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2013年6月15日 (土)

賛美小舎~上田コレクション

閉幕ギリギリに、横浜美術館で、横浜美術館コレクション展2013年度第1期 「賛美小舎」―上田コレクションをみてきました。岡村桂三郎さんの作品も出品と書かれていたので出向きました。はじめて、賛美小舎というものを知り、とっても興味深かった。
岡倉天心の思想やマコト・フジムラが示す日本文化の根底には美を賛える心があるという考えに共鳴してた上田夫妻が、自邸を「賛美小舎」と名付ける。若手美術家の可能性を支援しようと夫妻で集めた作品は、主に自邸に飾られ保管されて、やがては45作家と1組、360件以上の規模に至ったそうです。上田夫妻は、市民一人一人が美術文化を支える<美術民主主義>の実現を掲げて、収集作品を一切売却せずに公立美術館に寄贈されたと紹介されていました。10館に分蔵された中で、横浜美術館は最多の175点を収蔵しているそうです。
今期、その上田コレクションを初めてまとめて紹介という企画だったようです。「理想と審美眼をあわせ持った市民コレクターである上田夫妻が、20年以上かけて築き上げた現代美術のコレクションの魅力をどうぞお楽しみください。」と書かれていました。文字通りその審美眼を楽しみました。 大好きな岡村桂三郎作品をみることができたこと、「賛美小舎」という活動・コレクションを知ったこと、両方を味わいました。
冒頭の展示、川﨑麻児さんの作品から面白かった。ん?とひかれるものがあった。新聞の挿絵の原画のコレクションなど、収集というだけでなく若手美術家を支援する心生きも感じました。1、2点でなく、長い眼で見守ったのでしょうし、数点みることでみえてくるものもあり、面白かった。
福井 江太郎さんの「如」という作品がとても気に入りました。ダチョウが気高かった。アートフェアのときにみた墨絵のような作品の方は誰だったかなと思い返す(川俣聡さんでした)違うけれども。岩絵具、墨、木炭、麻紙という素材の作品で、よりかっこよかった。平成12年の作品。この展示では、作品の作成年だけでなく、作家の生年がはっきりと表示してあった。上田夫妻のものも。現代美術を紹介しているということがより伝わり面白かった。上田氏は、従来の日本画の概念を問い直す挑戦的な創作活動を始めた気鋭の画家たちの作品を、画商を通じて購入し、画家たちを支援したそうです。集めると、支援の違いがっかおいい。画家たちが大いに励まされたというのも想像できる。岡村桂三郎さんの作品は、8点ありました。昭和60年に描かれた「ライオン」という作品がとにかく気に入りました。若さと、勢いと、挑戦心を感じる。孤高という単語が頭に浮かんだ。いいなぁ。他に、「獅子」平成5、「魚」平成5、「舎」平成5、「豊穣の神」平成7、「無題 ドロ-イング」3点(平成7平成7平成8)ありました。来てよかった。
最後の写真展示室に、荒木経惟「横浜美人100人」という大きな作品。2008年に横浜美術館で撮影されたものだそうです。アラーキーすごい!と思ったのは、「写狂人日記'91 1518-8-99」。平成4の作品。スライド写真がスライド写真投影用ボックスに入っていいる120X180X21という大きな作品にちまちまとネガのようなスライドフイルムがはいっており、後ろからライトをあてて鑑賞する。いかがわしい作品は押収されたり、展示側が自主的に撤去したりとところどころは抜けになっている。小さいものをチマチマとみる。いかがわしいアングルをみていると、一定時間がすぎ後ろのライトが消えてしまう。スイッチをつけるとまたしばらくライトがあたるのだけれども、いちいち大袈裟な音がすることとか、なんだが変な感じ。いかがわしさが増す。アラーキーに写狂人ということばは似合う。

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