『まほろ駅前多田便利軒』
仕事はじめ。混みこみの電車に乗り、会社がはじまったと実感。
三浦しをん『まほろ駅前多田便利軒』(文春文庫)を再読。続編の『まほろ駅前番外地』を読むまえに、読みなおし。割と忘れていてほぼ新鮮なことは言うまでもない。直木賞受賞作。
東京のはずれに位置する「まほろ市」の設定具会がうまい。ほどよく都会で、一部人情にあつい部分を残す程度郊外である。そんなまほろ市の駅前にある便利屋「多田便利軒」。人にかかわることをおっくうがる若さと、便利屋という人の家の中に入っていく人にべったりの仕事のバランスが面白い。一人で淡々と暮らしている多田の生活に、学生時代ですら仲のよくないかつての友人 行天がころがりこむ。出て行ってほしいはずだが、いつのまにか暮らす仲間になっていく微妙な空気を楽しむ。突飛なようで、案外人の心を動かしよりそう行天の人間性が魅力的。でもそれは、コツコツ生きてきた多田の暮らしの上に成り立つから。
ペットあずかりとか、塾の送迎とか、今は便利屋にそういうこを頼むのか。人まかせにするドライな親のあきらめや 心が乾いてしまっている感じと、そういう風になっていない子供の間に立ち、親切じゃない具合で繋いでいく。いいな。
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