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2012年11月29日 (木)

吉例顔見世大歌舞伎 夜の部

国立能楽堂の後、演舞場へ移動。ぼんやりしていて、同じ日の切符をとってしまいました。あわてて、演舞場へ移動。
すべりこむと、「一谷嫩軍記 熊谷陣屋」の義太夫がはじまったところ。相模登場の前に着席。仁左衛門さんが復帰され、熊谷直実登場の時に大きな拍手がおこりました。
相模は、魁春さん。いい相模でした。子を思い、夫を思い、お世話になった藤の方を思う。感情を抑えたり、溢れたりとよく伝わる。
熊谷は、動きが大きく感情が前に出ていたような気がしました。さぁどうだと我が子の首を敦盛だと言って差し出す気迫がすごかった。大河ドラマで源平の盛衰をみているので、より面白い。命を差し出して守る側と、差し出された命を引き受けて生きていかねばならぬ者との重さも感じる。これが無常ですか。重たいものです。
義経は、梅玉さん。熊谷の腹も義経の腹も、わかりすぎるほどの気迫でした。義経の後ろに四天王登場。伊勢三郎ばかりみちゃいました。天才右近くんだったから。
続いて、汐汲。浜辺で汐汲桶を手に藤十郎さんが踊ります。汐を汲むときにドン ドンっと汲まれすので、ちょっと桶の心配をしてしまいました。いやぁ、お若い。ひとしきり踊った後、此兵衛の翫雀さん登場。キリっとしていました。横恋慕して女子に刀を振り上げるのはなぜかしら。藤十郎さんならば、振り切って逃げることが可能そうでした。華やか。
最後に、四千両小判梅葉(しせんりょうこばんのうめのは)。はじめてみました。めったにかからない理由がちょっとわかるシュールさ。全体を通じて、男の美学に溢れていました。
面白かったけど、これしょっちゅうかかってもなぁ。熊谷陣屋のように、何度繰り返しみても、胸にドーンとくるものとは違う。
冒頭、舞台には野州無宿富蔵、菊五郎さん。橋のたもとで屋台をひく。呼び声とか客あしらいが粋でかっこいい。そこにかつてのお主である藤岡藤十郎、梅玉さんが登場。あきらかに誰かを手にかけようとしているあやしさにあふれている。隠しきれないところが梅玉さんのいいところ。血の気の多い若者に見えました。危ないから止めるのかと思いきや、もっと大きな事をしようと言う。江戸城の御金蔵を狙いましょう。ですって?!次の場では、もう四千両もの大金を手にしていました。ええー。と思ったら次でもうお縄になり輸送中。展開が早すぎるというか、追いつけないほどの気前のいい割愛っぷり。親子の別れで泣かせる。といっても急展開すぎて泣けません。あー家族が居たのね・・・娘のお民ちゃんがうまかったなぁ。盗みをすれば捕まるのはあたしも知ってることなのに、ととさんは知らなかったのかえって。あーその通りでございます。
最後は、男の美学祭。チラシに「リアルに描かれた当時の牢屋の様子も見逃せません」の場。ここは、詳細に展開。士農工商顔負けのきびしい世界。牢名主の左團次さんが首領(ドン)。ナンバー2の隅の隠居は、家橘さん。どなたかわからないほどの造りこみ。大罪ゆえに牢内で幅を利かせることができる。その中の掟の細かさが、面白かった。新入りは、で いくら隠してきたんだと問われる。髷の中とか、密かに隠し持ってきた金や態度がこれからの居心地を決めるという、実力の世界。ここをたっぷりと。変なルールが沢山あって長くても見飽きない。松緑さんの浅草無宿才次郎は、さっさと引っ込む。菊之助さんの寺島無宿長太郎は、粋。かつうまいこと運ぶだけの悪の路を積み重ねてきたので、早々にいい地位を得る。大物に挨拶させていただくときには、正座し足を組む際に、つま先を返し 上になった足は親指と人差し指で下のアキレス腱を挟むようにする。あれ、格好よかったなぁ。菊之助さんの座り方ががピカいちによかった。こういう形に弱い。いいなぁ。萬太郎くんの粋がっているけど、あともう一息感がかわいい。
しかし、幅を利かせる者は大罪者。仕置きが言い渡されると行く先はきまっている。仕立て下ろしの唐桟の着物と新品の博多帯を贈られる。粋に決めても縄つきのまま。威勢よく労を出る(出される)。仲間に「お題目を」と声をかける。太く堂々とした恐れなど何もない声。牢から仲間たちの「南無~」と聞こえ幕。えーーー 。驚いた。でも、これこそが男の美学ですぞ。現代にはないなぁ。男子諸君、がんばれ。

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2012年11月26日 (月)

万作を観る会

週末、国立能楽堂にいってきました。万作を観る会を観賞。
最初に、連吟「御田」。内藤さんと地謡のが掛け合い。加茂明神の神主と御田の田植えをする早乙女たちとの掛け合い。豊作だけでなく恋の艶もあろうとは、ただ聞いているだけではわからない。が、わかるとじわーっと面白い。まだまだ染み込む余地の方が多そうだけど、緊張感があり、若々しくとてもよかった。
続いて、「附子」石田師の主のあとに出てくる太郎冠者と次郎冠者は、遼太さんと中村さん。若い2人らしいきっちりとした味がよかった。清潔でした。じっくりと見れば見るほど、いい演目だなぁと思う。
続いて、「月見座頭」はしがかりをコツコツと、万作師の杖の音が小さく響く。この音に耳をすませるところからの幕があけるのがとても好き。月見に虫の声をめでる。目がみえないからこそ、虫の音がより心に響く。楽しそうに虫の名を語るところはススキが広がる野を想像する。めをあいたまま目を閉じているような気分。そこへ男がやってくる。萬斎師。2人は野で語らい、男のもってきた酒を酌み交わす。目が見えないくても舞いをみせ、舞ってかえす。便利さを手に入れた代償に失ったものだなぁ。しみじみ考える。
男が目のみえないものを残し、去る。いい気分で歩いて行くうちに、ふと考える。盲目のものと楽しんだことに対してと全く逆の気持ちがわきおこり、とって返し男に辛い仕打ちをする。なかなかこの場の味わいに納得する気持ちがみつからない。あぁもうすぐ豹変するなとどきっとする。次はわかるのではと思い観る。難しい。
休憩後、最後に新作狂言「食道楽」。北大路魯山人の著書『春夏秋冬料理王国』所収の狂言。大名に万作師。齢100歳を超えてなお、丈夫で食事は美味しいという大名。大名が寝ると、その身体のパーツたちが誰が一番お役に立っているかと競う。目の石田師か、鼻の深田師か。口とか胃とか手とか、いろいろ意見を述べる。耳の高野師は女性言葉でした。心は萬斎師がまぁまぁもめるなと言い、心がなきゃ動かないと自分を一番という。言葉遊びもまんさい。大名がおきると、パーツ達がすっと寄り添い顔になる。中正面の席でしたので、けっこうちゃんと顔になており、ほぉっと思う。新作でしたが、奇をてらわず(うけを狙わず)丁寧さが目立つ。品を重んじる。さすが万作家だなぁと思いました。

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2012年11月25日 (日)

日比谷図書館 市川團十郎展

新しくなった図書館が気になっていました。先日、明治座の帰りに市川團十郎展をみてきました。特別展300円也。
とにかく入場ゲートがものものしい。販売機でものものしいレシートのような入場券を購入し、ものものしい機械にかざすとゲートがひらく。ザ・大袈裟。ここまでかける必要があるのでしょうか。内容も本をひらけば書いてあることばかりだったのが、ちょっと残念でした。十八番の演目の浮世絵が貼られた柱の周りに、実際の衣装を展示。よくある企画とはおもいつつも、本物は何度みても楽しい。
せっかく図書館という場所なのだから、もうちょっと古い文献を沢山並べるとか、もう少し特徴が出せるのではないでしょうか。ゲートが大袈裟すぎて、それに比べるといかにも普通でした。何度みても団十郎家の歴史は楽しいのですがね。
最後に映像のコーナー。椅子の背に、鳳凰が。これ、歌舞伎座にあった椅子ですよ、きっと。たぶん。あー知っている椅子だなぁ。どこにあったのでしょう。食堂かしら。椅子に一番興奮したかも。
展示をみたら5時になり閉館時間になってしまいました。肝心の図書館訪問は、またの機会に。

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2012年11月22日 (木)

明治座 十一月花形歌舞伎 昼

先週末、明治座昼の部もみてきました。ザ澤瀉屋アワー。
傾城反魂香は、おなじみの土佐将監閑居の場の前に、近江国高嶋館の場と館外竹藪の場がついていました。初めてみました。これで、土佐将監閑居の場で起こったことがよくわかりました。虎のくだりはとても面白く、もっとかかればいいのにと思う。雅楽之助がなぜ息もたえだえに駆け付け、姫のことを頼むのかもよくわかった。なるほど。ここまでを、ものすごくよく納得し、テンポよく見せ場も多く上演。さぁ、又平おとく夫婦の物語のはじまりとなってからが、たっぷりしすぎ。一つ一つの展開までの場を、ものすごくたっぷりとみせる。たっぷりしすぎで、せっかく沸いた感情がすっかり醒めてしまった。うーん。もったいない。三代猿之助四十八撰の内とあるので、これは三代猿之助の工夫だと思う。これだけひっぱって芝居をすすめてもダレさせないのは先代のすごいところだと思う。今は、一人だけに脚光のあびるものをさ程望まれていないので、この形式で演じるよりも、通常の形式の方が右近さんも笑也さんも似合うのではないだろうか。でも、おもだかやとして守るべきものもあるのだろうな。難しい。間延びしちゃったのが、なんだか惜しかった。そしてちょっとくたびれた。蜘蛛絲梓弦で、新猿之助 亀ちゃんの魅力爆発なのだから、右近さんにも、右近さんの魅力も引き出す演目でもっと活躍してほしい。
狩野派や土佐派の絵師は、本物の虎を出すような絵を描いたり、消したりと凄腕です。自らの肩を食い破って、自らの血潮を吹き付け虎を描くなんて・・・仰天。面白いなぁ。狩野四郎二郎元信の門之助さん大活躍でした。
最後の演目は、蜘蛛絲梓弦。市川猿之助六変化相勤め申し候。なんだかたくらんでいそうな童から外朗売りのような薬売りになり、色っぽい芸者さんになったり、座頭になったり、怪しい傾城になったり。めまぐるしく、テンポよく、魅せる魅せる。最後に女郎蜘蛛の精になりました。これでもかってほど派手で、そこまでの展開は、人物の性格の異なる様を確実に踊り分けてみせる。みせどころがいっぱい。蜘蛛の糸も、気持ちいいぐらい広がり、後見がクルクルっとさっと片づける様もかっこいい。明るくいい気分で、劇場を後にしました。

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2012年11月20日 (火)

吉例顔見世大歌舞伎 昼の部

先週末、演舞場に行ってきました。あいかわらず、11時開演・4時開演と上演時間が短いまま。お値段はそのままで。2013年1月新春公演も、11時開演・4時開演のままでした。1等お値段は上乗せ。どうしても、納得できません。お客は放っておいても来るだろうとたかをくくっていやしませんか。よろしくお願いしますよ松竹さん。歌舞伎を愛するものとして、この一方的な感じは心配です。文句はここまで。
昼の部をみてきました。仁左衛門さん休演が心配です。
双蝶々曲輪日記。井筒屋、難波裏、引窓。井筒屋からの上演は、東京では戦後初だそうです。ここからみて、引窓がより身にしみました。同じ人殺しでも運のいいのと悪いのと・・・という台詞の重みもよくわかりました。侍には、お抱えの関取がいて、関取はその侍の対面を守るために忠を尽くさねばならない時代の背景もよくわかりました。左團次さんのどっしりとし、貫禄のある関取 濡髪長五郎の大きさ、翫雀さんの若くて元気な素人相撲の放駒長吉との差もいい。長五郎が力を貸す与五郎は、扇雀さん。遊女の身請けを巡り喧嘩したりとナヨナヨっぷりがいわゆる色男風でした。遊女の時蔵・梅枝コンビは、立場が弱さと ちゃっかりと客を手玉に取るしたたかさの感じが見事。難波裏で、長五郎は本当にふとした事で人を殺めることになるのだとわかる。侍が死んだからには忠義を尽くす必用もなくなった、後のことはまかせろと男気を魅せる放駒長吉。短い場だが、なかなかいいです。このお話は、濡髪長五郎が主役ではないかしら。左團次さんが、すごくよかった。
そして、この流れで引窓。よくかかる演目なのでこれからどうなるのかよくわかっている。冒頭の明るい場面が、これからの悲しさとの差を思わせていい。竹三郎さんの母親役は、あったかくて情が深くとてもいい。泣かされました。時蔵さんのお早の必死さもよかった。仁左衛門さんが休演なのは残念でしたが、梅玉さんの十次兵衛もよかった。さっぱりと明るい気性が可愛らしい。刻限を過ぎれば、兵衛後だという台詞が温かかった。いい配役でした。
最後の演目は、文七元結。何度も繰り返し上演されている芝居。かつ菊五郎さんの長兵衛さんも何度もみました。この確実な座組にて安定した間合いでの芝居というものは、間違いなくいいものなのだなぁと思った。台詞のないところの空気もいい。
菊五郎さんの長兵衛さんに、ポンポンと物をいう時蔵さんの女房お兼。いいんですよぉ、私さえと一途に思いこむ菊之助さんの手代文七。言うべきことはしっかり言う魁春さんの角海老女将お駒。みんないい空気を醸し出す。團蔵さんの藤助さんは、角海老で働く人間の軽さがあるし、東蔵さんは大きなお店の主人の貫禄がある。松緑さんの鳶頭は、キリっとし、丁稚の大河くんはかわいい。完ぺきに歌舞伎の世話物の世界ができている。安定しても退屈しないというのもすごいなぁ。また文七元結かと、ちょっと思ったのだけれども、やっぱり面白かった。
娘お久ちゃんは、大注目の尾上右近さん。天才なのだもん。指先にまで完ぺきに気持ちをこめ、誰よりも計算しつくした見事な動き。うますぎておかしくなってくるほど。眼が離せません。一挙手一投足にひきよせられました。うまいなぁ。

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2012年11月18日 (日)

『夢のような幸福』

おさるから、「愛と誠」のあらすじが載っていたよ、あの映画は、あらすじに割と忠実だったという報告があり、確認のために読みなおしました。三浦しをん『夢のような幸福』(新潮文庫)。何度読んでもオモチロイ。
これは、愛と誠だけでなく嵐が丘のあらすじものった号でした。ジェーンエアを観る前にもそこだけよみました。(そして嵐が丘を観るつもりになって日生劇場へでかけました。)あらすじをかたらせたら日本一。もうね、こういう風に説明したいの。
織田雄二の映画T.Y.R.についてもふれています。映画への愛のこの偏った感じが自分にも通づるところがある気がしちゃう。ドラエモンとのびた君ゴッコをしていて、待っていた宅急便を逃すとことか(セリフのやりとりに熱がはいりすぎて聞こえなかった・・・)。普段の暮らし方に共通するところがあっても、表現力にプロと素人の差があるのね。
静岡遠征の折の待ち合わせ場所として、「家康公手植えみかん」の前という死国のYちゃんさんのセンスには大爆笑でした。登呂遺跡に泊まればいいという発想とか。これを読むと、自分の遠征の旅までもがなぜだか相乗効果で楽しくなります。すごい無駄で壮大な遊び。ワンダフル。
漫画への愛にも脱帽です。極めるっていうことをこういうことだと教えていただきました。速水さんのニブチンって表現が昭和っぽくて好き。

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2012年11月17日 (土)

『悶絶スパイラル』

三浦しをんの最新エッセイ『悶絶スパイラル』(新潮文庫)を読む。好き好き大好き。家族のあれこれとかがどうしてこんな風に面白く書けるのでしょう。愛すべきどうしようもなさ。自虐的でなく、見事なマイペースっぷりと感じることのできる匙加減がバツグンです。「我々は日曜日には、神宮球場へ行くんだよ?お父さんの誕生日だぞ。」という一声に、一家そろってしぶしぶ神宮球場へ行ったはずなのに、みな思い思いに楽しんでいらっしゃるのがすばらしい。水のようにビールをのんだり。食後だからと歯をみがいたり。
あとがきに、これでシリーズ完了とかかれていました。さみしい。このエッセイがなくなってしまったら、気になる御友人達の同行もわからなくなっちゃうではありませんか。バクチクの追っかけはどうなすのでしょう。マンガについての討論の様子も聞きたい。何らかの形で、この先も読みたいものです。
火宅にてヤモリのヤーさん、チッチッと鳴くというくだりもありました。現在、拙集合住宅宅は外壁修繕中。ベランダに物を置くこと禁止中のため、居間で植木と共に暮らしています。夜になると植木の方から、チッチッという音が・・・ヤーさんはウチにもいる!こういう共通点でもなぜだか嬉しい。
島根レンタカー温泉一人旅のくだりは、男らしくて素敵でした。どうどうと一人を謳歌。御立派。ビバしをん師匠。

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2012年11月16日 (金)

出雲~聖地の至宝~

東京国立博物館140周年 古事記1300年・出雲大社大遷宮 特別展「出雲―聖地の至宝―」をみてきました。
出雲大社の境内から出土した宇豆柱、銅剣、銅矛、銅鐸、神像など。ふぅーん、どんなものかなと思いましたらあなた、その大きさや・数が尋常ではありません。びっくりしました。平成館でなく、本館特別5・4室を使った展示なので気軽にみにいったら、出雲の底力を思い知ることになりました。出雲大社は、すごい。
弥生時代からの聖地だそうです。大国主神(おおくにぬしのかみ)を祀る、国譲りの代償として建てられた宮殿。平安時代には本殿の高さは高さは16丈(約48m)。当時の奈良の大仏殿よりも高かったといわれています。日本一高い建物。あの大仏殿よりも大きな社とは。10分の1の復元模型があり、その後方の壁に、に10分の1の大きさの東京博物館、東大寺大仏殿の建物も描かれていました。高さだけでなく、その階段の長さにも驚く。階段の上に、本殿。9本の高い柱で支えられており、階段正面中央の柱が宇豆柱です。そして、初めて島根県から持ち出されたという 重要文化財宇豆柱(うづばしら)も展示。巨大。6~7人が手を繋いで囲めるほどの大きなもの。3本の杉の大木を束ねて1つの柱とする。1本の長径が1.3メートル、高さ約1.3メートル、推定重量1.5トン。こんなすごいものを、あんな高さで、こんな長い階段の先に。とにもかくにもびっくりです。
宇豆柱に、穴があいているのは、この柱を運んできて柱穴に落として立てる時に、縄を引っかけるためにあけた穴。表面を削った後は、手斧(ちょうな)と呼ばれる工具で加工した痕。など、その規模と当時の建築技術にも驚く。3本の杉の大木を束ねて1つの柱とし、そのまわりには大きな石がぎっしりとつめる。ベンガラが付着していた跡から鎌倉時代の出雲大社の本殿は朱色だった。驚きはどんどん増えていきます。旧暦10月に全国から神々が集まり、ここで縁結びの話し合いをするとされています。そういうことが起こるであろうなぁと思わせるものがありました。
国宝、加茂岩倉遺跡出土の銅鐸。39個もの銅鐸。1か所から発見された数としては最多のもの。
国宝、荒神谷遺跡出土の青銅器銅剣。その数なんと358本。谷間の斜面から4列に整然と並べられた状態で発見されたそうです。
あまりにも整然と並べられたそれはすごすぎて、おかしくなってきました。現在、島根県下では銅鐸(どうたく)56個、銅剣(どうけん)377本、銅矛(どうほこ)16本、銅戈(どうか)2本が存在しているそうです。なぜこの地に運ばれ、埋納されたのか。その明確な答えはまだ得られていないとか。すごいです、出雲大社。
日本で最も古い由緒をもつ神社。『古事記』には、出雲を舞台とした神話や出雲大社創建についても語られる。すごい。昨年、訪れたときには本殿の修復中でした。2013年5月には御祭神を仮殿から本殿に遷座する「平成の大遷宮」がおこなわれるとのこと。是非、もう一度、聖地出雲に足を運びたい。
特別展売店には、鹿グッズも充実。見返り鹿とか、頬を染める鹿とか、そのキャラクター設定に吸い寄せられなんだか散財しました。良縁打ち出の小づちとかも買っちゃった。これでいい御縁が訪れるわ。きっと。

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2012年11月14日 (水)

通し狂言 塩原多助一代記

そういえば、先月は昼夜勧進帳の演舞場ではなく、国立劇場にしようっと思って観に行ったのでした。「演舞場よ、ここのところずっと、昼夜短すぎますよ、考え直してちょうだい、歌舞伎は国立でもみることができますのよ。」というアピールのため、国立劇場に足を運びました。演舞場にこの思い伝わったかしら・・・
10月歌舞伎公演「通し狂言 塩原多助一代記(しおばらたすけいちだいき)」の覚書。
三遊亭円朝の口演、三世河竹新七作だそうです。母に塩原多助を観に行くといったら落語でしょと言われました。 六幕十一場の通し狂言。どうして、塩原多助の一代記を芝居にしようと思ったのかはちょっとわからないけれど、真面目で地味でしっかりしたお芝居でした。うまいしね。
苦難にあっても朴訥で正直な心を持ち、江戸屈指の炭職人となった実在の人物をモデルにしているそうです。浪人の子だったけど、父親が同姓同名の裕福な百姓と会い、これも何かの縁だ息子を下さいと言われ、養子に出される。養父の後妻の連れ子にしいたげられたり、その娘と許婚になったりと、よく考えるとドラマチックなのだけど、お芝居をみているとそうでもないような気がしてくる。お家乗っ取りとか、親友が身代わりに殺されたりとおおごとが続く。愛馬「青」が危機を救ってくれるところがみどころ。しかも、馬のみせどころ。
三津五郎さんは、苦難にあってもめげすにがんばる。訛っているところがより朴訥で信用できそう。橋之助さんもうまいし、やりとりが間違いない。橋之助さんは、尼になってまたでてくる。すぐにちゃんと女だとわかる。あの兄弟の所作は本当にきれいだと思う。うまいけど、けっこうすぐに死んでしまう。もっと活躍して欲しかった。短い間にも人をまんまとだましたり、崖底に突き落とされたり?!の大活躍。 三津五郎さんの塩原多助は、許婚(孝太郎さん)に真男がいたり、殺されそうになったりと大事続き。でもなぜか落ち着いて(地味に・・)みえる。江戸に流れつき拾ってもらった炭屋で真面目に働き、大富豪に眼を掛けられその娘に惚れられる。4時間近い芝居ですが、最後の15分くらいであれよあれよとトントン拍子に幸せになっていく。あ~れ~という感じで成功者になるのがおかしかった。さっきまで邪険に意地悪くしていた孝太郎さん(許嫁)が、一転富豪の娘になり惚れて言い寄っていました。別人役だけど、おかしい。 三津五郎さんと巳之助くん、大活躍。大和屋~

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2012年11月13日 (火)

機械の眼 カメラとレンズ

東京都写真美術館に足を運ぶようになり、少しづつ作家(カメラマン?)を覚えてきたようです。以前の展示でみたことのある作品だなぁと思ったり。並べ方によって、何度みても面白い。
平成24年度東京都写真美術館コレクション展である「機械の眼 カメラとレンズ」をみました。 写美のコレクション展は、多くの著名なカメラマンの作品をみることができて面白い。9月にみた「自然の鉛筆 技法と表現」も写美コレクション展で面白かった。あのときは、作家ごとの点数が少なく、1点を選ぶのは難しいであろうなと感じた。今回は複数枚でている作家も多く、やはり何枚か続くと違いがよりわかりやすいと思った。
物を写すことができる写真。その現象を驚かせた後、写真における「表現と技法」を追求する。黎明期から現代までをテーマに分けて展示。そのテーマが、面白かった。下からみあげているようなアングルのもの。長時間露光。ブレ。ブレって言われるとありそうな区分だけれども、突然グラグラのものばかり集まっているコーナーが出てきて新鮮でした。顕微鏡や望遠鏡の視覚という想像できそうなもの、パン・フォーカスとディファレンシャル・フォーカスという説明を読んでもちょっとわからないものもありました。このぐらいの時代になると、耳にしたことのある有名なカメラマンの作品も増え、面白い。
カメラとレンズによってもたらされる視覚世界は、人間の眼とは似て「非」なるものというのが全体のテーマのようです。1人の作家を追うのもいいけれど、比較して観賞というのは面白い。
土門拳・木村伊兵衛や、植田正治に杉本博司や、奈良原一高、森山大道、篠山紀信など、日本のカメラマンのものが特に気になった。
展示出口のところに、小ぶりなジオラマがおかれていました。木村伊兵衛「板塀」展示中です。
テレビ東京「美の巨人たち」で、木村伊兵衛が「板塀」をどうしてこのアングルにしたかという解説がありました。(なぜ馬のしっぽだけを撮ったのか?その答えが今ひとつピンとこなかったけど。) その時に使われた「板塀」のジオラマだそうです。ジオラマで自分だけの「板塀」を撮ろう!という企画。面白い!

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2012年11月12日 (月)

操上和美 時のポートレイト

東京都写真美術館にいってきました。
「操上和美 時のポートレイト ノスタルジックな存在になりかけた時間。」をみる。
操上和美は、広告写真界の鬼才だそうです。日産フェアレディZ、サントリーオールドというコマーシャルフォト、井上陽水のレコードジャケット、大江健三郎のポートレートなど。本展は、それら世に広く知られる傑作ではなく、50年以上日常的に撮り続けてきた作品群での個展。『陽と骨』『陽と骨Ⅱ』『NORTHERN』『Diary』その、区分ははっきりと明示せず、作品タイトルもよくわからなかった。あえて、そのような手法でみせようとしたのだと思う。ザラついた感触のモノクロの写真は、なんだか挑戦的な感じがした。
シリーズ NORTHERNは、父の他界をきっかけに、故郷北海道にて撮られたもの。寂しい温度のようなものがあった。
全編わかりにくい。拒絶したわけではない。奇をてらったわけではない落ち着かない感じが全体にあったのが面白い。モノクロの作品が続くなく、急にカラーの作品があるとカラーでみえる方がおかしいような気すらしてくる。
「生物だろうが事物だろうが、みんな自分の時間を持って存在しています。 ~略~ 、現在は死に向かう旅の過程にあるとも言える。」というインタビュー記事が面白かった。私の時間でない時間なのである。

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2012年11月 5日 (月)

天竺徳兵衛新噺 ご招待祭

再び、明治座の夜の部へ。本日はご招待いただきました。豪華なお席と豪華なお夕食。ありがと、おさるさま。
通し狂言 天竺徳兵衛新噺をみる。3階と1階は、あたりまえだけと全然違う。船の帆先に立ってグっと見得を切る潮見の見得も、1階からみるとなるほどなかなか雄大に見えるものです。
俺をみると客は喜ぶ。楽しませるために、俺が大活躍する。もはや俺をみるための芝居。だから、俺ばかり ぐわっと出る。 出すぎに見えるけど。俺祭を楽しみました。

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2012年11月 4日 (日)

はじめての邦楽―江戸の響きを体感しよう!―

江戸東京博物館ホールにて開催された、はじめての邦楽―江戸の響きを体感しよう!― に、お稽古の相方ちゃん一緒に参加してきました。主催は、伝統芸能東京発・伝統WA感動だかなんだかいうところ。聴いて、唄って、語って、弾いて―楽しさいろいろ、邦楽の世界。司会は、浪曲師の玉川奈々福さん。はじめての人にあわせた進行っぷり。ミニライブと称して、端唄と新内節と長唄がそれぞれ登場。特徴をさらっと説明し、実際に奏でてくれました。
端唄は、本條秀五郎さん。耳できいていたときには、ブンゴロウさんかと思っていました。トンカツがお好きなそうです(一口メモ)。男性なのに、女性の色っぽさがあるのはどうしてでしょう。この日は、おひとりで三味線を弾きながら唄ってらっしゃいました。1棹1枚という組み合わせもあるそうです。こういうのをちょっとつまびきながら唄うという、粋な女性に非常にあこがれます。これよ、これ。こういうふうなことがしたいの。
新内節は、岡本宮之助さん達。清本で気になっていた上調子の説明が、一番面白かった。いつも、うつむきがちで自信なさげ?!の人が、棹の違うところを押さえている?!のかとちょっと思ってました。上調子と一緒に奏でるのとそうでないのを聴き比べ、重要さがよくわかりました。小さなバチもあるとみせていただき、びっくり。私の携帯電話についている根付かと思いましたことよ。
ここまでは、男性演奏家。長唄になったら女性になりました。東音福田眞規さん達。道成寺は、鏡獅子など、耳なれた音。しゃきっとしてかっこいい。女性の声でも、おさえて力強くかっこいい。
奈々福さんのしきり終了後、会の方が出てきて「ではワークショップです。どうぞご参加下さい。」と言いました。言っただけ。こんなわかりにくいワークショップはじめてみました。どうすりゃいいのさ。OL魂に火がついて、場を仕切りたくなりました。参加していいのやら、いけないのやら、見事なまでの不親切さに驚き桃の木山椒の木。せっかく、プロの技に、ほぉいいもんじゃなぁと、とてもいい気分になっていましたのに。誠にもったいないことです。おそらく、長唄のところの仕切りだけが悪かったと思います。私がいたのは、そこなので。そう思いたいですよ。 参加者の方が、順番がわからなくならないよう自分達で考えて並び、自分達で順番を譲り合い(間違った人を先に誘導するので)、周りの気分をそがないよう怒らなかった。偉い。ちょっと呆れてのかもね。気分をきりかえて、長唄のワークショップに参加。 先ほど演奏されていた方々が、丁寧に指導して下さいました。三味線を持たせていただき、「♪さくら さくら」の部分だけひかせていただく。難しい。実際に三味線にさわり音を出すことができ、難しさを知ることができて嬉しかった。
長唄の順番待ちで、ほぼ時間終了。最後にすべりこみで新内のワークショップへ。ここは6人くらいが1列に並び、一斉に唄うシステムでした。岡本宮之助さん御本人の唄に合わせて声を出す。いとむずかし。こういうのができたらいいだろうなぁ。音痴なので音がとれません。おなかから声も出ないし。脂汗をかきつつも楽しむ。
会場を後にするときには、もう次の部の開場時間でした。主催者は、反省し次回より改善したまえ。
こう書くと文句ばっかりだなぁ。楽しかったです。江戸東京博物館の売店で、気がついたらいろいろお買い物をしていました。売店マジック。いい品揃えなんだもん。

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2012年11月 3日 (土)

天竺徳兵衛新噺 市川猿之助何もかも相勤め申し候

文化の日。両親と一緒に明治座へ。市川猿之助、何もかも相勤め申し候って感じでした。出てくる人出てくる人、亀ちゃんなのでおかしくなりました。(最後には母が、他の人にもゆずってあげればいいのにと言っていました・・・)
三代猿之助四十八撰。俺を観に来た客を俺が楽しませるための芝居。俺を見よという芝居が要望され、成り立っていたのがすごい。ヤマトタケル10ヶ月ロングランというのは、やはりすごいことだと思う。私は古典がみたいが、この業績は、素直に尊敬する。
でもと思う。もう少し歳をとって、若さでひっぱってきた時代から円熟期にさしかかった具合のお歳頃になってからがいいのじゃないかなぁ。 アクもまた魅力の年代に。たっぷりみせるという点が、どうしても「どうだっ!」って感じになってしまう。
この公演は、天竺徳兵衛ではなく新噺(いまようばなし)がついた天竺徳兵衛新噺である。あちこちに、他の有名な演目の面影がある。ザいいとこどり。それでいいのだ。見事なまでに、楽しませることに心をくだき、ちゃんとうまい。猿之助さんのお役は、天竺徳兵衛・小平次・女房おとわ。 あれ?これだけだった?10個以上ありそう。女房おとわが一番気に入りました。悪婆。あくどい。残酷で色っぽくて薄情。 今回の目玉役者は米吉くんです。ワンダフル。今年に入るまで、あまり舞台でお姿をみることはなかったのに。きちんと稽古を続け、いざ出番となると大活躍。かっこいい。小平次妹おまき。かわいらしいのだけど、それだけじゃない。見染めた人に猪突猛進。あきらめるという文字はわたくしの辞書にはなくってよ。いとしいお方のそばにいたいの。兄さまが亡くなったらしいけど、それよりこの方のおそばにいたい。ええー。堂々としていて、結構みせます。猿弥さんの馬士の多九郎も、いい感じの悪人でした。うまいね。この座組みは。
舞台のセットが、これでもかこれでもかとド派手。大きくてびっくりするものばかり。なので、転換に時間がかかり盛り上がった気分が落ち着いちゃうのがちょっと惜しい。
猿之助さんはすごい。 NHKのスペシャル番組が非常に面白く、より興味をもった。今回観に来るにあたり、一家で復習のため再見してから明治座にやってきました。 努力ってここまでするものなのね。背負っているものの大きさに負けず、クールを装う熱い男。 オレンジシュース開けて、オレンジシュース開けて、オレンジシュース開けて。とロビーで真似にてみました。そこしか真似できない。

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2012年11月 1日 (木)

『新参者』

東野圭吾『新参者』(講談社)を読む。加賀恭一郎刑事が人形町を歩き回る。阿部ちゃんのドラマを思い返しつつ読む。ドラマからドラマチックさを削り(逆だけど)、派手さが抑えられた分 話が心に染み込んだ。阿部ちゃんて(加賀刑事って)こういう刑事だったのかと再確認。犯人をみつけること以外にも、刑事には救うことができる。ちょっとしたことで、気持ちがすれ違ってしまった人々。殺されてしまった彼女が戻ってくることはもうないけれど、加賀刑事がみつけた糸口は、傷ついた人の心に何かをあたえた。もとにはもどらなくても、前をむいていく気持ちをくれる。ごまかしたり、つじつまをあわせたりしない。とりつくろわない真実はキツイけど、生きていくのは絶対にこっちの方がいい。
ドラマをいろいろ思い出す。溝端順平はいないのね。黒木メイサも。いいドラマでした。でも、本はもっといいかも。

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