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2012年12月19日 (水)

『黄金を抱いて翔べ』

初の高村薫。人気作家なのになぜ一冊も読んだことがなかったのでしょうか。『黄金を抱いて翔べ』(文庫)を読む。冒頭のややこしい感じを、何度か読みなおししっかりと読む。男臭いのだけど、今までの男臭い小説とは違う。男が描くと男の美学みたいなのが強くすぎて酔ってるなぁと思ってしまったり、なんだか似たようなストーリーだなぁと思ったりしてしまうけれど、これにはそれがない。
育った環境の違いで、暮らしにできる層のようなものを、重苦しく描く。淡々と仕方のないことを受け入れて描いてあるのがすごく心に残った。生まれるところは選べない。余裕があればいいとか悪いではないけれど。自分でどうにか人生を考えることのできる前に受け入れいれなければならない暮らしを読むと、心が落ち着かなくなる。どうしてこうも人の中に流れる気持ちが、描くことができるのでしょう。あたりまえだけど、作家ってすごい。金ではなく、金塊だから挑む意義がある。その理屈はなんとなくわかる気がする。とてつもないものを得るために、犠牲にするものがある。そのバランスが見事だと思った。これを失ってまでする価値があったのかと簡単に比較できないバランス。すごい本だった。くたびれた。
これを映画化したのか。変に明るい活劇になっていませんように。こんな計画を描いて真似されないのかと大犯罪のおこりうる可能性まで心配したくなる超大作でした。

歌舞伎座新開場 あと104日

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