忠臣蔵・昼の部

昨日、演舞場で昼の部をみてきました。
昔、ここで昼夜通しでみたなぁとあれこれ思い出す。あの時は、菊五郎さんの塩冶判官に、團さまの由良之助でした。四段目の判官切腹の場に由良之助が駆けつけた時のこととかとても印象深く覚えています。四月花形歌舞伎は、菊之郎さんの塩冶判官に染五郎さんの由良之助。高師直は松緑さん。若い花形役者のみなさんは、いつの間にか このようなたお役が、違和感ないどころか じっくりみせてくれるようになりました。実際はこの位の年頃の人の話なのだなと、しみじみと思う。
高師直は若者がやっては味がでないと思う。そんな中、松緑さんの高師直はギリギリ踏ん張っていました。 松の間刃傷の場で、判官を相手に 顔世がらみで おだてたり、鬱憤を晴らそうと ひどいことを言ったり、相手の目をみて恥ずかしげもなく気を変えるタイミングがすごかった。松緑・菊之助の緊張感は観ていて面白かった。顔世の松也くん、声がいい。顔世の立場がよくわかる。力弥の右近くんは、やはり天才だった。すごい。本に書いてあるそのものの力弥でした。完璧。若狭之助の性急で正義にあふれる感じを獅童さんがお行儀よく演じていました。亀寿さんの足利直義は品があった。一声も品があった。亀三郎さんの石堂は、情にあついいい男で、亀鶴さんの薬師寺は、本当に頭にくる悪いヤツだった。花形役者連中、立派だったなぁ。
三段目、足利館門前進物の場の鷺坂伴内は橘太郎さん。愛嬌のある人でないと、この役を面白くない。調子のよさと品のない笑い方でうまい。昔、通しでみたときは鶴蔵さんでした。そして鶴蔵さん贔屓になりました。少し台詞があやしくてドキドキしたりもしたけど。山崎権一さんとか、ああいう愛すべきおじいちゃん名優には、コロっとやられてしまいます。中間の頭は辰緑さん。テンポよくばっさりのお稽古する様が楽しい。おかしい場面ってここと道行ぐらい。ああ、両方 鷺坂伴内が登場している。
松の間刃傷の場で、判官を抑えきれない程の屈辱を与える松緑さんの高師直の勢いがよかった。 菊之助さんの判官は、切腹の場での毅然とした姿が立派だった。 力弥を呼び、「由良助は まだか」と参上を待つ。あの一言だけでどんなに由良助を信用しているかということがとつも伝わった。すごい。 (部長諸君に問う、君にはこんな時に来て欲しいと願う程こんなに信用できる人がいるのか と現代社会を憂いた程すごかった。) 「是非に及ばずこれまで」と迷うことなく切腹をする。 こういう殿だからこそ、姿がみえない襖の奥に居る家来連中のしのび泣きが胸に染みる。由良助まだかと私も思いつつ涙が出ました。 すばらしかった。
そこに息せききって由良助登場。息を殺しつつ心の中で拍手喝さいです。 駆けつけた染五郎さんの由良助は、静かで熱く 頼もしい男だった。 殿、この男におまかせくださいと観ながら胸を熱くする。 城明け渡しの場で、結局金のことが気になるだけの斧九太夫。錦吾さんの斧九太夫は、長年殿にお仕えしてきても、結局 由良助は まだかと自分を待ってくれない寂しさを垣間見せたのが効いていた。 松也くんの顔世御前の哀しさは美しく。 静かに働く力弥の右近くんの、目立ちすぎず 間違いがない完璧な力弥に目が奪われた。 城を明け渡すまじと集まる若者の熱さもよかった。 いいお芝居でした。
大序からみたので 鶴ヶ岡社頭兜改めから始まり、松の間刃傷があり、切腹があり、城明渡しとなる。この展開に、気持ちがぐっと入った。主要メンバーが替わることもないし。道行は明るくていいけれど、突然新しい人が増えた感じがして せっかくの流れが中断された。福助さん・亀治郎さんのおかる勘平ですし、鷺坂伴内は猿弥さんという安定のある配役なのに、ちょっともったいない気がした。時間配分の問題はありますが、道行は夜の部でどうでしょうと 初めて思った。
見応えのある昼の部でした。満足。

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