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2013年3月29日 (金)

『酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記』

恩田陸『酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記』(講談社文庫)読み直し。飛行機に乗るという恐怖から連想されるものの豊富な記憶に再度驚く。読書したものが、こんなに身についているってすばらしい。本・映画にとどまらず「太陽にほえろ!」のシーンがでてきたり。すごいなぁ。そして、ビールの飲みっぷりもすごい。その土地を味わおうとする姿勢が、興味深かった。プロの紀行文ってすごい。

歌舞伎座新開場 あと06日

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2013年3月28日 (木)

野田版 研辰の討たれ

シネマ歌舞伎をみてきました。「野田版 研辰の討たれ」。歌舞伎座でみたときから、よくできているなぁと思った。最後の場面が印象的で、時折思い出す。
映画がはじまると、舞台には祝い幕がかかっている。あーそうでした。十八代目中村勘三郎襲名披露狂言として上演(再演)された舞台でした。2005年5月歌舞伎座だそうです。襲名披露で、生きている作家の狂言を披露したとうれしそうに言っていた勘三郎さんの姿を思い出しました。ガヤガヤとした感じ。上演前のあの騒がしさ。そして歌舞伎座という小屋の雰囲気。高性能カメラの映像とリアルな音響で歌舞伎の臨場感をそのまま映画館で楽しめる「シネマ歌舞伎」と銘打つだけのことはあります。
歌舞伎座という魅力的な舞台構造がありながら、そればかり使ってみたがるのでなく野田秀樹の美学がある。時代の流行りの洒落を取り入れ、もう8年も経つと、古く感じたりするのも面白い。守山辰次が、武士道を面白おかしくちゃかしていたことは、よく覚えていましたが、そこにはちゃんと根底になるものがあった。赤穂浪士討ち入りの事件が、一大ブームを生んだ。敵討ちが美化され、流行りものになっていた。それは、江戸から離れた近江の国・粟津藩にも伝えられ、流行りになる。その話題で持ちきりの世の中で、一人だけ、あだ討ちなんて馬鹿馬鹿しい、武士といえども潔い死を望まない武士もいるはずだ、と言っていたのだ。それを踏まえてみると、辰次は世論がどう言おうとも、おかしいものはおかしいと言っているのだった。問題提起のような大袈裟なものでなく、個人の意見だけのこと。世渡り上手で追従をいい、なんとかその場をしのいでいく男だけれども、そうひどいばかりでない。言葉を発し続け、動き続け、それでも勘三郎さんが演じるとそれは「歌舞伎」だった。うんまいなぁと、みている間に何度も何度もつぶやいた。にくたらしいけど可愛げがあって、絶妙の場で気持ちを掴まれる。若者(染五郎さんと当時の勘太郎さん)の激しい立ち廻りに、若さに嫉妬したりするのも、すごくいい。あーこの負けずギライな感じ。もう、雲泥の差ほどの実力に開きがあるのにまだそんなことを言う。その感じが、あー勘三郎さんだなぁとうれしくなる。
野田の演劇は、大衆の扇動の持つ力の恐ろしさの表し方が特に好きなところだ。この演目でも、やっちゃえと平気で恐ろしい言葉でたきつける。一人の意見なら、その責任に押しつぶされ口にできない言葉も、みんなという存在で平気で口に出す。その押し寄せる怖さの中で、一人でいる守山辰次=勘三郎さんの恐怖はすごかった。こそくなのだけど、心の底から「死にたくない」と言った。その魂を感じた。そして、御本人とちょっとだぶってしまい、切なくなった。笑わせながら、ぐっと心を掴まれ動けないような気持ちになった。すごい。すばらしい。

歌舞伎座新開場 あと07日

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2013年3月27日 (水)

『カミングアウト』

今日は銀座で歌舞伎パレード。どうして平日に行うのかなぁ。どうして開催発表するのが遅いのかなぁ。ケチ。労働者諸君のことも考えてくれたまえ、松竹殿。 雨の中開催されるのかしらと考えながら働きました。 開催されたようですね。大勢集まっているようすをTVでみて、ニヤニヤしました。いいなぁ。

高殿 円『カミングアウト』 (徳間文庫)を読む。冒頭の物語で援助交際をしている女子高生が、そんな自分を肯定している理屈にちょっとあたってしまった。重苦しい気持ちで読む。それぞれの年代のどうにもならない感がよく出ている。得てして楽な方に力をそそぎ、仕方ないと自分を肯定しつつ逃げ込んでいるところがよくわかる。変わらない毎日が続くようで、いつまでも同じではいられないこともわかっている。時間的なあせりがよくわかるので重苦しくなるのかも。
母の小言に耳をふさぎ、自分で金をかせぐ女子高生。独身で実家から通っているOL。自分で働いた蓄えで好きなロリィタ服を買っているのに恥だと言われる。子育てに区切りがつく年になり、妻から母となった後何になればいいのか途方に暮れる主婦。定年の日に、夫に見下り判をつきつけようと用意周到に準備する妻。女子だけでなく、それなり役職の年代だが独身の男性もでてくる。みな、自分の居場所という問題をかかえる。ずーっと流されてきたこと、変化を恐れて動けないでいることに、一歩踏み出した者たち。気がつくと応援したり、加勢したりしている。
自分の居場所はどこであろうかというのは、たいていの人間にとっても問題である。はたして何かしているですか、あなたは。だってと言い訳せずに。高殿円は、そこら辺を描くのがうまいなあ。
うーむとうなりながら読み終えました。

歌舞伎座新開場 あと06日

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2013年3月26日 (火)

『トッカンvs勤労商工会』

高殿 円『トッカンvs勤労商工会』 (ハヤカワ文庫JA)を読む。熱くなる。泣く。うーむ、面白い。
人にされたことに腹をたて悔しがる、憎む。そんなことどんな人にもしている。 気がつかずに、自分は絶対にしていないといえるのであろうか。 気軽に言う、悪口ですらない一言にも、無性に腹が立つこともある。 読みながら、そういういことを すごく考えた。 それが、その人の生活に 家族の暮らし を揺るがしてしまうことになったなったら。
「法律って恐ろしい」ということを、身にしみてわかるようになっていくぐー子。一生懸命にやってもやってもちっとも報われない。むくわれないけれども、積み重ねたものは、その人の財産だ。読んでいる方にはよく伝わるけれど、何日も努力したものが、台なしになったらなかなかそんな風に思えない。
国民の大敵「税務署」で奮闘するぐー子。自分が「法律ですから」と言われ、はじめてその言葉の持つ拒絶感に気がつく。いろんなことに翻弄され、大事なものが何かわかっているのにどうにもできない。できないなりにも、なんとかしようとする。日々の自分のすべきことをちゃんとしつつ。損ばかりしてもあきらめない。人を傷つけれてしまっても、そのやってしまったことを引き受けて生きていくしかない。頭がきれかつ要領よく無駄なことは一切しないように見えていた鏡トッカンも、地道な努力家だった。心に痛みがあるからこそ出せた力だった。その強さは打ちのめされたことがあるからだった。自分の辛いことを知られて、そこから得られるのは同情だけじゃない。悪質で、スマートで、いいとこどりなんて、一見いいようで一つもよくない。常に人と比べて、自分の方がよかったらご満悦なんて御断りだ。 あたりまえのことっていい。
この本を抱きしめたくなるくらいよかったのは、なんとか自分の居場所を探そうとしているところ。自分は何ができるか。何をいかすことによって必要な人間になることができるか。そういうことで、あがいている日々なので、みっともなくても、ねばり強く、ずうずうしくなることで自分の居場所をみいだそうとする様に胸があつくなった。得意とすることがないなんてうつむいていない。そうだ。みんな探していいるのだと本を胸に抱きしめた。

歌舞伎座新開場 あと07日

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2013年3月25日 (月)

いまだ届かぬ手打式・・・

歌舞伎会会員を抽選でご招待。もちろんもちろん応募致しました。あつい想いのたけを書きつらねて。
それなのに、「古式顔寄せ手打式」の招待状の封筒が届きません。ええ、外れたんですよね。わかっているのですが・・・ もしかしたら遅れて届くかもと毎日期待をこめてポストをのぞいてしまいます。こんなに好きなのになぁ。つれないわぁ。

歌舞伎座新開場 あと08日

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2013年3月24日 (日)

アートフェア東京 2013

学友に誘ってもらって、アートフェア東京 2013 という催しに行ってきました。東京国際フォーラムの展示ホールで開催される大きなイベントでした。びっくり。このようなものがあることを初めて知りました。画廊の祭典!個性的で面白かった。
まず、値段が設定されていることに驚く。気に入ったものを購入する場所でもあったのですね。画廊ごとにブースが別れ、実際に作家が立ちあっているところも多かった。直接、作品について説明してくれることも。かなり個性的な方が多かったです。モダンな作品から、日本画、超有名な方のものまでいろいろと。舟越桂や三沢厚彦の作品がある西村画廊や、奈良美智や蜷川実花・ダミアン・ハーストまで並べた小山登美夫ギャラリーは、今更がんばらなくても・・・とちょっと思ってしまった。実際に見ることができてうれしかったのに。特に、三沢厚彦さんの白クマは。
最初にひきよせられたブースが、たしか河童がいたところ。江本創さん。阿吽の河童が上下に入ったガラスケースの上に、キュウリが供えてありました。存在しないもののミイラのような作品は、とても面白く、ちょっと欲しくなりました。シールが貼られているものはもう売約済らしい。いろいろなシステムを知りました。
緑の頭の人がいる!そのブースは東園基昭さんの日本画。三番叟がジョカーの玉乗になっていて不思議だった。玉が鈴の柄になっていて、鈴の段かっと思う。
川俣聡さんは、墨絵のような作品。狼王ロボ!っと思った。シートン動物記の世界を感じました。だなぁと思った。おじいさんが描いてそうでしたが、傍らにいらした背の高い若い男性が作家さんだそうです。
ミヤケマイさんの、仏壇がすばらしかった。仏壇なのだけれども、額装のようでもあり、小じんまりとした中に、独特の世界が。若冲のようだなぁとなんとなく思いました。「幸せの青い鳥おみくじ」をひいてきました。小吉でした。
相場るい児さんの作品が、一番気に入りました。友人たちも購入するなら、あれかなぁと人気でした。想像の中の購買ですが。猫又の抹茶茶碗。尾っぽの別れた化け猫が茶碗に。広大まで凝った造り。これがおうちにあって、好きなときにながめることができたなら、贅沢な気分になるだろうなぁと。
「山居の細川護熙」展というのもありました。目玉企画でしょうか。ものすごくいいものそうなものがあるなぁと思ったら、護熙さんちのものでした。携帯式のような茶室を中心にした山居の世界。ブースと異なり場所もたっぷりとられていましたし特別でした。
アートフェア東京2013のパンフレットの表紙になっていた木の安全ピン。つながっているので一体どうなっているのでしょうと。すごく気になっていたのですが、みつからないまま会場を後にしました。神﨑泰志 さんの作品らしい。機会があったらぜひみてみたい。
一生懸命みたのでクタクタになりました。その後サテライトキャンパスへ移動し卒論の発表会を聴講したり。友達っていいものです。楽しかった。

歌舞伎座新開場 あと10日

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2013年3月22日 (金)

赤坂歌舞伎

赤坂ACTシアターというところに、はじめて行ってきました。ここが赤坂サカスというところなのですね。なんだか大袈裟な敷地でした。映像が写る階段とか。人工的に手を加えて自然な感じを出したというややこしい階段とか。桜がきれいでした。
中村勘九郎襲名記念 赤坂大歌舞伎をみてきました。中村屋を応援して参りました。勘九郎さんはすでに、「怪談乳房榎」に挑戦されているそうです。私ははじめてみました。勘三郎さんで何度もみたなぁ。いないなんて信じられません。ピンとこない。熱演の勘九郎さんは、勘三郎さんの声によく似ています。習った通りをなぞるという域をちゃんと超えていて、お役の気持ちがよく出ていて立派でした。特に、下男の正助さんが、愛くるしかった。実直でよかったなぁ。
もう一人、立派だったのは、重信妻お関の七之助さん。うまい。元武士で今は気絵師・菱川重信の美貌の妻。そういう気品があって、夫を想う心もあった。ほっとかれない翻弄される女子でした。でも、気高い。若いのに、現代人ぽさがかけらもなく、見事に時代にしっくりくるたたづまい。こういう人が相手だと、早替りにて奮闘する勘九郎さんがより引き立ちます。すばらしい兄弟です!
亀蔵さんは、いるだけで場が落ち着く。浪江の獅童さんもがんばってました。継続は力なりだなぁ。実は悪者感がぷんぷんしてました。まだふざけない方がいいかも。余計なお世話ですが。彼には人の目を引きつける力はあると思う。冒頭の茶見世で小山三さんが登場。あいかわらず可愛らしい。名後見の仲二朗さんとの掛け合いもたっぷりあってうれしかった。テアトルのように、客席の階段を花道にみたて、行き帰のたびに大サービス。全体のチームワークも、とってもよかった。
どうして、歌舞伎を演じる場所を増やしていくのかなぁと不思議に思っていた。観るものがいっぱいなので、赤坂まで手を伸ばさなくてもいいかなと控えていました。今回はじめてみにいってみて、会場の雰囲気が違うことに気がつきました。お安い2階の後ろの方なので全体の雰囲気ではないかもしれませんが。そんなに歌舞伎愛好家ばかりではない。招待されたような気軽な感じの人もちらほら。男性も多かった。一度見てみようかという物珍しい感じで、いろんな場面に反応して笑い声があがりとても楽しそうだった。早変わりに多いに驚き、笑い、喜ぶ。あー赤坂歌舞伎には、歌舞伎をみるきっかけをつくるという意義もちゃんとあるのだなぁと感じました。少々笑いすぎでは?と思うところもあったけれども、みんな楽しそうでした。
座席は、段差があり上の方でも舞台がよくみえました。ロビーがものすごく混雑していて、トイレも大行列。歌舞伎座や演舞場って、よくできているなぁなんて思ったりも。
入場前、行列に並んでいたら、「切符をお手元に用意して下さい」というアナウンス。それは、よく聞きます。が、「チケットの切れ目を一度折っておいていただけますと入場がスムースです」というようなことを言っていましたよ。過保護!

 
歌舞伎座新開場 あと11日

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2013年3月19日 (火)

『トッカン―特別国税徴収官―』

『トッカンvs勤労商工会』が文庫になっていたことに気が付く。まず、持っている本を読み直し。高殿 円『トッカン―特別国税徴収官―』(ハヤカワ文庫JA)。内容を覚えているのだけど、グっと言葉につまり、ドキドキハラハラし、逃げ出したくなったりする。あーこの人に裏切られるのにと思いながらも、その思いにハッとする。はじめて読んだ時にも思ったけれども、こんなに一生懸命生きているかなぁと我が身を振り返った。必死にがんばるって、この位がんばることだ。辛いけど必死に死ぬほど考えることは、それが失敗してもそれは無駄にならない。間違えてしまっても、取り返しがつかなくても。
税金滞納者を取り立てる皆の嫌われ者「徴収官」。確かにいいイメージはない。私の払った大切な税金をちゃんと使っているんでしょうねとか思っているのも確か。働けば働く程借金が増え、それでも止まることが許されない。そんな困窮した小さな企業からも、税金を取り立てる。片や卑怯な手立てで、税金を払わずにすまし、優雅に暮らすものもいる。弱者を更にいじめることはないじゃないか!と主人公の新米職員ぐー子と同じように思う。仕方ないと。結末を覚えていてさえ、ついそう思う。
しかし、法律に自分だけが従わないこと。税を払わないということはズルだ。その仕方ないけど小さなシコリを心に落とす。気がつかれなければ、いい思いをした方が得という思想が蔓延してきているように思う。気を抜くと自分も、その考えを肯定したくなっていることがある。何がいけないんだと言われた時に、相手にも自分にも納得できる答が出せるか。この本にはその答えがある。正義は正解。
国民の大敵のような「税務署」が、何をしているか垣間見ることができたのも面白かった。
女子が、本気になって本音でつかみ合いの喧嘩をする。 一番言われたくないことをズバズバいいあい、完膚なくうちのめされる。その後に、ぐー子には自分がみえてくる。強いなぁ。そんなに自分に立ち向かうことができるだろうか。うちのめされて、それっきりの弱虫だ。もう少し強くなりたい。そう思った。

歌舞伎座新開場 あと14日

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2013年3月18日 (月)

ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~

先週の金曜日、美術館に寄り道の予定でした。ラファエロをみようかしら、ルーベンスにしようかしら、もう一度エルグレコ、いやいや岡村桂三郎さんの個展をもう一度見ておきましょう などと考えていましたが、夕方から体調不良。帰宅したら熱が出ていました。あーあ。土曜日は、山崎まさよしのコンサートなのでなんとしても熱を下げねば。必死に寝ましたが奮闘空しく熱は全然下がらず。あーあ。土日はうずくまって寝ていました。あーあ。ごめんなさい。あーあ。

先週読みました。三上 延『ビブリア古書堂の事件手帖4 栞子さんと二つの顔』(メディアワークス文庫)。4冊目も変わらず面白かった。乱歩ときましたかとワクワクしました。詳しくないけれども。とにかく奥の深そうな作家というイメージ。小学生の頃に学校の図書館で全集を片っぱしから読んだ子供としては、こんなすごい人とは思っていませんでした。古書集めの本によく登場する乱歩。その度に、あ-もう一度読んでみたいと思う。そして、また読みたくなった。このビブリア古書堂の事件手帖4 の平積みのそばに、乱歩を並べておく書店をみるとフムフムと思う。 電車の中で乱歩を読んでいる人をみかけたら、なんだか怪しげな人に見えてしまう。読者にすら、怪しさを与えるなんてすごい。子供のころに読んだポーの黒猫の怖さとか、おいてけ堀の怖さの印象はいまだに強烈である。乱歩のなんだか変な世界も同様。想像力がたくましく、大人の世界に触れていない子供の時代だからこそ、心に焼きつく。伝記や松谷みよ子と並び、乱歩も揃えている。シャーロックホームズやルパンも。小学校の図書館はすばらしかった。
今回の物語の答は、人に寄って違う。そこがよかった。貴重なものであればあるほど、狂信的に欲しくなる人がいる。手に入れるために失うものがあっても止められない。その失うものの大切さがわからなくなってしまっている。どこで自分と折り合いをつけるか。それと今の暮らしと。普通の生活は、あって当たり前。日常ってさほどありがたく思わなくなる。いざ、それを無くすとなるとその普通がどんなに貴重なものだったかよくわかる。それは、大きな災害のようなものだけではなく、誰の日常にも忍び寄る。魅了されてしまった人は、その道では恐ろしい程の能力を発揮するけれども、そのかわり背負わなくてはならない性もある。栞子さんも、そこに片足を踏み込みそうになりとどまった。そういうことも、じわーっとくる小説でした。

歌舞伎座新開場 あと15日

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先週の金曜日、美術館に寄り道の予定でした。ラファエロをみようかしら、ルーベンスにしようかしら、もう一度エルグレコ、いやいや岡村桂三郎さんの個展をもう一度見ておきましょう などと考えていましたが、夕方から体調不良。帰宅したら熱が出ていました。あーあ。土曜日は、山崎まさよしのコンサートなのでなんとしても熱を下げねば。必死に寝ましたが奮闘空しく熱は全然下がらず。あーあ。土日はうずくまって寝ていました。あーあ。ごめんなさい。あーあ。

先週読みました。三上 延『ビブリア古書堂の事件手帖4 栞子さんと二つの顔』(メディアワークス文庫)。4冊目も変わらず面白かった。乱歩ときましたかとワクワクしました。詳しくないけれども。とにかく奥の深そうな作家というイメージ。小学生の頃に学校の図書館で全集を片っぱしから読んだ子供としては、こんなすごい人とは思っていませんでした。古書集めの本によく登場する乱歩。その度に、あ-もう一度読んでみたいと思う。そして、また読みたくなった。このビブリア古書堂の事件手帖4 の平積みのそばに、乱歩を並べておく書店をみるとフムフムと思う。 電車の中で乱歩を読んでいる人をみかけたら、なんだか怪しげな人に見えてしまう。読者にすら、怪しさを与えるなんてすごい。子供のころに読んだポーの黒猫の怖さとか、おいてけ堀の怖さの印象はいまだに強烈である。乱歩のなんだか変な世界も同様。想像力がたくましく、大人の世界に触れていない子供の時代だからこそ、心に焼きつく。伝記や松谷みよ子と並び、乱歩も揃えている。シャーロックホームズやルパンも。小学校の図書館はすばらしかった。
今回の物語の答は、人に寄って違う。そこがよかった。貴重なものであればあるほど、狂信的に欲しくなる人がいる。手に入れるために失うものがあっても止められない。その失うものの大切さがわからなくなってしまっている。どこで自分と折り合いをつけるか。それと今の暮らしと。普通の生活は、あって当たり前。日常ってさほどありがたく思わなくなる。いざ、それを無くすとなるとその普通がどんなに貴重なものだったかよくわかる。それは、大きな災害のようなものだけではなく、誰の日常にも忍び寄る。魅了されてしまった人は、その道では恐ろしい程の能力を発揮するけれども、そのかわり背負わなくてはならない性もある。栞子さんも、そこに片足を踏み込みそうになりとどまった。そういうことも、じわーっとくる小説でした。

歌舞伎座新開場 あと15日先

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2013年3月10日 (日)

三月花形歌舞伎 昼

三月花形歌舞伎の昼の部をみてきました。これで演舞場とは、しばしお別れ。記念におでんを食べてきました。おいしかった。
昼の部は、妹背山婦女庭訓と暗闇の丑松。
鱶七のところからとは思っていなかったので個人的にびっくり。三笠山御殿はじっくりとみせるのでその前もあったらくたびれちゃうかも。松緑さんはちょっと痩せたよう。ちょっと小さくみえました。台詞まわしはたっぷりとしようとしているところがうかがえました。長い袴の裾さばきのところで魅せていました。亀三郎さんの求女に、天才右近ちゃんの橘姫。完璧。橘姫が動くと、時間がゆったりする。優雅でした。淡海と兄 入鹿の間に挟まれ、苦しみながらも迷わず愛する淡海の無理な頼みをかなえようとする。失敗したら、もうこの世では御目にかかれない。せめて一言というといころ情愛もすばらしい。躊躇なくしれっと応える淡海の亀三郎さんもよかった。その後、やっとお三輪の菊之助さん登場。もう、若手の域を飛び出ちゃう安定ぶりでした。奥を気にして、心ここにあらずのところとかかわいかった。なぶられてなぶられて可哀そうでした。意地悪な官女達が去った後、嫉妬のあまり形相が一変するところの迫力のすごいこと。キッとなった音がしそうでした。このお三輪で初役とは。びっくりぎょうてんです。突然、鱶七はお三輪ちゃんを刺す。鱶七が訳を話してはくれるのですが、何度きいても納得しずらい。可哀そうすぎます。たっぷり感情移入できる三笠山御殿でした。鱶七をみると、團十郎さんを思い出します。でっけぇ存在感で、ユーモラスで情の厚い鱶七だったなぁ。
暗闇の丑松。暗闇の丑松は、とにかく暗い。照明が。以前、幸四郎さんでみたときには、あまりに暗くて、舞台に何人いるのかもぼんやりしてしまったことを思い出しました。
梅枝くんのお米のうまいこと。とにかく辛抱ばっかり。見栄えのよい娘さんなのに、うたれてもうたれても幸せになれない。不幸っぷりもたっぷりとしていて、さすが。そんな丑松女房のお米をいじめるのが、萬次郎さん。どんなに暗いところにいても、この声を聞けば「萬次郎さん!」とすぐにわかります。すばらしいいじめっぷり。丑松は、祖父二世松緑丈・父三世松緑丈も演じたお役だそうです。松緑さん初役とのこと。思い入れを感じます。必死さが似合っていました。のっぴきならない悲壮感がありました。歌昇くんの熊吉や、亀寿さんの祐次をみて、もう花形だけで、立派に歌舞伎味がでるなぁと安心。亀三郎さんの岡っ引に関しては、もうベテランの安定感。廣太郎くん廣松くん、もっとがんばれー。 とにもかくにもイヤなやつ四郎兵衛は團蔵さん。女房お今の高麗蔵さんの鼻もちならなさ加減もすごい。お2人がでてくると、ものすごくしっくりしました。大人ってうまい。 花形歌舞伎ならではの若さで精一杯がんばっているところが楽しかった。物語にどっぷりとつからせてもらい、たっぷり楽しみました。湯屋で大活躍したのが咲十郎さん。このお芝居で、たった一人の明るい男。明るい人がでてきると救われたような気分になります。職人らしくてよかった。湯屋の裏方の仕事もわかり楽しんだ。もう一人光っていたのが、橘太郎さん。遊郭の雰囲気が出ていて、さすがでした。

歌舞伎座新開場 あと23日

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日本の民家一九五五年

演舞場の後で、パナソニック 汐留ミュージアムへ。「二川幸夫・建築写真の原点 日本の民家一九五五年」をみてきました。会場についてびっくり。以前、出口だったところが入口に!ひっくり返った設定も可能とは。ちゃんとジョルジュ・ルオー作品の小部屋もあり、そこも出入り口が逆になっていました。きっちりと区切られているので、違和感なく別世界になる。
「二川幸夫・建築写真の原点 日本の民家一九五五年」。これは、とても面白い展示でした。民家の写真ということはわかって向かったのですが、それでもびっくり。会場の構成が変わっていた。写真を飾るのに、壁面を使う必要がないという発想。宙にういた展示になり、かつ作品を挟み、表からと裏から観賞。作品を間にし、向き合っているのに、別の作品をみている。相手の顔はわからない。キャプションが下に書かれているので足元はよくみえる。(とてもきれいな脚の女性がいました!)かわっていました。会場構成は藤本壮介氏が手がけたそうです。
二川幸夫のとる写真は、モノクロなのに、いろいろな色を感じました。人のいない民家を撮る。「京・山城」にはじまり、「大和・河内」「山陽路」「四国路」「西海路」 「陸羽・岩代」「武蔵・両毛」「信州・甲州」。最後は「高山・白川」でしめくくり。二川幸夫の民家の旅の起点の地とのこと。かまどが5つもある台所。20人以上の大家族の食事を用意と読み納得したりと、一枚づつが面白い。力強い梁が美しい。2階は蚕のための大きな民家。同行のおさるが家の中は、ずっと蚕が葉を食べる音がなりやまないのだと言う。がらんと広い部屋の壁に掛けられた振り子時計。音や空気も想像したくなる写真。風を通すために開けられた屋根の空間は、デザインのように美しい。米を商う家には、主食は金とかかれていて興味をもった。小声でささやきあいながら、堪能した。

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被災地で活動する警察官の写真展

美術展のはしご。警察博物館にもいってきました。「被災地で活動する警察官の写真展」と紹介されていた記事をみて気になったので。1階入口では、ピーポ君がお出迎え。白バイにもまたがってよいそうです。ちびっこには制服の貸出があり写真をとることができるというサービスがありました。
2階から展示。まず、菊五郎演じる警察官という浮世絵からスタート。歴史や活動紹介、制服展示など。殉職された警察官も紹介されており、改めて命がけの仕事なのだと思いしらされます。最上階の5階が、特別展示でした。11日で東日本大震災から2年が経過。いまだ震災復興は道半ばであると書かれ、被災地においての活動状況の写真が展示されていました。被災地の様子は、何度みてもものすごい。被災地の警察は、自身が被災警察でもある。それでも、コツコツとできることに取り組む姿に、ただ泣く事しかできなかった。原発の事故で防護服を着て作業しなければならない。その服も展示されていた。こんな薄いものが守ってくれるのかと驚く。自分が、何もしていないことを強く感じる。現場に向かう警察官。その家族は、危険なところに行って欲しくないと思ってしまう。警察官自身も恐ろしいであろう。それでも、必死に責務をまっとうしようとする姿に、家族は仕事に送り出す。警察官やご家族の手記に胸がいっぱいになる。割と小さなスペースでしたが、訪れた人は丁寧に写真を手記をみていた。そういう気持ちになる空間でした。映像もながれていました。若い婦警さんが、被災地で被災した人々の話を聞くことになり、勉強したこともないしどうしたらいいかわからなかったと語る。それでもできることをコツコツと、逃げずにあきらめずにやりつづける。ありがとうという気持ちしかない。何か言ってくれたらやる。そんな姿勢の人はいないんだなと思った。 写真の中で体育館に真新しい棺が並ぶものがあった。読経をしている僧侶が写っていた。横に毎日毎日読経を続けると書かれていた。心に残る1枚だった。

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2013年3月 8日 (金)

岡村桂三郎展

銀座へ。待ちにまっていた「岡村桂三郎展」開催と知り、大喜びで銀座のコバヤシ画廊へ行ってきました。心をつかまれる作品です。今回も、また圧倒されてきました。
作品に登場するのは主に幻獣の印象があったのですが、今回はガラリとかわったような気がしました。昨年東南アジアを巡ったそうです。あのなんともいえない眼にやられていましたが、今回の眼は全然異なりました。空っぽのような吸い込まれるような。不思議。あの得体の知れないものに囲まれる空間がいい。本物には力があるように思う。
本人がいらしていて、お話させていただき幸せなり。みたことのない感覚に、不思議な気分になる。岡村桂三郎作品が大好きです。

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2013年3月 7日 (木)

『ビブリア古書堂の事件手帖1~3』

先月も7日はお休みしました。歌舞伎座杮落四月公演の優先発売でした。美術館にいったりとプチ休暇を満喫。今日は五月公演の優先発売日でした。親孝行デーという名目で終日遊ぶ。一緒にアウトレットへ。父の誕生日のある月でしたので、ホテルで豪華なビュッフェの夕食をごちそうしてきました。満腹のおなかをさそりつつ帰宅。自分の方が楽しんだような。両親も喜んでいたので何よりです。

ビブリア古書堂の事件手帖4が発売になったので、その前に1~3を読み返す。三上 延『ビブリア古書堂の事件手帖』(メディアワークス文庫) 栞子さんと奇妙な客人たち、2 栞子さんと謎めく日常、3 栞子さんと消えない絆。3冊ともけっこう細かく覚えていました。栞子さんは、たよりなくて守ってあげたい美人なのだけれど、本のことになると別人になる。深い知識とキレのある見解を示す。この本が魅力的なのは、その探索能力を恐ろしいと感じさせるところだと思う。あまりに出来すぎるもの、能力の高いものに、全て見透かされているような怖さを感じる。このうまさだと思う。有能な安楽椅子探偵・手足となる語り部の助手という典型的な組み合わせが、それだけにならずそこがいいとなる。
そうだ、この本を読んでみよう・読み返してみようと思ったのだったと思いながら楽しむ。次は、新刊です。楽しみ。

歌舞伎座新開場 あと26日

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2013年3月 3日 (日)

ル テアトル銀座 三月花形歌舞伎

ダンスの公演のあと、銀座へ。ひなまつりの3月3日は、初日でもありました。成田屋贔屓大集合して海老蔵丈を応援せねば。
本当であれば、團さまと海老蔵さんの『オセロー』のはずでした。團さまが4月の歌舞伎座に向け休演されたので三月花形歌舞伎を代わりに上演することになった。それだけでも奮闘公演であるのに、團さまの急逝という信じたくない状態になってしまいました。
『夏祭浪花鑑』と『高坏』の間に口上。そこで、勘三郎さんの教えを受けたおはなし、そして團十郎というよりも父の思い出のおはなしがありました。勘三郎さんがどんなに熱い方だったか、團さまがとにかくまじめな方だったかということを楽しくおかしいエピソードで伝える。お2人は、歌舞伎について熱く語り、夜どおしになり そのまま舞台にあがることもあったそうです。父親と先輩のお話に明日、玉三郎のお兄さんと吉原雀があるから寝たいなぁと思っていたと。アリゾナで、勘三郎さんに御稽古をつけていただいてゴルフして飲んで、寝ずに翌日また御稽古というタフな話を披露。ここでも寝たいなぁと。その熱血ぶりが目に浮かび、笑いながらしんみりしました。
團さまは、オペラ座での公演でフランス語で口上を喋りたいと言いだし、家の至る所にフランス語のセリフのコピー貼ってあった。ここだけの話最後まで覚えられなかったのが父でしたと披露。團さまが30分かけて金星がみえるようにセッティングした望遠鏡を何を血迷ったか蹴っ飛ばし(目に浮かぶ・・・)また30分再セッティングをするのを待つ兄と妹の話をし、その真面目さはとうてい真似できませんと紹介する。あえて楽しい話で偲ぶ。これには笑いながらも涙がでてしまいました。偉大な父・先輩の教えていただいたこと、そして魂も思いもを受継ぎ、少しでも近づけるよう精進してまいりますと述べた決意が、ちゃんと伝わる舞台でした。
夏祭では、勘三郎さんの口調に近づけようという努力を感じました。團さまの博多弁がキュートだったように海老蔵さんの大阪弁もちょっと変でキュートでした。これは成田屋カラーなのでもあるのかも。もう少し言葉の節がよくなるといいのですが。義平次にだまされたと知り、琴浦が乗せられた駕籠を追う時の型がすばらしかった。これが歌舞伎の美しさ。力強い筋肉と、遠くをみる視線。迫力満点で圧倒されました。
一番、思いが伝わったのはなんとかして楽しませようとする努力。客席の階段を花道に見立てて駆け上る。18列もある席の横の階段を駆け上り、駆け下り、駆け上る。古典を大切に思い、更に歌舞伎を愛してもらおうと必死に奮闘しているその思いが伝わった。舞台上の自分だけでなく、全体を考えようとしている気持ちを感じ、その一生懸命さにジーンとしました。がんばれ!応援しに、また観にいきます!

歌舞伎座新開場 あと30日

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Passive Silence 受け身の沈黙

ひなまつりの日に、友人出演の公演を見に行ってきました。アンサンブル・ゾネ新作公演『Passive Silence 受け身の沈黙』の東京公演。会場の両国 シアターXの中に、更に舞台をつくるという趣向でした。その独特さで、70分間集中しやすかった。限定された空間に、真っ白な舞台板と真っ白な背景。白い衣装のダンサーが動く。音楽はLiveでギターと書かれていました。想像していた感じと異なり、即興の音の並びは、女性が踊るときと男性のときのそれと多いに異なっていて男性のときには暴力的な程力強く感じた。難しい。
友人の公演の折ぐらいしかダンスの公演をみることはなく、特にコンテンポラリーな作品についてはよくわからないことだらけです。あーこの動きはきれいだなぁとか、なんだかここは印象に残るなぁなどと、感覚的に楽しむ。繰り返しの動きのところで生まれるリズムが面白いなぁと思った。無駄なものを感じさせない身体から発する表現って美しい。

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