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2013年1月11日 (金)

第61回野村狂言座

今年最初の能楽堂公演。舞台にしめ縄がはられていました。神聖な気持ちになります。今年最初の野村狂言座を観に宝生能楽堂へいってきました。本日の解説は深田師。
素囃子「男舞」からはじまる。武士の役が舞う曲だそうです。「鍋八撥」高野師の田舎っぽさと、中村修一さんのスマートな都会的な対比がよくでていて面白かった。高野氏の困惑ぶりに随分客席がわいていました。わさなべ(浅鍋)は中尊寺に特注していると解説でおはなしがあったので、音にも注目しました。
つづいて、「素袍落」。あたりまえですが、うまいなぁとしみじみ思いました。叔父の万作師の声が少し出にくそうで心配になりました。ちょっとした強弱がとても効いていて、ぐっと惹きつけられます。石田師の太郎冠者は天真爛漫で酔っ払い加減が、のんべぇにはすごく理解できました。今手に持っていた、いただいた素襖がない!とびっくりした様は、私が2日にバーゲンで買ったばかりのスカートの入った紙袋を無くした時の驚きと同じでした。(飲んでいなかったけど。スカートの入った紙袋は無事ワゴンサービス近くに落ちているのを発見しました。)おおらかでいいです。内藤さんは若い主。いいから言うとおりにせよと無茶な感じが面白かった。
最後に「業平餅」。天下の美男子の業平も、狂言の世界では餅に夢中な男になるのが楽しい。品を落とすのでなく、位のある人ののんきな一面というしあがりになるところが、古典芸能のすばらしさだとしみじみ思いました。笑いたくて観にくるわけではないので。とはいってもつい、クスっとはしてしまうけれども。人間のおかしさを、皮肉でなく素直に楽しめます。「業平餅」は久しぶりによく笑いました。万作師の傘持ちの居眠り加減が絶妙で、そういうお役だとわからない方は本当に寝てしまっているのではとハラハラしそうなほどでした。とぼけた味わいを満喫しました。萬斎師は、業平。餅が欲しければ、おあしを出せといわれホイと出す様が可愛らしくかっこいいの。餅やの主人の居ぬ間にこっそりと餅を食べてしまうのに、姑息な感じにならないのが不思議。
今日は3番組とも、シテのおおらかさがとってもよかった。能楽堂はいいです。気持ちがキリっとします。

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