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2012年11月29日 (木)

吉例顔見世大歌舞伎 夜の部

国立能楽堂の後、演舞場へ移動。ぼんやりしていて、同じ日の切符をとってしまいました。あわてて、演舞場へ移動。
すべりこむと、「一谷嫩軍記 熊谷陣屋」の義太夫がはじまったところ。相模登場の前に着席。仁左衛門さんが復帰され、熊谷直実登場の時に大きな拍手がおこりました。
相模は、魁春さん。いい相模でした。子を思い、夫を思い、お世話になった藤の方を思う。感情を抑えたり、溢れたりとよく伝わる。
熊谷は、動きが大きく感情が前に出ていたような気がしました。さぁどうだと我が子の首を敦盛だと言って差し出す気迫がすごかった。大河ドラマで源平の盛衰をみているので、より面白い。命を差し出して守る側と、差し出された命を引き受けて生きていかねばならぬ者との重さも感じる。これが無常ですか。重たいものです。
義経は、梅玉さん。熊谷の腹も義経の腹も、わかりすぎるほどの気迫でした。義経の後ろに四天王登場。伊勢三郎ばかりみちゃいました。天才右近くんだったから。
続いて、汐汲。浜辺で汐汲桶を手に藤十郎さんが踊ります。汐を汲むときにドン ドンっと汲まれすので、ちょっと桶の心配をしてしまいました。いやぁ、お若い。ひとしきり踊った後、此兵衛の翫雀さん登場。キリっとしていました。横恋慕して女子に刀を振り上げるのはなぜかしら。藤十郎さんならば、振り切って逃げることが可能そうでした。華やか。
最後に、四千両小判梅葉(しせんりょうこばんのうめのは)。はじめてみました。めったにかからない理由がちょっとわかるシュールさ。全体を通じて、男の美学に溢れていました。
面白かったけど、これしょっちゅうかかってもなぁ。熊谷陣屋のように、何度繰り返しみても、胸にドーンとくるものとは違う。
冒頭、舞台には野州無宿富蔵、菊五郎さん。橋のたもとで屋台をひく。呼び声とか客あしらいが粋でかっこいい。そこにかつてのお主である藤岡藤十郎、梅玉さんが登場。あきらかに誰かを手にかけようとしているあやしさにあふれている。隠しきれないところが梅玉さんのいいところ。血の気の多い若者に見えました。危ないから止めるのかと思いきや、もっと大きな事をしようと言う。江戸城の御金蔵を狙いましょう。ですって?!次の場では、もう四千両もの大金を手にしていました。ええー。と思ったら次でもうお縄になり輸送中。展開が早すぎるというか、追いつけないほどの気前のいい割愛っぷり。親子の別れで泣かせる。といっても急展開すぎて泣けません。あー家族が居たのね・・・娘のお民ちゃんがうまかったなぁ。盗みをすれば捕まるのはあたしも知ってることなのに、ととさんは知らなかったのかえって。あーその通りでございます。
最後は、男の美学祭。チラシに「リアルに描かれた当時の牢屋の様子も見逃せません」の場。ここは、詳細に展開。士農工商顔負けのきびしい世界。牢名主の左團次さんが首領(ドン)。ナンバー2の隅の隠居は、家橘さん。どなたかわからないほどの造りこみ。大罪ゆえに牢内で幅を利かせることができる。その中の掟の細かさが、面白かった。新入りは、で いくら隠してきたんだと問われる。髷の中とか、密かに隠し持ってきた金や態度がこれからの居心地を決めるという、実力の世界。ここをたっぷりと。変なルールが沢山あって長くても見飽きない。松緑さんの浅草無宿才次郎は、さっさと引っ込む。菊之助さんの寺島無宿長太郎は、粋。かつうまいこと運ぶだけの悪の路を積み重ねてきたので、早々にいい地位を得る。大物に挨拶させていただくときには、正座し足を組む際に、つま先を返し 上になった足は親指と人差し指で下のアキレス腱を挟むようにする。あれ、格好よかったなぁ。菊之助さんの座り方ががピカいちによかった。こういう形に弱い。いいなぁ。萬太郎くんの粋がっているけど、あともう一息感がかわいい。
しかし、幅を利かせる者は大罪者。仕置きが言い渡されると行く先はきまっている。仕立て下ろしの唐桟の着物と新品の博多帯を贈られる。粋に決めても縄つきのまま。威勢よく労を出る(出される)。仲間に「お題目を」と声をかける。太く堂々とした恐れなど何もない声。牢から仲間たちの「南無~」と聞こえ幕。えーーー 。驚いた。でも、これこそが男の美学ですぞ。現代にはないなぁ。男子諸君、がんばれ。

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