« ストラスブール美術館展 | トップページ | 秀山祭・昼 »

2012年8月21日 (火)

思案と知らん

下北沢の小劇場・楽園という小屋でお芝居をみてきました。Glass919の公演「思案と知らん」。演出・出演が大森博史さんなのでね。初日にかけつける。ギュウギュウでした。
岸田國士原作『麺麭屋文六の思案』『遂に「知らん」文六』。岸田戯曲は面白い。父を頂点とする家族という形がきちんとある大正時代。いろいろな新しい波がきても、家族の関係は確固たるもの。父は父。敬語で話し、おうかがいをたて、許可を得る。そういうあたりまえの世界をくずしているのは自分だけど、それがまぶしかったりする。親に敬意を払う。気持ちをあるが、言葉遣いは伴っていない。さらに、友達感覚の親子なんていう「仲よし」至上主義が失っちゃった美しいものがある。
この感覚だからこそ、えも言われぬユーモアーを感じる。そこがおもしろかった。ヤソ教への思いも、大正時代の日本ではそこにすがらなくては生きていけないほど困窮してはいない。個々の解釈がでてくる。父親役の大月秀幸さんがよかった。息子との会話がよかった。息子の時田光洋さんは、気が高ぶり早口になってもきちんと言葉が聞こえる。さすが。真那胡敬二さんのつかみにくい先生とか、大森博史さんの熱い記者の感じとかが、オンシアター自由劇場ラバーには懐かしくてよかった。戸泉真衣の母親も目がよかった。黙っていても、相手にむけるまなざしが母親のそれでした。
年齢層の高い空間で面白かった。小さくて濃密。客席は、能舞台いえば、正面と脇正面だけという感じ。雰囲気があった。でも、時折大きな声をあげたときは必要以上にドキっとした。あの、空間なら大きな声を張り上げる必要はないように思った。たとえば口を閉ざさすとか、その方がインパクトがある。
彗星が明日の夜 地球に衝突するらしい。最後の日、誰といるか何をするか。ものすごい出来事なのだけど、いつの間にか時間が立ち、翌日の夜になってしまう。お酒を飲んでふとんをかぶっておびえるしかない。それでも、夫婦2人淡々としている。家族とか、夫婦とか、恋人とか、人類とか愛について考える。大げさでないところがよかったなぁ。終わり方とか。岸田戯曲を読んでみたくなった。

|

« ストラスブール美術館展 | トップページ | 秀山祭・昼 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/81962/46887000

この記事へのトラックバック一覧です: 思案と知らん:

« ストラスブール美術館展 | トップページ | 秀山祭・昼 »