宗家藤間流 藤間会
9月覚書
二世藤間勘祖23回忌追善 宗家藤間流 藤間会に行ってきました。とても豪華で、しっかりした内容。斬新さもある。素晴らしい。一日だけのためとはもったいない。(公演は2日。3つにわかれていますが全部で27演目も。)
それぞれ最後の演目に藤間勘十郎さん出演。昼の「四の切」と夜の「関の扉」。すごく楽しみにしていました。期待を裏切らないどころか、技術の確かさと、見せ方のセンスに驚きました。演じる方にまわればいいのにと思ったり、このセンスは、なるべく人が宗家となったのだなと思ったり。藤間のことをいっぱい考えた日になりました。
合間に、虎之介くん・鷹之資くん・千之助くん・玉太郎くん・金太郎くんの「石橋」というような可愛らしい番組も。チビっ子でも堂々としています。その子の小ささにあった見事な振付になっていて、プロってこういうことかと感心。みている人々の顔もほころぶ。愛子ちゃんと、梅彌やさんの踊り。愛子ちゃんに姫天王と大向こうがかかり、ジーンとする。堂々としていて大物。可愛らしかった。藤十郎さんと翫雀さんの「隅田川」があったりと、重厚。「鶴亀」では梅枝くんと歌昇くんが鶴亀を従者に壱太郎くんと注目ののびざかりの超若手の清潔感あふれる演目もある。すごい会です。
勘祖さんの御出演は「野狐禅」。出てきたところから雰囲気が違う。踊りに詳しくなくとも、この違いはわかる。はじまる感じ、展開する感じが他の踊り手の方と全然違う。ほぉっと思う。
「四の切」装束を着用せず、素踊りのように紋付袴姿。無地の着物の色を変えることで雰囲気を出す。清潔感があり、ごまかしのきかない感じ。「関の扉」では、勘十郎さんは鷲の役も。髪型が鳥になっていてキュートでした。
「四の切」をみて、この演出は若手役者さん達が挑戦したところをみてみたいと思った。台と大きな屏風で川連法眼館をあらわす。佐藤忠信でいる場面が多いので、忠信の重要性がはじめてよくわかった。なるほど。子狐のくだりの後、再び忠信が登場し大取りものになる。この展開はとても面白かった。重鎮は技をみせてくれる。若手は物語の面白さを伝える方を重点に表現するのが向いているのではないかなと考えた。 装束を省き、抑えた魅力。慈愛あふれる魅力。華やかな魅力と さまざまな要素がありとても魅力的だった。
「関の扉」。話がよくわかった。梅津さんの会で、素踊りでの「関の扉」をみたときに話がよくわかると思った。不思議に、歌舞伎で装束をつけて演じるよりも話がはいってきやすい。松緑さんの黒主は眼をギョロリとさせて装束がなくとも堂々として動かない人間像でした。松緑でなく、藤間勘右衛門として登場。舞踏家でした。菊之助さんは、清潔感があり透明な美しさ。勘十郎さんとこの3人を軸にして、みごたえがありました。沢山の演目をみていて、最後の一つなのでみているこっちがつかれてしまいもったいない。
勘十郎さんへの大向こうは、「宗家(そうけ)」というのと「えいたい」というのがありました。藤間の宗家というのはわかるけど、えいたいって何かしら。歌舞伎手帳で調べたところ 「~ 昭和の名人祖父二世藤間勘祖から継承される演出の目を持った<永代(えいたい)>の振付手法は、作品と役者の魅力を存分に引き出すもの。 ~」と書かれていました。わかったようでわからない。永代供養という単語が頭に浮かんだ。 振付のすごさは体感したけれどもね。
見応えたっぷりで、ものすごく面白い。藤間会。 歌舞伎役者も沢山登場。どうか、次回はなんとかして休日に開催していただけないでしょうか。 毎月最初はその月の歌舞伎の舞台のお稽古で、25日ころまで毎日お芝居。月末しか、日にちがないという事情はわかるのですが。みたい。みんなでみたいのです。歌舞伎贔屓にも、たまらなく魅力的でかつ貴重な会ですので。お願いでしめてみる。 わくわくと、感心にあふれた会でした。客席や、ロビーも見るべきものがあちこちにあって、浮かれました。観くたびれました。
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