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2013年1月24日 (木)

『絲的サバイバル』

絲山秋子の『絲的サバイバル』(講談社文庫)を読む。面白い。うまい。面白い。
『絲的炊事記』でも、ガッツにメロメロになりました。身体を張ったプロの仕事。かつ余暇として。「1月1回1人キャンプ」という大きな目標を掲げて果敢に挑む。キャンプ場に一人で乗り込む。しかもそのキャンプ場に一人きり。なにからにまでコールマンで揃えている奴は大嫌いとのたもう。山ガールなんてちゃんちゃらおかしい。猟師に近いような、スタンスさえ感じる。手際良く、手を抜くところは抜き、おいしさを求めるべきところは求める。人間の作り出す音(電気を伴うもの)を遮断し、大自然の中でちっぽけさを感じる。潔さと、お酒ののみっぷりと、作る料理の美味しそうなところにグっと惹きつけられる。七輪であぶるだけのおいしさを想像する。こういう心のたくましい人でいたいものです。
栃木愛にあふれ、栃木の大自然をわたりあるいたかと思うと、三浦半島にも出没。講談社社屋敷地内とか、友人宅の庭先とか神出鬼没。そんなところで具合がまたいい。
純文学風とか、作風の違うタッチにもしびれる。うまいな。あたりまえだけど。
おいしいものを食べることに手を抜かない。こだわりやさんでなく。なんてたくましくて、格好のいい人なんでしょう。今、産直という言葉に魔力を感じます。

歌舞伎座新開場 あと68日

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